17──絶対、大丈夫
今、眠っていたか?
眠るというより気絶といった感じじゃったな。
どれくらい経った?
どうじゃろうな、一時間くらいかの。
誰も来なかったか。
お主が眠ってる間は、基本わしも出てこれないんじゃが……、まぁ、誰も来んかったよ。こんな所で一人で眠りこけて、何もされないわけないじゃろ。
僕はこれからどうすればいい。
集めたトークンの使い方を調べるか、孤児院に向かうか。
ああいや、それよりももっとやらないといけないことがある。
外に出ると目に刺さるくらいに日が眩しい。
僕は誰もいない村の中を、行ったことのある場所を辿っていく。村の外周を回るのに一時間もかからないくらいの村で、家と家の間に小さな畑があったり柑橘系の木が植えられていたりする。家畜も犬も人もいない。畑もほとんどが荒れ放題でまともに村が運営できていたようには思えない。極めつけに、家の中を勝手に漁るも備蓄の食料は少なく、少額の金銭が収納の奥に見つかるくらいだった。
村の中央部にあるひときわ大きな建物は、未だに火が燃え盛っていて、近づくと熱気と煙でせきが止まらなくなる。ちょうどいい。
それから僕はこの村に三日間滞在した。
一日目の今日は、村中にある遺体を、僕が殺してしまった人たちを火葬した。幸いボロ布(実際は使い古されたシーツやカーテン)はどの家にもあったので、それらを使って遺体を包み、燃え盛る建物に放り込んだ。ときどき、上手く中まで届かなくて、火傷しそうになりながら投げ直した。遺体が増えるたびに、僕を責め立てるような悪臭が上がった。それでも僕はまだ人間でありたくて、村中の遺体を燃やした。
二日目は、一日目で火葬しきれなかった遺体を燃やすのと、遺体のあった場所の血痕の掃除をした。特に村の外、道で殺した四人の遺体がまだ火葬できていない。幸い建物はまだ燃えていたので、火には困らなかった。ただ、人間は水分が多いから、全部の遺体を焼き切るのが先か、建物が燃え尽きるのが先かは分からなかった。
三日目は、建物の燃え跡から骨を掘り起こして、即席で作った墓に埋めた。昔の僕は死後の世界なんて一切信じてなかったし、お葬式だって親族の用事として出席させられる退屈なものだったけれど、今ならその意味が分かるかもしれない。何もかも我流だったけれど、そうして僕は三日目の夜、すっかり炭になってしまった建物とともに村全体の葬式を終えたのだった。
義務感から来る緊張も解けて、思い出したように鈍重な眠気が近づいてくる。この三日間、気絶したように眠り魂が抜けたように遺体を運び空虚な目で火を眺めていた。
今僕はところどころに実っていた柑橘系の果実を横に置いて、小さな焚き火を見据えている。風が吹くたびに火が揺れる。火が揺れれば揺れるほど、僕の心が落ち着いていくのが分かる。
「お疲れ様じゃよ」
僕の目の前にフード付きの巫女服を着た少女が現れる。髪型は黒髪ぱっつんデコが少し出ていてショート。左右で長さの違うもみあげ。りんとした大きなツリ目。真っ暗な瞳は、薄っすら青みがかっている。
「外に出てきてるのは久しぶりじゃないか」
「最近はお主の中に入ったままの方が多かったの。その方が何かと便利じゃったから」
「なぁハック」
「大丈夫じゃ。何も言わなくても」
目の前の少女はほのかに口角を上げて、やわらかな目をする。
この村の中には僕とこの少女しかいない。
「わしは数に入るのかの?」
「入るさ。前にもそんな会話をした気がする」
「そう、じゃな」
「あのときは、第一のウィザードが大バカモノだって、話を聞いたよ」
「……ああ……そうじゃな」
僕の前に立っていた少女は、膝の上にちょこんと座る。後頭部を僕の胸に押し付けてくるけれど、何の感触もない。重さも、ない。
「どうしたんだよハック」
「お主、わしと会えてよかったと、今も思っておるか?」
「思ってるよ。じゃなきゃ今頃死んでる」
「わしがいなけりゃ、こんなことしなかったじゃろ」
「その場合、僕は何もない同じ日々を繰り返してただろうね。そしたらオペラを助けられない。代わりにこれだけ人を殺したけれど」
少し離れたところに、二十三本の墓標が立っている。本当に粗末で一回でも嵐が来たら無くなってしまうかもしれない。でも、無かったことにはしたくない、せめて僕は覚えておかないと。そして、いつか。いや、そのいつかは来ないかもしれない。僕は神と名乗るやつを殺せるだろうか。
