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ep39.悪女後人質、次は〇〇〇

 私の熱が完治する頃にはいつのまにか2週間が経っていた。


 完治してからも過保護な皇族の元、もう1週間安静にさせられた。

 

 私の意識が朦朧としていた時に第一皇子がいつも近くにいてくれたことは覚えていた。


 少し前は人質と皇族という立場だったのに、本当に甘くなった。


 今だって…、また私は殿下の仕事を見る羽目になってる。つまり、膝の上に座らされている…。


「それで、エヴァはいつまで私のことを焦らすつもりだい?」

「っ!えっと…、前にも言いましたけど、私は好きが分からないんです」


 どうにか第一皇子に私が殿下に好かれるほどの価値はないことを分かってもらおうと奮闘する。


「ああ、私もあなたに言った。私がこれから教えていけばいい。あなたはただそれを受け取って、知っていけばいい」

「…!」


 第一皇子はどこまでも諦めが悪いようだ。


 でも嫌ではないのが私もどうなっているのか分からない。


 くれてるものが優しく温かいものだからなのか、それとも愛をくれて嬉しいのか。


 理由が二つめなのであれば、それは私も殿下に返さなければいけないだろう。


 だがもう一つ、私には懸念点がある。


「後、その、やっぱり私では殿下の婚約者としてはあまりに分不相応だと思います」

「……それ、本気で言ってる…?」


 あれ?呆れられた?


 だって本当のことだ。


 今は無き隣国の、しかも公爵の爵位だってなくなってしまった。第一皇子の隣に相応しくないのは明らかだ。


「もちろんです。私は元々死刑だったはずのただの人質です。それに、隣国というのも、周りからすると不安で仕方ないはずです。国民に安心を与えられない私が殿下の婚約者でいて良いはずがありません」

「ねえ、エヴァ」


 ここまで言われて少し冷静になったのだろうか。改めて第一皇子が私の名前を呼んだ。


「君は私のことが嫌い?嫌いならそう言って欲しいんだ。今まで散々失礼なことをしたのは私だからね。どんな罵倒も甘んじて受け入れるつもりだよ」


 あまりに見当違いなことを言われた私は急いで否定した。


「そんなわけありません…!殿下は、今も…、こうして私を甘やかしているではありませんか…。ここに居場所をくれたのは、紛れもなく殿下です」

「っ、それすらも、エヴァは当然のことだとは思わないのが少し悲しいね。だけどありがとう。嫌いじゃないことが分かって嬉しいよ。エヴァの考えていることだけどね」


 第一皇子は今の平民や貴族が私に対して抱いている思いを順を追って説明してくれた。


「あなたが数年間この国にもたらしたものをよく考えてほしい。知恵と、仕事と、それに教育、さらには癒しの魔法まで使ってくれたね。こんなに与えられて、今更次期皇后が辞退するなんて、貴族も平民も、そちらの方が許さないんじゃないかな」


 まさか…。そんなことあるはずがない。


 本来この国の皇后にはこの国の住民がつくべきだ。


 それを隣国からきた私が取ってしまったのだから、貴族は怒ってるんじゃないの?


「なぜそうなるのですっ…?!私は全部、人質であることを前提に、どうすれば価値のある人だと認めてもらえるかを考えていただけで、きっと皆さんの思うような人ではありません…」


 私はホイホイとみんなに何かを与えていたわけじゃない。そんな善人では決してない。


 みんなが曲解してそれを受け取ってるだけで…


「…エヴァ、そもそも、この世に価値のない人は存在しない…なんて綺麗事言っても、あなたには通じないだろうね。そうだね、…自分の犯した罪を振り返らず気付くことも出来ない愚か者は、少なくともその時点では価値のない人間だろうね。あなたはもちろんだがそれに該当しない。それに、エヴァ、君が最近周りの人に何て呼ばれてるから知ってる?」


 私の呼ばれ方?


 横取り女とか?

 女狐とか?

 それとも、殿下を唆した悪女?


 どれだろう…。


「…分かりません」

「そうだね。君はしばらく眠っていたから、知らないだろうね。あのね、エヴァ、君は最近、【ティラノ帝国に舞い降りてきた女神であり聖女であり天使様】だそうだよ」

「………はい?…」


 なんだろう。


 気軽に呼び名に使ってはいけない単語がいくつも出てきた気がする。


 お願いだから気のせいであってほしい。


「もう一度言って欲しい?【ティラノ帝国に舞い降りてきた女神であり聖女であ】「もう大丈夫です!」」


 だめだ。

 

 私の脳内がパンクする。


 一方で、第一皇子は楽しそうに笑った。


 私に愛を伝えるようになってから、第一皇子は私の前で笑顔を見せるようになった。


 それは、嬉しいことかもしれない。私も人の笑顔を見るのは好きだから。


「ふふっ、これは失礼。とにかく、こんな立派な呼び名がついている君以外に相応しい皇后がどこにいる?少なくとも、この国は平民貴族関係なく満場一致で貴方が皇后になることを望んでる。それだけ、あの魔法に助けられた人は多いんだ」


 第一皇子が『あの魔法』と言った時に少し落ち込んだ声をしていたのは、多分私が倒れた原因でもあるからだろう。


 第一皇子からすれば、複雑な心境だっただろうに、受け入れてくれて感謝している。


「だから」

 

 へっ?と、私は心の中でまだ続きがあったのかと思っていると、殿下は口にした。


「あなたは大人しく、私に愛されてね」

「〜〜〜っ…!!」


 私の頬がボボボッと熱くなるのを感じた。


 殿下が私を愛してくれるなら、私だって返したい。


 「…殿下が………」

 

 














最後まで読んで頂きありがとうございます!

次話も見てくださると嬉しいですm(_ _)m

途中で終わってると思う方もいらっしゃると思いますが、続きはちゃんと次話に会話を載せてます!

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― 新着の感想 ―
馬鹿だなぁ、殿下ww 一回、抉った傷は塞がらないんだから、その傷が小さい引っかき傷だって思えるくらいの時間はかけなきゃダメなんだよ エグって、かき混ぜて、引きずり出して踏みにじったのは自分…
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