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第04話:カラオケ店殺人事件! 後編

後編です。

 京一は女子トイレの個室に入って遺体を調べる。

 頸椎(けいつい)がある位置に点のような傷口がある。致命傷はこれだ、と京一は判断した。

 因に、被害者は権藤(ごんどう) 美幸(みゆき)。二十五歳の独身OLだ。

(あの手口を模倣するやつがいるなんて……)

 京一は洗面台の前のゴミ箱を調べた。

 中にハンカチが捨ててある。そのハンカチからは仄(ほの)かに甘い香が漂ってくる。

(クロロフォルムか……。これで殺害の手口は分かったけど、犯人はまだ店内に潜んでいるだろうか?)

 京一は女子トイレを出た。

「高岩さん、何してたんですか?」

 外には聡子が立っていた。

「現場調べてた」

「それ警察がやることじゃ……」

「そうですね」

 と、そこへ所轄の警察が到着する。

 所轄の刑事たちが現場である女子トイレに入っていく。

 京一は先ほどの店員に話を伺いに行った。

「店員さん、被害者と面識はありますか?」

「いいえ、全く」

「どこのボックスのお客様ですか?」

「一五二五の団体のお客様です」

 京一はその部屋を訪ねた。

「何だ、あんた? 部屋間違ってるぞ」

 男の言葉に京一は警察手帳を見せた。

「警視庁捜査一課の高岩です。先ほど権藤さんがお亡くなりなられました」

「は? 権藤なんて女知らねえよ。何があったか知らねえが俺らには関係ねえことだ。帰んな」

「知らない? ではなぜ女性であることをご存知なんでしょう?」

「ちっ、めんどくせえな」

「話していただけますね?」

「権藤は確かに俺らの連れよ。これでいいか?」

「では、遺体の状況から見て権藤さんは殺されて三十分以内と思われるんですが、その間のあなた方の行動を教えていただけますでしょうか?」

「ちょっと待て。話を聞くのはこいつだけでいいんじゃねえか? 俺とそいつ男だし」

 容疑者その一が女性を指差した。

「わ、私は殺していないわよ?」

「とか何とか言って、お前一番にあいつに恨み持ってたじゃねえか」

「だからって殺したりなんか! それにそれを言ったら、あんたあの子に振られたじゃない! 友達のままでいましょうって。振られた腹いせに殺したんじゃないの!?」

「う……うう……」

 男性が目を開ける。

「彼は?」

「今まで寝てたよ」

「何、何かあった?」

「権藤が殺されたらしい」

「え?」

 立ち上がる容疑者その二。

「眠そうですね」

「ええ。さっきから眠かったので寝てました」

「貴方、お名前を教えていただけますか?」

「何あんた?」

「警察です」

「新藤(しんどう) 勝幸(かつゆき)です」

「被害者とはどんな関係でした?」

「恋人でした」

「そうですか……」

 京一は新藤の右の袖が濡れているのを確認した。

「新藤さん、右の袖が濡れているのはどうしてですか?」

「ああ、これはさっきトイレで手を洗ってる時に……」

「そうですか。……はい、分かりました」

「何が分かったんですか?」

「事件の全貌です」

「へえ、そら面白い。聞かせて下さい」

「権藤さんの遺体は女子トイレの個室で発見されました。では、殺害の手口についてご説明しましょう。犯人は予め持っていたハンカチにクロロフォルムという睡眠薬を含ませ、被害者が来るまで待ち伏せをする……。何も知らずにやって来た権藤さんは犯人に鼻と口を塞がれ、意識を失い、便器に座らされ、頸椎を犯人によって損傷されました。人間、頸椎を損傷すると呼吸困難に陥り死に至ります」

「面白い推理ですね。それで、犯人は誰なんですか?」

 京一は新藤を凝視した。

「犯人は……新藤 勝幸さん、貴方ですよ!」

「しょ、証拠はあるんですか? そんなに俺を殺人犯にしたければ、証拠を持ってこい!」

「証拠ですか……」

「無いんだろ!? 言いがかりもよせよ!」

「証拠ならありますよ。貴方の濡れた袖です。クロロホルムの匂いが手に付着したので、をれを落とすために手を洗ったのでしょうけど、その時に袖が濡れてしまったんですよ! 新藤 勝幸さん、貴方の負けです!」

 新藤はその場に四つん這いになった。

「あいつが、あいつがやったんだ! 二年前、最愛の妹、真理が通り魔に殺されて、その犯人が権藤 美幸だった……! うっ……うっうっ……」

 と、そこへ所轄の刑事がやってくる。

「お待ちしておりました。犯人はこの四つん這いになっている方ですよ」

「え? てか、貴方は?」

「申し遅れました。本庁の捜査一課の高岩です」

 京一は所轄の刑事に警察手帳を見せた。

「ご協力感謝致します!」

 敬礼をする刑事。

「じゃ、俺はこれで」

 京一は部屋を出ると、聡子の下へ移動した。

「高岩さん、こんな時にどこ行ってたんですか!?」

「犯人捜しです。因に犯人は警察の方が逮捕しましたからね。それはそうと、こんな所、早く出ない?」

「そうですね……」

 京一と聡子はフロントで料金を支払い、カラオケ店を出て行った。


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