ニート、ドラゴンと戦う。
今回は2話連続更新です。
ドラゴンと向き合う。
ドラゴンはこちらを注視しながらグルルルと唸り声をあげている。隙あれば攻撃してくるつもりなのだろう。
エリーザたちは固唾を飲んでこちらを見ている。私を手伝いたくてもできない歯がゆさもあるだろうが堪えてもらうしかない。
ドラゴンの攻撃力はエリーザやハルの防御力を超えている。今の装備では私をかばいに来ることはできないだろう。なにより、私がそれを求めない。
立ちっぱなしにしてしまっているのは申し訳ないのでイスか何か出してあげればよかったかなあ、と思わなくはないが、椅子に座っているともしもの時に逃げにくいから今のままの方がいいのだろうか。
割と余裕を持ったままそんなことを考える。
そうしながら、ドラゴンを切るように腕を動かす。もちろん、届く距離ではない。オーケストラを前に指揮をとるようにも見えるようなその動きに、腕に沿わせていた水をしゅるしゅると解いて合わせるのだ。
それは鞭のようにしなりながらドラゴンがこちらに振り下ろしたしっぽにうち当たる。
バシィと激しい音を立てて、水の鞭がドラゴンのしっぽを跳ね返したのだ。
グゥルォオ!?
ドラゴンがたたらを踏む姿は、なんというか面白かった。ちょっとかわいいと思ってしまったほどに。
驚いたようなドラゴンの唸り声に、私は不敵に笑って見せながらそのまま水の鞭で足をからめとり、バランスを崩させる。
足に絡みついたそれにドラゴンが対応する間もなく思い切り引っ張れば足が宙に浮いてしまう。
ものすごい地鳴りと共にドラゴンが体勢を崩し、倒れた。
「ごめんあそばせ」
追撃の手は緩めない。私はこちらの有利を決定づけるために水の鞭を振り上げた。
頭上高く振りあげたその水の鞭は、ピンとまっすぐ上へと延びている。それはもう鞭とは言えないだろう。硬質な形をしたそれは鞭状にしていた時よりも幅を持たせ、先端を尖らせる。
形を変化させ、今度は剣にしたのだ。
水の長剣はそのままドラゴンの足に振り下ろされる。
水というと、回復系や拘束系のイメージがあるらしく、この世界での水魔法は生活魔法や回復魔法、あっても水を弾丸にして飛ばすくらいだ。
しかし考えてみてほしい。ダイヤモンドの原石を宝石にしていく作業で使われるのは水なのだ。
水というのは思ったよりも攻撃性の高いものである。
腕回りまでの循環速度を上げて、鋭い切れ味を手に入れた水はドラゴンの硬い皮膚を見事に切断して見せた。
片足を失ったドラゴンは立つことが出来ない。
崩れ落ちたままのドラゴンを見る。
どうやら、そろそろ終いのようだ。




