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第09話:東大生殺人事件! 前編

 警視庁捜査一課。

 京一はお昼に弁当を食べていた。

 同じ課の沼田ぬまた刑事が声をかける。

「先輩、彼女の手作りですか?」

「ああ……」

「美味しそうですね」

「いや、複雑怪奇な味だよ」

「それどういう味なんですか?」

「食べてみる?」

 京一は沼田に弁当を食べさせた。

「何ですかこれは? 表現が難しい味ですね」

「でしょ?」

「でもまずくはないですね」

「そうなんだよ」

 その時、部屋の電話が鳴った。

 京一は受話器を取った。

「はい、捜査一課」

「杉並区の路上で遺体が発見されました」

「何?」

「至急向かって下さい」

「了解」

 受話器を置く。

「沼田、事件だ」

 京一と沼田は現場へと急いだ。



 現場に到着した京一と沼田。

 男性の遺体の前で合掌する京一と沼田。

 遺体の首には絞められた痕がある。

「鑑識、ホトケの身元は?」

藤堂とうどう 勝一しょういち、二十一歳。東大生です」

「第一発見者は?」

「通報をしてくれたあの子です」

 鑑識が指を差したその先には、黒川 聡子にそっくりの女性が立っていた。

「さ、聡子!?」

 聡子にそっくりの女性が京一に気付く。

「聡子……だよな?」

「何言ってるんですか? 私は黒川くろかわ 聡美さとみよ。聡子は私の双子の姉です。貴方、もしかして高岩さんですか?」

「う、うん……」

「初めまして。姉がお世話になってます」

「あ、ああ、初めまして。警視庁捜査一課の高岩 京一です。それと、聡子には俺が刑事であることはご内密に」

「どうして?」

「黙ってて下さいね。それで、遺体発見時の状況を教えてくれますか?」

「買い物帰りのことでした。通りかかったら、その方が倒れてて……」

「そうですか。その他に気になることとか、不審なものを見たり聞いたりとかは?」

「いえ、特に……」

 京一は鑑識に向き直る。

「死亡推定時刻は?」

「昨夜の十一時ごろです。詳しいことは解剖してみないと分かりませんが」

「聡美さん、昨夜の十一時前後ですが、どちらに?」

「アリバイですか? その時刻、私は事務所で寝てました」

「事務所?」

「はい。私、私立探偵をやっています。以前は貴方と同業でしたけど」

「警察にいらしたんですか?」

「はい」

「そうですか。また何か聞きたいことがあるかもしれませんので、連絡先を教えてもらっても構いませんか?」

「その際は黒川探偵事務所へいらして下さい」

「分かりました。では」

 京一は会釈をすると、沼田と共に東大へと向かった。


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