「大丈夫じゃ。わしがおる」
「なぁ、ハック。仮に、仮に僕が復讐を終えたとして、その後はどうすればいい」
「戦いの後のことを話すとフラグが立つぞ」
「それでもだ。僕は復讐を終えたあと、まともでいられる自信がない」
はっきり言って今でも正気であるとは言い難い。昔の自分ならありえないことをしている。すぐにでも自暴自棄になって何もかも無かったことにして、起きたら狭いワンルームの布団の中……ってことにしたい。そんな気持ちもある。
「復讐を終えたからといって、すぐに決めなくてもいいんじゃないか」
「先延ばしにするってことか? それこそ耐えられるか」
「ふむ。そうじゃな。大丈夫じゃ。いや、大丈夫じゃと思っておれ」
「でもさ、ハック。僕はたくさん殺した」
「殺さなきゃ殺されておっただろう」
「でも、子どももいたよ」
「でも、じゃ。子どもでも殺意はあったじゃろ。それに、子ども一人や二人残したところで、ろくに生きられん」
「そうかな」
「そうじゃよ」
「……なんで、ここの人たちは盗賊なんてしてたんだろうね。僕じゃなくても、いつか誰かに報復されることもあるだろうに」
今思い返せば、襲ってきた人たちに剣を持った人も槍を持った人もいなかった。全員普通の農家をやっていて、でも、盗賊になってしまったんだ。
「荒れた畑をみたじゃろ。村の位置も良くない。なにかのきっかけで作物が取れなくなって、追い詰められて略奪をする。一度やってしまったら、なかなか元の生活には戻れん。たとえ元のように作物が育てられるようになっても、略奪する方が手っ取り早いからな」
「そんな簡単に人が悪事に手を染めるんだな」
「わしの時代じゃ当たり前にあったことじゃよ。仕方がないということはいくらでもある。だから、お主もそんなに気を病むな」
「ハックは僕をどう思うんだ。僕は仕方がないで済まされるのか」
「そうじゃなぁ。その言い方は、それでは済ましてほしくないって言い方じゃの」
「だってさ」
「少し、昔話をするかの」
ハックは、実体が無いにも関わらず、僕の膝の上で座り直す。
「あれはまだわしと、リッチーが出会った頃の話じゃ──」
元々わしはこの国……ああいや、同じ国ではない、この国ができる前にあった国じゃな。そこの国が抱えていた魔術師じゃった。
前に少し話したが、当時の魔術師というのは、とても人間とは思えん扱いをされておった。暴力を振るわれておったとか、そういう話ではない。人間としての人格を認められず、ひたすら国のために使われた。
生身の人間が魔術を使うためには通常の精神状態では無理じゃ。だから、神水と言われる精神を狂わせる水を飲まされた。この神水というものは、人によって効き方や飲める量が違う。わしは、わしの一族は延々と魔術師をするために生み育てられた一族じゃ。だから、他の人よりは許容量が大きい。そうは言っても、毒のようなもんじゃ、神水がないときでさえ人の精神を持つことは難しかった。
そうやって育てられていたわしは、物心を付くことすらできんかった。
毎日傀儡のように、言われた通りに、魔術を使った。
水がなけりゃ雨を降らし。戦になれば敵を屠り。
何もなくても当たり前に人が死ぬ。道の隅に骸骨が落ちてることも、それほど珍しくない時代じゃ。じゃから、わし一人の犠牲で多くの人間が救えるなら、それは正義じゃった。誰一人としてそれが良いことじゃと信じて疑わない。わしを含め……な。
じゃが、そんな時代は終わった。お主ら言う第一のウィザード……ゴト・リッチーによってな。
当時一介の役人に過ぎなかったリッチーは、わしという、魔術師の使われ方に疑問を持った。
かわいそう、じゃとよ。
意味がわからなかった。いや、仮に思ったとしても実行に移そうなんて思わないじゃろ。
リッチーはわしを誘拐した。
無論、わしは国家の超重要機密じゃったから、容易なことでは誘拐なんてできん。じゃが、あやつはやってのけた。どうやってやったのか聞いても、毎回はぐらかしおったから詳細は聞けんかったが、まぁ、地道にわしのお世話係まで上り詰めおった。
「いつか君に外を見せてあげたい」
二人きりになったときは、大体そんなことを言っておった。
そのときどう思ったかじゃと?
