第4話 平和な日々に忍び寄る影
ブックマークがじわじわ増えてるのが凄い嬉しいです!
自分の作品を続けて読みたいと思ってくれてるのかなーと、そう考えるとテンション上がってきますね!
ホント感謝です!
オレは平日、朝食が終わり学校に通っている子供達が登校していった後は、園内保育としてお遊戯や、昼寝、運動など一般的な保育園と同じ様な事をして過ごしている。
精神的には20歳を過ぎているのだが、流石にそれを公表するつもりはない。未就学児童3人(オレも入れて4人)と一緒に遊んだり勉強をしたり、前世では同年代の友達と遊ぶという経験がなかった為か新鮮な気持ちになっている。
まあ、遊ぶと言っても他の3人の面倒を見ているといったほうが正しいかもしれないが。
「いやー、太陽君がいると私達楽できるわ〜。」
そう言って笑っているのは、施設で働いてくれている指導員の1人である山田さんだ。
「山田さん僕も一応5歳なんですけど……」
「でも、太陽くんってば率先して皆に勉強を教えてくれたり、危ない事は叱ってくれたり、父親の素質はバッチリよ♪この前なんか康隆君に勉強教えてたじゃない、私目を疑ったわよ。」
この施設を出て独り立ちした人達が残した教科書や参考書があるのだが、それらは既に読破し終えている。
自由に知識を増やす事ができるというのはとても楽しい、前世で修める事ができたのが人を殺す事だけだったという事もあり、人を豊かにする為の知識はどれだけ勉強しても飽きない。
ただ、現在は高校レベルの勉強をしているのだが、流石にそれは秘密にしている。異常な子供だと思われるからな。
山田さんとそんな事を話してるとエリが乱入してきた。
「太陽くんまたむずかしいはなししてるー。それよりあっちでおままごとしようよー」
山田さんが、ニヤニヤしながら邪魔者は退散するわね〜と言い仕事に戻っていった。
ちなみにエリは勉強が嫌いなようで、オレが本を読んでいるとすぐに邪魔をしに来る。お陰で最近は本を読むのもコッソリだ。妹のような存在で、手はかかるが可愛がっている。
「わかったよエリ。今日も僕がパパでエリがママなの?」
「もちろん!しょうらいの予行れんしゅうね。他のふたりはペットのやく!」
幼少メンバー二人に同情を禁じ得ない、人間ですらないとは。エリの女王っぷりにも困ったもんだ。
エリの我儘に振り回されていると、そこに神妙な顔をした施設長が入ってきた。
「あー、エリ。おままごとはちょっと待ってくれ。大事なお話があるからこっちに来なさい。」
「えー、今から太陽くんと遊ぶのにー。」
エリが文句を言うのを施設長が宥めていると、後ろから明らかに日本人ではないニヤついた男が入ってきた。
おれはその男を見た瞬間、この世界では発していなかった殺気を無意識の内に叩きつけて警戒する。
前世でオレが暗殺者稼業に身を投じた原因となる殺人、その1人目。悪徳領主と同じ表情と雰囲気を持っていたからだ。
5歳児が発した殺気に一瞬身体を竦ませたものの、その雰囲気の変化に気づいたオレが、5歳児がこのような気配を纏っていては不自然だという事に気づき殺気を抑えた為。気のせいだとでも思ったのか、すぐにあのニヤけた表情に戻ってエリの方へ視線をむける。
粘着質な気持ちの悪い視線で自分を見られていると感じたのだろう、エリが背後に隠れ、オレは視線を切るようにエリの前に立ち塞がり目の前の男に話しかける。
「ウチのエリに何か御用でしょうか?失礼ですが、挨拶もなく子供にそのような視線を向けるのはどうかと思いますが。」
まさかただの5歳児にそんな事を言われると思ってなかったのだろう、ニヤけた表情から一変。一瞬で顔を紅潮させ怒鳴ってきた。
「ああん、なんだこのクソガキは!ガキの分際で生意気な事言いやがって!おいおい、どういう教育してんだ!?やっぱりこんな所にエリを置いておけねーな!施設長さん説明してやってくれよ、エリはオレが引き取るってな!」
「はっ?何を……」
一瞬目の前の男が何を言っているのか解らずに言葉に詰まってしまった。
そして男は畳み掛けるように言葉を繋いでいく。
「あっはっは、やっぱりガキには難しくて理解できねーか。要するに俺が父親になってエリと一緒に住むんだよ!ちなみに場所は合衆国な!」
オレは言葉の意味をなんとか飲み込んで、嘘だと言って欲しいという願いと共に施設長に視線を向けるが。
彼は苦々しい表情を隠そうともせず、絞り出すような口調で。
「……事実だ。」
という、信じられないような一言を発する。さらに。
「今からその事を、エリを交え3人で話し合うことになる……太陽、すまんが他の子達のフォローを頼む。」
施設長も忸怩たる想いなのだろう、その両手は血が流れんばかりに握り締められていたからだ。
「親父殿、僕もその話し合いに同席する事はできますか?」
少しでも状況を把握したいという思いから、あえて二人きり以外の時は使わない「親父殿」という呼び方で願い出たのだが。
「すまん、今回は遠慮してくれ。説明は……後で必ずする。」
という言葉で拒否されてしまい、茫然と立ち尽くしたまま施設長室に向かう3人の後ろ姿を見送ってしまった。
チラチラと、エリが救いを求めるような視線を向けてくるのだが、今は何もできない。
しかし、必ず何とかしてやるという想いを込めて、頷きと共にエリの揺れる瞳を見つめ返す。
エリは妹のようなものだ、絶対にあのような男の元には行かせない。
たとえそれがどのような手段であっても。




