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第82話 奪われない女

愛しているから、怒る。


奪われたくないから、立つ。


黙っている方が大人だなんて、誰が決めた。


今日は、誰も引かない。

海斗の手がノアールの腰に触れる。


一瞬、空気が固まる。


ヒールの音。


凛が歩いてくる。


迷いがない。


海斗の腕を掴む。


強く。


「……何してるの?」


低い。


怒鳴らない。


海斗が視線を逸らさない。


凛はそのまま、ノアールを見る。


真っ直ぐ。


「私、ずっと隣にいたよね?」


海斗に言っている。


でもノアールにも届く。


「比べられて苦しい時も、

自信なくしてた時も、

私は逃げなかった」


指先が白くなる。


「ノアールがいなかった間、あなた笑ってた」


間。


「平和だったよね?」


レンの拳が震える。


凛は続ける。


「戻ってきた途端、これ?」


今度ははっきり言う。


「私、あなたの彼女だよ」


宣言。


空気が割れる。


凛は海斗の腕を自分に引き寄せる。


「“本気で守る”って言ったの、誰?」


海斗の目が揺れる。


凛は泣かない。


一切。


むしろ微笑む。


冷たい笑み。


「簡単に奪われるほど、軽くない」


そしてノアールに向く。


「中途半端なら、触らないで」


刃。


でも涙はない。


凛は腕を絡めたまま、離れない。


負けない。


絶対に。


ノアールの胸の奥。


《奪え》


白い花が揺れる。

勝ったと思った人。


守ったと思った人。


奪ったつもりの人。


でも本当に揺れ始めているのは、


一番静かな瞳の奥。


次は、誰が飲み込まれるでしょうか。

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