その時は特に何も思わんかったよ。意識はあっても自我が発揮されている時間はほとんどなかったからの。疲れたとかお腹が空いたとか、そんな気持ちはあっても、それ以上のことはなかった。今でもなぜ記憶に残っておるのか分からん。
好きな食べ物?
そんなものも無かったよ。
ああでも、今思い返せば美味くなかったということかもな。現代の飯は美味いものが多い。
続けるぞ。
その日、やつはいつもとまったく同じテンションでこんなことを言った。
「外に出たいとは思わないかい?」
もちろんわしは頷かんかったよ。あやつはわしがいつもと同じ反応しか返さないことを見ると、普段はしない追撃をしてきおった。
「今はね。収穫祭がやってるんだよ。収穫祭は色んな屋台が出ていて、みんなで踊ったりするんだ。収穫祭に行ってみないかい」
ここでもわしは行きたいとは言わなかった。ただ、その日わしは気まぐれでこんなことを言った。
「収穫祭って何?」
「うん。見せてあげるよ」
そこからどうやって外に出たのか、わしは覚えておらん、ただ、あやつがとても嬉しそうにしていたのは覚えておる。思えばそのときに初めて、嬉しいというものを知ったのかもな。
それから捜索隊に追われてるのも構わず祭りを回ったんじゃ。意外になんとかなった。まぁ、わざわざわしを攫っておいて、呑気に祭りを堪能しているなんて思わなかったんじゃろうな。追っ手は人の少ない方へ、そして、国の外の方へ回された。わしがいなくなったことを大々的にする訳にもいかなかったんじゃろうな。祭りは通常通り続いた。
わしは普通の服に着せ替えられ、お面を付けられ、手には菓子を持ち、もう片方の手にはリッチーの手を持ち、人が賑わってる中をあれこれ見て回ったのじゃ。こっけいじゃったのは、わしが巫女を祀る祭壇をお参りしたことじゃな。まさか当の巫女本人が参拝客の中に混じってるなんて誰も思わないじゃろな。
そうして、祭りを充分に堪能してから、商人も立ち寄らない閑散とした村へと逃げおおせたんじゃ。
それでな、ここからが本題なんじゃが。
わしらが逃げ出してから、徐々に雨の降る日が減ったり、夏の気温が足りずに作物の実りが悪くなったりしていった。最初の方は本当に何も問題はなかったんじゃが、徐々に、水は足りなくなり、井戸は枯れ、遠くの川まで水を汲みに行く必要が出てきた。水を汲みに行けない場所の人たちは移動を強いられた。水はあっても作物が実らなくなった村は、なけなしの収穫物を巡って争い盗賊に落ちた村も多い。
そうじゃな。お主が戦ったこの村のようなところが、国中に発生した。
当然、大量に人が死んだ。何万人……じゃきかないくらい死んだじゃろうな。当時の人口がどのくらいか分からんから正確なところは分からん。間違いないのは、その大量死がわしのせいで起きたということじゃ。
わしは悪くない……か?
