ニート、ダンジョンに入る。
このダンジョンは王都から馬車で通える程度に近いので入るには冒険者である証が必要となる。
入り口の近くにギルドの職員と王都から派遣された騎士団員が立っていて、そこで自分のギルドカードを見せるのである。
ちなみに、冒険者ギルドのギルドカードであれば最低ランクだろうが最高ランクだろうが気にせず通される。そのためここでドドンと名を売ろうとして入った初心者が初日に無残な姿で発見されることもしばしば。
一応、ギルドカードを作るときにそういったことがあるので十分対応できる腕前になってから行くようにと注意はされるので自業自得ということになっている。
では門前払いされるのはどんなやつか。
ギルドカードさえあれば入れる場所に入れない、つまり冒険者ギルドのギルドカードを持っていない、提出できない者達である。前者はそもそも入ってもすぐ死ぬだろうことが予想されるので当り前だ。
さすがに一般人に死なれては困る、というのがギルドと国の方針である。
では後者。これは罪を犯したものが多いだろう。冒険者ギルドから資格をはく奪されたものや要注意人物になっているもの達はダンジョンに入れない。ダンジョン内で他の冒険者を襲ったりするからだ。さすがに人為的に優秀な冒険者を減らされるのは御免被るということだろう。騎士団もいるので無理矢理入るわけにもいかないためダンジョン内は人間に関して言えば比較的安全な場所である。
ハルと私、エリーザのギルドカードを見せると職員の後ろにいた騎士団員が驚いた顔をしていたが口を開くことなく通してくれる。
騎士団関係なら兄の知り合いかなんかなのだろう、ならばこちらから接触しなくてもいい、と思う。
「さて、お嬢。今日はどこまで行きますか?」
ダンジョンの1層目、入ってすぐのところで人の波の邪魔にならない場所に移動してハルが私に尋ねてきた。
本来ダンジョンは1日でクリアできるものではない。敵の数もそうだが、何より距離がある。
浅いダンジョンでも5階層はあるので歩くだけでも一苦労だ。
「確か、このダンジョンには記録できる場所があったわね?それを1区切りと考えて、最低1区切りというところかしら」
「そうですね、それが妥当でしょう」
ダンジョンは、本当にゲームみたいに数階層ごとに記録できるものがある。記録をすると次は入り口の近くにある水晶玉から記録した場所まで≪瞬間移動≫することができるのだ。上層はどうしても初心者などでごった返すので玄人は水晶玉で自分たちの狩場に飛ぶのがふつう、らしい。
私は恐らくダンジョンでも一度行った場所に自分で飛べるとは思うけれども区切りとしてわかりやすいのでこの記録システムを間借りすることにした。記録できる間隔も冒険者にちょうどいいものになっているからね。
「エリーザ、それでいいかしら?」
「はい。エル様がお決めになったことですから」
エリーザはそう言って笑う。一応、弓はすでにいつでも構えられるように一本の矢と共に手の中だ。
「では、そういうことで。先に進みましょうか」
私の言葉に頷いてハルが先頭に立ち、私とエリーザがその後ろを歩く。
護衛でもあるハルは私たちからあまり離れず、エリーザは私の少し後ろを歩いているので他の冒険者に不思議そうな目で見られてしまう中、雑魚はほとんど無視をして私たちは早々に次の階層へ進むための階段に足をかけた。




