表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第4章 継続的供給契約
29/87

情報は集まったけれど

 レオ・ザ・デスマッチとキム・ラードの生い立ちや経歴や性格等々について、ひととおり情報は集まったけれど、

「う~ん…… これでは、もうちょっと…… もっと直接ガツンといけるような……」

 わたしがぼやいていると、ドーンがいつものように諸々の報告のために執務室を訪れ、

「カトリーナ様、難しい顔をされてますが、一体、何を???」

「えっ? え~っと、レオ・ザ・デスマッチとキム・ラードのことよ。脱税しているとか、実はどこかに人質にできそうな隠し子がいるみたいな、もっと直接的な弱みを握りたかったのだけど」

「脱税でしたら、会社の財務書類を盗み出さないと、難しいと思います。さすがに隠し子は……そのような形跡は皆無でした。現時点でできることについて、最大限の努力はしてますが」

「努力は評価しているし、制約が多い中でよく頑張ってると思うわ」

「ありがとうございます」

 ドーンはかしこまって頭を下げた。


 わたしは報告の書類に目を通しながら、

「弱みを突くのは無理っぽいとしても…… あの二人が仲間割れでもしてくれないかな」

「仲間割れですか。それでしたら、可能性はあるかもしれませんな。あの二人、どうやら目指すものが少し違うようなのです。デスマッチは商人の子ですから、財産を蓄積することが発想の前提にあるようです。シーフギルドを乗っ取ったのも、結局、裏の世界を牛耳って贅沢したいからではないかと思います」

「へ~、そうなの。それじゃ、ラードは?」

「ハーフ・オークのキム・ラードは、ヒューマンの社会では幼い頃から疎まれ、何度も殺されかけています。この世界からヒューマンを完全に撲滅することがラードの本当の狙いではないかという話もありますから、二人の目指す方向が互いに矛盾・衝突するように持っていけば、仲間割れも有り得るかと思われます」

「それじゃ、今はどうしてくっついてるんだろう。裏の世界で君臨するのがとりあえずの目的かしら。そもそも二人の出会いって、どんなだったのだろう?」

「それはよく分かりません。剣の達人と魔法の達人ですから、お互いがお互いを必要としたのではないでしょうか。でも、まあ、『英雄並び立たず』と言いますから、そのうち、ひょっとしたら……」


 その時、ポット大臣が眼の周りを腫れ上がらせ「ひぃ~」と悲鳴を上げながら、ドタバタと執務室に駆け込んできた。

「た、た、たっ! 大変です、カトリーナ様!!」

「どうしたの? その顔……」

「ヤツです! また、あのハーフ・オークが!!」

 どうやら、また、キム・ラードがやって来たらしい。哀れなポット大臣、今度は正面から殴られたのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