表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第7章 破滅への道
64/87

ゾンビの正体は?

 プチドラは、わたしの肩にぴょんと飛び乗り、耳元でささやいた。

「このゾンビの正体は、きっと、猟犬隊員だよ」

「えっ!?」

 わたしは、一瞬、ギョッとしてプチドラに顔を向けた。プチドラによれば、ゾンビの数と誘拐された猟犬隊員の数が一致することや、ゾンビにまとわりつく衣服の切れ端の色が猟犬隊員ユニフォーム色と同じく黒であること等々から合理的に考えれば、正体は猟犬隊員以外に考えられないとのこと。ならば、捕虜とされた猟犬隊員は、誰かにカオス・スペシャルを大量に投与され、ゾンビ化したことになるが……

「デスマッチ社長、さっき、クライアントとの約束と言ったわね」

「そうだが、それが何か?」

「そのクライアントって、ひょっとして、わたしのこと?」

 デスマッチはすぐに答えず、一瞬、間を置き、

「そちらとは、カオス・スペシャル継続的供給契約以外に、約束はないはずだが」

 デスマッチは顔色も声色も変えず、ポーカーフェースを崩さずに言った。それなら、

「とぼけないでよ。今すぐにでも、懸案の捕虜の交換に応じてもいいわよ」

「捕虜の交換だって? それは別に構わないが、今日はラードの話をしにきたのではなかったのか?」

 わたしとデスマッチは、しばらくの間、どことなくかみ合わない話を続けた。こちらとしても、捕虜のギルド員は既にこの世にいないので、簡単に「捕虜の交換に応じる」と言われては困る。ただ、デスマッチはこちらの事情まで知らないだろうから、そうはならないだろう。


 そのうち、地下室のゾンビの隣で話をするのは気持ちが悪くなってきたので、わたしたちは、場所を社長室に移し、話を続けた。しかし、捕虜の交換についての結論は出なかった。こちらにも弱みはあるし、デスマッチも本質的に商人だけあって話はうまく、のらりくらりと話を引き延ばしている。ただ、話した感じでは、デスマッチはゾンビ化の原因を知らないようだ。もし知っていたら、それをネタにして、話を自分の方に有利に運ぼうとするだろうだから。

 であれば、捕虜の猟犬隊員にカオス・スペシャルを服用させたのは、顔面大爆発のキム・ラードということになる。ラードがわたしの執務室に勝手に上がりこんで読んでいた資料の中に、ゾンビ化の報告書があったに違いない。あいつ、この前に「復讐」とか言ってたけど、猟犬隊員は復讐のための実験台にされたのだろうか。


 しばらくすると、不意に、外の方がガヤガヤと騒がしくなった。何か事件でも起こったのかと思っていると、ギルド員の一人がドタバタと大慌てで社長室に駆け込み、

「社長、大変です! ゾンビです!! ゾンビの群れが!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