第03話:カラオケ店殺人事件! 前編
前編です。
警視庁捜査一課。
京一のデスクに瑞希の写真が置かれている。
「おはようございます」
朝、京一が出勤する。
「おはようございます」
同僚が挨拶を返す。
京一は席に着き、瑞希に祈った。
(今日も平和でありますように)
「高岩警部」
と、坂巻。
「何だ?」
「今夜、合コン行きません?」
「合コン?」
「来る予定の人に行けなくなるって言われて、男の数が一人足りないんですよ。だから警部を誘ってるんですけど、どうですか?」
(合コンか……。いつまでも瑞希のこと引きずってたら、瑞希に怒られそうだな)
「行くよ、合コン」
「そうですか! ありがとうございます!」
「坂巻、コーヒー入れてくれる?」
「あ、はい」
坂巻は京一のコーヒーを用意した。
その晩。
京一は坂巻の誘いで合同コンパに参加していた。
場所は都内の某レストラン。
向かい側には端正な顔立ちをした黒長髪の女性。名は黒川 聡子。歳は……不詳。弱冠、瑞希にも似ている気もしないわけではない。
「高岩さんはどんなお仕事をしてるんですか?」
そう訊いてきたのは聡子だった。
「公務員をやってます」
「そうなんですか。私は銀行員をやってます」
「へえ」
「高岩さんのタイプの女性ってどんな人ですか?」
「俺、この前まで恋人がいたんですよ。色々あって別れちゃいましたけど」
「その恋人さんはどんな?」
「黒川さんに似て奇麗な女性でした」
京一は涙が出そうになるのをグッと堪えた。
「そうなんですか。あ、そうだ。高岩さん、今からカラオケ行きません?」
「今から?」
京一は坂巻の肩を軽く叩いた。
「どうしました、係長?」
「黒川さんが今からカラオケ行きたいって言ってるんだけど、俺ら行ってもいいかな?」
「抜けるんですか? 別に構わないですよ」
「じゃ、黒川さん、行こうか」
京一は聡子と共に食事代を置いてレストランを出ると、カラオケ屋に向かった。
カラオケ屋のボックスで西城 秀樹のヤングマンを熱唱する京一。
曲がサビに入ったところで一気に盛り上がる。
やがて曲は終わり、部屋は静かになった。
「高岩さん、歌うまいですね」
「ありがとう」
「あ、私トイレ行ってきますね」
「うん」
聡子は部屋を出てトイレに駆け込んだ。
そして、個室で血塗れの死体を発見して悲鳴を上げた。
「きゃあああああ!」
悲鳴が聞こえた京一は聡子の下に駆け付けた。
「黒川さん、どうしました?」
聡子は腰を抜かしてしゃがみ込んでいた。
「あ……あれ……」
聡子が恐る恐る指を差す。
京一はその先を見た。
(なっ!?)
騒ぎを聞き付けた他の客や店員がやってくる。
「どうかなさいましたか?」
男性店員が女子トイレに入ってくる。
「店員さん」
京一は聡子に見えないよう、店員に警察手帳を提示した。
「直ぐに店の出入り口を全て封鎖して下さい。死体が発見されました」
驚いて顔が真っ青になる店員。それはまるでデ○ラーのようだ。
「急いで下さい! 警察への通報も忘れずに!」
「は、はい!」
店員は速やかに行動する。
「黒川さん、出ましょう」
京一は聡子を女子トイレから連れ出す。
「あ、排尿……」
「男子トイレ使って」
聡子は男子トイレに入っていった。




