ニート、チームプレイを体験する。
襲い掛かる敵に水の砲丸を叩きつけ、こちらを狙う遠距離攻撃者には風の刃を飛ばして切り裂く。
さすがに縦ロールお嬢様達は走れる状態ではないので私と同じく魔法で運びながら進むと次階層への階段からさほど離れていないあたりに彼らはいた。
「ルッツ!」
縦ロールお嬢様が叫ぶ。その声に驚いたように髭面さんが反応した。
というか隙を見せたせいでさらに劣勢になってるけどこれは大丈夫なのか?大丈夫じゃないから劣勢になってるんだけどね。
「お嬢さん、弓を構える準備をして。エリーザ、彼女と一緒に少し離れたところを攻撃して。魔法使いは彼女たちのフォロー。ハル、彼らの周囲をきれいにしてちょうだい」
「かしこまりました」
「了解」
「わ、わかったわ」
「分かった」
私の指示にそれぞれが返事を返す。
正直お嬢様と、先ほど回復したばかりの魔法使いは戦力とは見ていない。何もせずに見ていろ、なんていえば余計に彼らが自分を追い詰めて暴走しかねないからだ。
まあ、私の風の膜で覆ったままなので敵の攻撃が近づきそうならこれではじくことができるし、エリーザがいるからそのあたりは確認してくれるだろう。
ハルは返事と同時に駆けだして直線状にいる宝喰いを切り捨てている。
それを確認して、私はまずは髭面さんたちの状態を確認することにした。
――――――――――
ルッツ 戦士
男 重傷
ウェールド 重戦士
男 仮死
モーリス 剣士
男 仮死
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うわ、ダメじゃん。二人ほどほぼ死んでるじゃん。
この仮死状態のときは回復魔法が効くのか試したことがないから不安であるが、どうだろう。
とりあえずまだ戦えそうな髭面さん――もとい、ルッツに水魔法で回復をかける。
「これは……!?」
「動けるようならハルの手伝いを」
驚いた声を上げるルッツに指示を出して彼らにも同じ回復魔法をかけてみる。
――どうやら仮死状態だと通常よりも回復魔法の効きが悪いらしい。しかし回復魔法で大丈夫のようだ。安心した。むっちゃ安心した。
できる限り回復量が多くなるように濃度を濃くした回復魔法で二人を包み込み、集中的に回復させる。
体力が少しずつ回復していっているのを確認して、私も戦闘に参加することにした。
「このまま水で行きましょうかしら」
指先に小さく水の弾を作り出し、それを宝喰いに向かってはじく。
狙うのは頭、目の部分だ。なんか目の部分が一番装甲薄いって前世で聞いたことがあるような気がする。ふんわりと。
まあ、装甲の厚さは関係なく私の魔法は宝喰いを貫通し、次々に倒していく。
ハルの方を確認すればまるでリンゴでも切っているかのようにさくさくと宝喰いを切り捨てており、まだ本調子ではないルッツのフォローにもはいってくれていた。
エリーザたちも問題はない様だ。お嬢様と魔法使いがうち漏らした敵をエリーザが的確に屠っていっている。
なるほど、パーティーによりチームプレイとはこういうものを言うんだろうな、なんて他人事のように考えながら、私は探知に引っかかる宝喰いがいなくなるまで敵を攻撃し続けた。




