第39話『最後の手紙』
耕司君、私ね、ひとつ耕司君に謝らないといけないことがあるんだ。
ごめんなさい。
・・・・・許してくれるかな?
こんなバカな私を。
でもね、私ね、あの時、耕司君が最後に私のことを『好き』って言ってくれて・・・・・・
すっごく嬉しかったんだよ?
だから泣いちゃった。
もう、あの時私はニンゲンじゃなかったのにね。
アクマだった私が・・・・・思わず泣いちゃったよ。
・・・・・こんな私が泣いちゃあいけないのにね。
・・・・・キスもしっちゃったね。
・・・・・耕司君、私を抱きしめてくれたね。
・・・・・耕司君、耕司君、耕司君、耕司君、耕司君・・・・・
・・・・・だめだよ・・・・・私、我慢できないよ・・・・・ひっく
もっと・・・・・もっと、普通の恋がしたかったよ・・・・・ひっく、ひっく
2人で・・・・・遊園地に行ったり・・・・・映画館に行ったり・・・・・動物園に行ったり・・・・・
・・・・・なんで・・・・・なんで・・・・・なんで・・・・・
・・・・・こんなことに・・・・・
・・・・・ねえ?耕司君・・・・・聞いてくれる?
・・・・・私ね・・・・・嫌な子なの・・・・・
耕司君のことを独占したかったの。
誰にも私の大好きな耕司君を渡したくなかったの。
・・・だから鈴奈ちゃんにひどいこと言っちゃったよね・・・
あんなこと言うつもりじゃなかったの・・・・・
だから・・・・・耕司君。お願いがあるの。
・・・・・まず、鈴奈ちゃんに伝えといてくれる?
・・・・・『ごめんね』・・・・・って・・・・・
・・・・・あっ、勇ちゃんにも・・・・・ね。
・・・・・勇ちゃん、耕司君のこと心配してたよ?
・・・・・『思いっきり殴ってスマン』・・・・・だって。
・・・・・あはは・・・・・私達って最後まで周りに心配かけてるね・・・・・
・・・・・でね・・・・・もうひとつ最後のお願いがあるの。
・・・・・耕司君、この手紙を読み終えたら・・・・・どうか・・・・・・私のこと・・・・・
忘れて・・・・・
・・・・・忘れて・・・・・お願い・・・・・
・・・・・忘れて・・・・・新しい・・・・・恋をしてください・・・・・
・・・・・わたしなんか目じゃないずーーーっと素敵な人を見つけて・・・・・
・・・・・間違っても私のこと覚えてちゃダメだよ?
・・・・・あ、ごめんね。もうひとつお願いがあったんだ・・・・・
・・・・・幸せになってください・・・・・
・・・・・自分勝手なお願いでゴメンね?・・・・・
・・・・・私は耕司君のことずっと忘れない・・・・・
・・・・・でも、耕司君は私のことを忘れてこれからも前に進んで行ってね。
・・・・・大好きだよ、耕司君・・・・・
・・・・・ばいばい・・・・・
(この手紙は事件未明、母親によって発見された。机の上においてあったという。その手紙は涙の跡でしわしわになっていたと後日、母親は語る。発見された翌日、入院している村上耕司にその手紙が渡されたという)