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ニートとお茶会


「エルヴィーラ様、最近身の回りで変なことは起きていなくて?」

「変なこと、ですか?」

 本日はちょっと令嬢っぽいことをしている。

 それなりに親しい令嬢たちとのお茶会in令嬢の家だ。

 同じ侯爵家の令嬢が二人、計三人の寂しいお茶会だが私が大人数の大々的なものには一切参加しないから仕方がない。

 そのことを知っているこの二人は、時折こうして少人数のお茶会を開催してくれるのだ。

 まあ、それすら私が出る確率は低いんだけど。

「覚えがありませんわねえ」

 一人の令嬢に尋ねられたことをはて、と考えてみるも思い当たらない。

 ドラゴン倒したり学園で特別講義をしたり、その後宮廷魔術師長に無詠唱魔法をレクチャーしたり、これといって変といえることはないな。

 身の回り、と言われるとさらに思い当たらない。

 屋敷からでない私は屋敷の使用人たちに守られてのびのびとニートを満喫しているのだ、外からの刺激はほとんどない。

「それなら、いいのだけれど」

 困ったように眉を顰める彼女に、その隣にいたもう一人もそうねえ、と同意する。

「何かありまして?」

「――イルムヒルト様が、また“茶会”をひらいていましたの」

 その言葉に、ああ、と彼女たちの歯切れの悪さに納得した。

 この王国の第四王女、イルムヒルト王女。

 殿下の実妹であり私よりも年下。そろそろ学園に入学するくらいの年齢だったか、殿下に似た金色の髪の美少女だ。

 見た目だけなら評価の高い王女様は、ある一定のこと以外なら頭もそれなりにいいらしいしそれなりに素直らしい。

 その一定の事というのが私に関することじゃなかったら、私ももう少し評価を上げるんだけどねえ。

「お二人は参加されていないの?」

「私はそういった招待状は受け取っておりませんから。たしかティーネ様は受け取ったのよね」

「ええ。王女が何をしようとしているのか、探りを入れる必要がございましたから」

 クレメンティーネ――ティーネと呼ばれた令嬢が重々しく頷く。

「それで、どういったお話でしたの?」

「いつも通り、王女の愚痴に皆様が賛同されるだけでしたわ。ただ、少し気になることがありましたのでお声をかけさせていただきましたの」

 気になること、という言葉に私ともう一人の令嬢――彼女だけこの呼び方も面倒だから普通にドーリスと呼ぼう。ドーリスもティーネの言葉に集中した。

「いつもより荒れていらしたから、どうしたのかと思いましたの。そうしたら、王女様が『今度こそこれ以上王家に近づかせない。あんなの許せない』と、おっしゃっていて」

「あんなの、ねえ」

「普段通りのことを言ってらしたのでは?」

「うーん、それがそうでもないようでしたの。はっきりとした言葉でおっしゃったわけではありませんから、私の勘違いの可能性もございます」

 ドーリスの言葉にティーネは困ったような顔をして、しかしはっきりと否定はせずに自分の勘違いかもしれないといった。

 まあ、あの王女が思い込みで暴走するのはいつものことだし、またなにか私が悪い証拠でも妄想したのかもしれない。

 本当に、なんで殿下が何度注意しても治らないかねえ、面倒な子だ。

「一応、気を付けておきますわ」

「それがいいですわ。王女様の無茶ぶりはいつものこととはいえ、何もないとは限りませんもの」

「私達にできることでしたら、いつでもおっしゃってくださいね」

 ティーネとドーリスに言われてありがとうと返す。いい友人たちだ。

 こんな引きこもりで二人みたいに学園にも通っていないニートだけどこれからもよろしくねー。


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