確かに、直接手は下しておらん。じゃが、わしが本来の役割を放棄して自由になるというのは、それほどの代償が必要なことじゃった。
さらに滑稽なことに、自分のおかした過ちに気づいた頃には、わしには自我が芽生えておった。罪の意識を持てるようになっておった。
わしは、リッチーにこう言った。
「わしのせいで国中で人が死ぬなら、巫女に戻る」
だけど、この発言は人を救いたいとかそういうんじゃなくて、恐怖心から来たものじゃというのがバレておったんじゃろう。リッチーはこう言った。
「今の君は本当に巫女に戻りたいと思っているのか。僕は君が犠牲になる世界は間違ってると思ってる。他に方法を探そう」
何を悠長な、そう思ったよ。
でもなー、やり遂げおったんじゃよなー。
そう、お主も知っての通り、今では第一のウィザードと呼ばれておる男じゃからな。わしを犠牲にせずに、水不足やら何やらを解決する方法を本気で探し出した。
言うまでもなく過酷な道のりじゃ。生半可なことではできない。あやつは手始めに、神水によって心を歪ませなくても魔術が使える方法を開発した。まずは自分の体で、徐々に他の人にも試すようになっていった。
それでも、全員が魔術を使えるようになったわけではない。ある程度才覚というのが必要じゃった。そこで、才能がなくても、より多くの人が魔術を使えるように改良を重ねた。
結果は、歴史が証明してくれておるな。
かくして、一時的に数え切れないくらいの死者が出て、国まで滅んだ結果、それまで以上に人類が発展することになった、とさ。
ハックはそこで言葉を切って沈黙した。僕の膝の上に収まる少女は、どこか遠くを見ている風で……、ただ僕には彼女の考えていることに検討はつかない。
「それで、なんで今話す気なったんだ?」
「なぜ……か。なんでじゃろうな。今のお主が思い詰めていた頃のわしと似ているからじゃろうか。いいかお主、わしもリッチーも自分の都合で大勢の人を死なせた。そういうこともあるということじゃ」
「でも、ハックとリッチー氏は、その後多くの人を救ったじゃないか」
「それは、マッチポンプってやつじゃろ。それに、多くの人を救ったのは結果論じゃ」
「それでも……」
「黙っとれ。何も違わんよ。お主だってこれから先多くの人間を救うかもしれんし、わしはもしかしたら、多くの人を死なせただけじゃったかもしれない。全部たまたまなんじゃよ。それよりもわしは、お主がそうやって思い詰めているのを見るのが辛い」
「なら僕はどうしたらいい?」
「少なくとも、思い詰めたところでどうしようもないのは確かじゃ。いいかお主、人間救えるのは自分自身くらいじゃ。そして、自分を救えない者に人を救うなんてできん。さしあたって、腹ごしらえするのはどうじゃ」
ハックがそう言うと、思い出したように僕の腹が鳴る。この数日最低限の食事しかしていなかったからか、体が熱量を欲している。ちゃんとした料理はゆっくり準備するとして、とりあえず横に取ってきておいた果実を剥いて食べる。
「酸っぱい」
果物なのに甘さが分からないくらい酸っぱかった。
「あはは、ふふふ。お主、なんじゃその顔は、そんなに酸っぱいか?」
ハックが笑う。
「なんだよ。お前だって食べてみれば」
「大丈夫じゃ、お主を通して味は感じれておるよ。あー、懐かしい味じゃな。昔の果物はこういうのが多かった。栄養が足りておらんのじゃろうなぁ。ふふふ」
「まだ笑うか」
「いやぁ、腹も空くし、こんな果物を不味いと思えるんじゃよ。幸せじゃよなー現代は」
「なにをぉ」
「盗賊を撃退して悩めるのも、ある意味幸せじゃぁ」
「だからなんなんだよ。僕はこんなに悩んでるのに」
「分かっておる分かっておる。ははは可愛いやつめ。悩めることも贅沢品ということじゃよ。目の前にある幸せを数えよ。ふふふ、あはは」
