ニートと土魔法1
ついに30話です
「土魔法って、わりと使い方次第で変わるわねえ」
森のエリアを風魔法で進み、次の階層についた。
蔓はエアカッターでばっさりと、本体を見つけたら真空状態にして圧縮を繰り返せば怖い敵などいない。圧縮最強説。
なによりもこの圧縮魔法を使えば血が飛び散らない。見た目にもやさしい、グロ注意がいらないところも実用性があるかもしれない。
それこそ市街地で使ってもいいんじゃないか?悲鳴あげられたりパニックになったりもしないだろうし。
……いや、目の前で人が圧縮されたらパニックになるか。
次の階層はそれなりに見通しの良いエリアだった。昼食にも良い時間ではないか?と思ったので土魔法はゴーレムを試すことにした。
土の塊を集めて人が3人乗れる平らな場所を作る。
さらに移動できるような足と、敵の攻撃を防いだり攻撃をしたりできるように腕をつける。
ゴーレムなんだから顔は欲しいと思って頭も作って、自動操縦にすれば完成だ。
もちろん、土の上に直接座るつもりはないので草を生やしてその上にエリーザが用意した大きな布――前世でいうレジャーシートの代わり――を引いて、三人で座った。
最初は私だけ先に食べて、みたいなことをエリーザが言っていたが食事は一度に済ませる方が時間を短縮できる。
というか一人で食事をして、そんな私を二人が囲んでいるってどんな罰ゲームよ、わりと気まずいじゃないの、という気分だ。
「あら、美味しそう」
料理長が用意してくれたのは王道の卵サンドや野菜サンドだけではなくお肉を挟んだボリューミーなものもある。
私はもとより前線で戦う育ちざかり男子のハルも満足だろう。
「凝ってますね」
「料理長が食べやすいようにと考えてくれたようです」
お茶を用意しながらエリーザがにこりと笑う。
うちの料理長は無茶ぶりにもついてきてくれるしそれだけではなく食べる人のことを考えて心憎い気配りもしてくれる人だ。
野菜サンドはパンに野菜の水分が染み込まないようになにかを塗る。向こうの世界だとマヨネーズとか流行ってたな。
しかし私はそれを塗らない派である。塗っているのも美味しいんだけどソースをかけて、水分が出てくる前に食べたい派だ。
時間が止まる収納にいれるのでそれが可能だ、ということで料理長がバターを塗ったやつと塗っていない奴の両方を用意してくれている。
私はもちろん塗っていない方。ハルは塗っているほうを手に取っていた。こいつは肉大好きだが野菜も好きだからね、嬉しそうだ。
「うん、美味しいわ」
「卵も美味しいです」
エリーザもこれにはにっこり。
美味しいよねえ。当家の卵サンドは私が前世で感動したふわふわ卵焼きの卵サンドだ。
普通のも美味しいから二つとも作ってもらうんだけれど、今回はエリーザの要望で卵焼きサンドオンリーのようだ。
私もハルも卵焼きサンド大好きなので異論はなかった。エリーザが頼むほどこっちが好きなのはちょっと意外だったけど。
楽しい昼食風景だが周囲は地獄絵図である。
ドドドドと地響きをさせながら歩くゴーレム。
ゴーレムに驚きながら攻撃する宝喰いたち。
攻撃のために飛んでくる宝喰いを叩き落とすゴーレム。
むしろ攻撃される前に近づいたら即攻撃するゴーレム。
……よし、外を見るより食べる方に集中しよう。




