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ニートと魔法談義2

「学園に通う生徒たちの中で一人、エルヴィーラ嬢に個人的に魔法を教えていただくのはどうでしょう。期間を決め、貴女のおっしゃることが本当かどうかを試験するというのは?」

 宮廷魔術師長の提案は簡単に言えば本当に誰でも使えるのなら教えて見ろ、ということだ。

 それ自体に問題はない。元々学園でそれを教えろと言いたかったのだからお手本を見せるくらい何の支障もないからね。

「別に構わないわ。その生徒の選定はどちらがしますの?」

「どちらでも。教えたい条件があるのであれば、その条件にあった生徒を用意しましょう」

 宮廷魔術師長の言葉にそうねえ、と唇を叩く。

 学園で魔法を学ぶというのは魔法使いならだれでも許されている、権利というより義務である。

 そのため生徒の中には天才児や落ちこぼれ、貴族に貧民と様々な人間が混じっているのだ。

 だからといって差別がないわけでもないし、区別がないわけでもない。

 貴族の坊ちゃま嬢ちゃまは貧民上がりの教師を舐めていることもあるらしいからね、怖いね。

 まあ、私に対して舐めた態度はとらないだろうけれども、それでも媚びへつらうのと真摯に受け止めるのは別だ。ちゃんと教えを聞いてくれる生徒でなければ意味がない。

「学園の教えに染まり切った生徒ですと、私の話を聞いてくれないかもしれませんわ。新入生か、学園の教えでは伸び悩んでいる方がいいですわね」

「なるほど。学園側に問い合わせてみましょう」

「そうそう、それともう一つ。生徒には辞退する権利も与えてくださいね。いやいや教えを受けられるのは私も困りますわ」

「もちろん、学園は生徒の意思を縛ることはありませんからな。期間は丁度長期休暇が挟まりますから、その間でどうでしょう」

「一月くらいだったかしら?ええ、いいわ。長期休暇明けに試験をしましょう。どのレベルまで教えてもいいのかしら?」

「そうですな、新入生だった場合基礎学問も完ぺきではありませんので、急に力を持ちすぎるのも問題です。初級魔法程度、指導前に初級を終えている場合はその学年の進度に合わせるということで」

「かまわないわ。ではそうしましょう」

「楽しみにしておりますよ」

「私も、皆さんの一か月後の顔が楽しみだわ」

 そう言って二人で握手を交わす。

 何か言いたげな殿下だったが、ここで口をはさんでも自分に良い事はないとわかっているのかただ黙って渡された胃薬を飲んでいた。




「というわけでハル、その期間は貴方も私のレッスンに参加してもらうわ」

「それはいいんですが、俺は魔法使えませんよ」

 部屋の外で待っていたハルに事の顛末を伝えるととても呆れた顔をした。

 その期間自分も一緒にいるのだと言われて自分は魔法が使えないのだと肩をすくめる。

 それくらいは知っているよ、雇い主だもの。

「私の護衛としてよ。それと、貴方のスキルも見せてみようと思うわ。魔法について一つの固定概念にとらわれている場合、スキルのように魔法とは違う方法で動いている、魔法に似た現象を目にすると考え方が変わることもあるでしょうし」

 スキルが一般的なものなら違うだろうけれど、珍しいものだから有効だと思う。

「そいつ、ちゃんと使えるようになるんでしょうかね」

「私の教えをちゃんと受ければ、使えないはずがないわ」

 ハルのボヤキに私は自信をもって答えた。


2016/12/08/訂正魔法宰相→宮廷魔術師長

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