ハックが笑う。気でも狂ったみたいに笑う。村だった場所が笑い声で満ちる。
僕は口の中にまだ残る酸味を唾液で無理やり飲み下す。
そして、
「はは」
僕は引きつった笑みを浮かべる。
ハックは立ち上がって振り返り、僕の方を見る。
位置の調整が難しいのか、少し地面から足が離れてしまっている。
その顔の後ろに、月が輝く。綺麗な月が。
「さてと、ちゃんとした食事を探しに行くかの」
そうして僕たちは、誰もいなくなった村をもう一度巡る。
一つ一つ、残ったなけなしの物資を拾っていく。
クローゼットにはデザイン性のない服が二、三着ハンガーにかかっている。棚の中には同じ見た目だけど、よりくすんだ感じのくたびれた服が折りたたんで入れてある。奥を探すと清潔な布類が見つかる。これは持っていこう。
外にある倉庫。刃こぼれしたままの農具や何に使うかわからない道具が入っている。金属部分が茶色に変色しきっているものも、同じ場所に収納されたまま。特にめぼしいものはない。
粗末な鍵のついたおもちゃ箱の中に、塗装の剥げた積み木。これも持っていかない。
本棚には小説などの娯楽作品は一切なく、農業に関する本が二、三冊入っているだけだった。これも特に必要そうなものはない。
食料倉庫の中は、すかすかで、部屋の片隅に一つ二つ箱が置いてある。中には一週間もあれば食べ切れそうな量の小麦が入っている。僕は料理ができないので放置。奥まった場所に、酒類と魚の干物が見つかる。これはいい。持っていこう。
元の焚き火のあった場所に戻ってきて、魚の干物を焼く。
苦みの混じった香ばしい匂いが立つ。
僕のお腹が再び鳴る。
人の焼ける臭いとは全然違う食欲をそそる匂い。
焼けた魚を片手に、酒を瓶ごと飲む。
酒の味は正直よく分からなかったし、ちょっと飲みづらかったけど、魚の油をよく洗い流してくれた。
「あー」
頭がぼーっとする。
腹が膨れてその場に大の字で寝転ぶ。
空が近くに感じる。
さっきまで頭の中を渦巻いていた粘っこい靄がいなくなっている。
風を感じる。
星を感じる。
月の光を感じる。
焚き火の暖かさを感じる。
地面の冷たさを感じる。
自分の呼吸のリズムを感じる。
飽きるまで自然と自分を堪能すると、頭の芯がリラックスしてきた。
手持ち無沙汰になったから、ポケットの中から集めたトークンを六個取り出して、適当に弄る。どのトークンも三角形の板で、模様もほぼ同じ、パッと見不規則に光っていて不気味だ。
その欠片をひたすら眺めてみたり回してみたり弾いてみたり押してみたり。二つのトークンを重ねてみたり、透かしてみたり、並べてみたり。
すると、なにかの拍子にカチリといい音を立ててトークン同士がはまりこんだ。いや、この表現は正確なのか分からない。どう見たって、このトークンにはなんの出っ張りも凹みもないのだから。だけどそう、手の感触としてははまりこんだというのが一番しっくりきた。
試しに側面でくっついて四角形になった二つのトークンを引っ張る。引っ張っても叩いても曲げても外れない。元々二つだったトークンは、境目も分からないように綺麗にくっついている。
それならば、と、残りのトークンもくっつけてみる。くっついたりくっつかなかったり、法則性が分からなかったけれど、最終的に六つのトークンが全部くっついて、六角形の板に変貌した。
月の光を反射したそれは、一筋の長い長い光の線を生み出す。
多分この先に、お目当てのやつがいる。
僕はその道標を握りしめて、今夜は眠りについた。
活動報告に、今後の投稿予定と C105 の告知あります。
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