Episode13
元々バリバリの営業マンで、結婚を機に仕事を変え、子供を授かり、マイホームにマイカー。人生を着実に進めている友人。
彼女は、自分の人生が壊れないよう、劣等感を抱かないよう、学生時代から努力に努力を重ねて今の生活を手に入れた。それを間近で見てきたからこそ、私はこの友人を尊敬していた。
私も、離婚の話が出たときは、しばらく恋愛はできない。だから仕事に生きよう、キャリアアップを目指そう――そう思っていた。
だけど、いざ離婚して一人暮らしに戻ると、狭い部屋に誰も帰ってこない夜を過ごす。
誰かと一緒にいる幸せを知ってしまった自分には、それに耐えられない日があった。
だから、結婚や同棲ではなく、心を満たしてくれる人を一旦見つけたい。
それが長く続かないとしても、自分のメンタルが安定するなら、それでいい。
そんな気持ちは、一切言えなかった。
私が人生のレールを上手く走ってきた人の気持ちに共感できないように、友人には離婚した人の気持ちはわからないから。
どちらの生き方が正解でもないし、私の選択が最善策でもない。
営業マンというのは、自分の持つ知識の中で複雑なパズルを組み立てることで思考を回しているらしく、感覚や雰囲気のイメージには疎いらしい。
学生時代からの友人とはいえ、超えてはいけない境界線を言ったな、と私は思った。
だから静かに、その友人から距離を取った。
だけど、私が追い求める「理想の世界」に一番近い存在が彼女であることも、避けられない事実だ。




