ep43.幸せな微笑み
しばらくの間甘々な2人をご堪能くださいm(_ _)m
本当にゆっくりするためだけに用意されたそれはドレスではなく、ロングワンピース。
袖の長さや風通しの良さも、まだまだ日差しが照っているこの時期にはぴったりだ。
そしてメイク。今から何をする訳でもないのに、これ本当に私?と疑いたくなるほどには見違えている。
スッキリとした印象をメインに着飾っているので、ドレスのように重たくなく、ゴテゴテしていないので動きやすい。
「ありがとう!エリー、アルマ、レティ、このワンピースもメイクも、とても可愛い!」
とびっきりの笑顔で言うと、3人もご満悦のようだった。
「エヴァ様のお気に召して頂けてなによりです!それと、そのワンピースは殿下がお選びになったのですよ」
と、私の知らない情報をくれた。
私は着まわせる服しか普段は着ないから、自分が持ってきた洋服もだいたい覚えている。そのため、このワンピースもクラウス様が買ってくださったのはおおかた予想がついていた。
しかし、しかしだ。
「もしかして、このイヤリングとブレスレットも?」
「「はい!」」
…これはあとで最大限の感謝を伝えよう。
服を選ぶことすらもしていなかった私は、殆ど侍女に着回すから大丈夫と言っていた。
本当に、着れさえすればなんでも良いという、令嬢らしからぬ考えであることは分かっていた。
だが本当に着れるとなんでもいいのだから仕方がない。
そのズボラなところが仇となったか、まさかのクラウス様に洋服を選ばせてしまう事態になろうとは思いも寄らなかった。
「…分かった。教えてくれてありがとう。じゃあ、行ってきます」
「「「行ってらっしゃいませ!」」」
エリーとアルマとレティは元気よく言ってくれた。まさか自分が行ってきますと言える日が来るなんてと、婚前旅行前から感動しながら廊下を歩いていると、あっというまに玄関に着いてしまった。
クラウス様はまだ気付かれていないようだ。ゆっくりと階段を降りていると、クラウス様が私の方を向いた。
瞬間、ぱあっと顔が明るくなり、微笑を浮かべた。
しかし言葉を発さないのはどうしてだろう?と思いながらも私は階段を降りてクラウス様の近くに来た。
……クラウス様が言葉を発さないのは、固まっていらっしゃるから…!?
なぜ?なぜに?
「あの、クラウス様…?ご体調が優れないのでしたら、延期にされても…」
私がそこまで言いかけたところで、クラウス様はハッと我に返ったようだった。
「ち、違う!違うんだ。そうじゃなくて、あまりにもエヴァが綺麗で、見惚れて、固まってしまった…」
「…っ!?」
やっぱり固まってたのかという私の心中はさておき、クラウス様の微笑みはあまりに綺麗なため目がチカチカするほどだ。
今まで自分のことで手一杯だったためクラウス様の容姿を気にすることはあまりなかったのだけど、こうしてまじまじ見るとやはり端正な顔持ちだと思う。
キリッとした目に高く整った鼻、高身長なうえ、綺麗な黄金色の髪。この国のどんな令嬢でも虜にしてしまうその美貌を、どうして私なんかに…。
「エヴァ?何か考えなくて良いことを考えていないかい?」
もう、怖い。
どうしてこの人はすぐに見抜いてくるのか、私は不思議で堪らない。
「いえ、そんなことは。それよりも、今日のお洋服、クラウス様が選んでくださったとお聞きしました」
「ああ、あなたによく似合ってる。本当に素敵だ。本当に女神が私の元に舞い降りたのかと思ったよ」
また、この人はどうしてこうもサラッとそんなことを言えるのか、これも七不思議だ。
ただ、私も負けているわけにはいかない。ずっと褒められるのは嬉しいがまだあまり慣れていない。だからこういう時、私は褒め返すようにしている。
「ありがとうございます。ですがクラウス様こそ、いつもと違う装い、とてもお似合いです。天使様のように輝いておいでですね」
クラウス様が目を大きく見開いた後、愛おしげに私を見た。
「私の女神はとても可愛いことを言うね。これは君への感謝だ」
クラウス様はそう言って私の額にキスをした。
私はキスされた額を後から触って顔に熱がいってるのが分かった。
とんでもなく恥ずかしい。
そして悔しい。
私の顔から全て伝わっているのか、またふふっと笑い、クラウス様は私をエスコートしてくださった。
「どうぞ、姫君」
意地悪なクラウス様はそう言って私を馬車の中へとエスコートする。その後にクラウス様も馬車へ乗り、私たちは目的地であるプライベート空間へと向かった。
純粋に、私は気になったことを1つ聞いてみることにした。
「目的の場所までは、どれくらい時間を要しますか?」
「うーん、そうだね。私も久しぶりに行くから曖昧だけど、休憩や寄り道も合わせて5時間くらいだろうか」
馬車で5時間となれば、この世界ではあまり遠くない。平気で日を跨ぐ距離を移動することだってあるため、私もあまり驚くことはなかった。
それからは他愛のない会話をした。気が付けばクラウス様の言う『寄り道』する場所へ着いていた。
「ここで降りようか。少し私に着いてきてほしい」
「分かりました」
私は言われるがままクラウス様の手を取って引かれる方へと着いて行った。
馬車はあまり目立たないところに止めてあるので問題ないが、今回私たちはあくまでお忍びで来ている。
だからあそこまで顔を変えられる侍女のメイク技術に大変感心していた。一方クラウス様はメイクでより綺麗な顔が強調されたようにも思うが本人は満足そうなので私も何も言わない。
そうこうしているうちに、私たちは都内の中でも中心となっている場所までやってきた。
バレないか冷や冷やしていると、なんとかクラウス様の言う場所まで辿り着いたようだった。
「ここは…!」
「ふふ、今日は貸切だよ。好きなだけ食べて。あ、でも夕食を食べられる分だけのお腹は残しておいてね」
「殿下…!本当にありがとうございます!」
私のテンションは舞い上がっていた。というか、平民貴族関係なく、ここに来たら誰でも舞い上がる。
都内で中々食べられないことで有名なスイーツ店。
単に高いからという理由ではなく、職人が丹精込めてつくるそのスイーツは一級品であり、それぞれの品を数えられるほどしか販売しないお店なのだ。
それでも経営が行き届いているのはそれだけここのスイーツ店のスイーツが美味しいという1番の証拠。
そして私もクラウス様も大の甘党。
ここはいつか行きたいと話していた場所だった。まさかそのいつかが今日になるとは思いもしてなかったけど、とても嬉しいことに変わりはない。
「エヴァの嬉しそうな顔が見れて私も嬉しいよ」
「その、高かったのでは…」
気になることを聞くと
「あなたの夫を舐めたらだめだよ」
と返された。
そうだった…国1番のお金持ちだった…と、遠い目をしながら思うのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
次話も見てくださると嬉しいですm(_ _)m




