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かぼちゃのパンツはもういらない~弱みを握ればこっちのもの!  作者: 星降る夜


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11/23

10 寝坊したら護衛が増えていました


 目を覚ましたら、

 見習いが増えて、

 護衛まで増えていた。


 どうしてこうなった。


 目を覚ますともうお日様は天高く昇っていた。


 あれっ?


 いつ帰ってきたんだろう?


 全く記憶がなかった。それとも全部夢だった?


 部屋にスーザンが入ってくる。


 「お嬢様、お寝坊にもほどがありますよ。お天道様はもうとっくに昇っていますからね」


 そう言うといつものようにフリフリのカボチャのパンツを渡してくれる。


 最近はシックな色のワンピースが増えたんだけれど、相変わらずの”かぼちゃのパンツ”だ。今日のパンツにはフリルの他にリボンが3つもついていた。


 今度は紫のレースにしてもらおうかな。


 「おなかしゅいた」


 着替えがすむと早速ご飯だ。窓の外にはいつものようにトムじぃがいる。誰か新人さんとお話ししているみたいだ。誰だろう?


 不思議に思いながら食事を済ませると、いつものようにトコトコとトムじぃの所まで行く。


 「お嬢様、見習いが2人はいりましたんで紹介しますね」


 何だか見た事のあるような少年が2人私にお辞儀をする。


 「ルリア3しゃいでしゅ。よろしく」


  短く刈った茶色の髪……昨日も見た気がする。


 流行りの髪型かな?


 「こっちの茶髪がクーガでそっちのグレーの髪がギンです。ほら、ちゃんと挨拶せいっ」

 「「よろしくお願いします」」


 2人揃って元気なことだ。


 向こうからテッドも少年を2人連れてやって来るのが見えた。


 「お嬢様、こっちの悪ガキ共も挨拶させますんで。ほら、挨拶しろ」


 んっ?見習いが入る季節なのか?


 前世の日本で言う4月1日みたいな感じなのかな?  


 テッドが二人の頭に無理やり手を置いて、下げさせた。


 「ジャックとウィズだ。よろしくお願いします」

 「ルリアでしゅ。よろしく」


 一度に4人も覚えられるかな。


 心の中で、ジャック、ウィズ、クーガ、ギンと復唱した。


 母屋の方からセバスチャンがまた1人少年を連れてやって来る。今度は執事見習いか?


 「お嬢様、今度からお嬢様専属の護衛が付くことになりました」

 「ごえい?」


 見覚えのあるシルエット!?


 「レオンです。お嬢様。以後お見知りおきを」


 私はレオンを指さすと、驚きのあまり名前を思いっきり噛んだ。


 「れ、れお?なぜここにゅ?」


 その後、トムじぃが温室で教えてくれた。内緒の話。


 トムじぃは昔、影の長だったそうだ。この間逃亡したお頭とは意見が合わず影から足を洗ったそう。


 セバスチャンのお父様が元々ここの先代に仕えていた影で、セバスチャンが後を継ぎ、その後セバスチャンの紹介でトムじぃとテッドが雇われたんだって。


 ちなみにテッドは体重オーバーで影をクビになったらしい……わかる気がする。


 簡単に影って辞められるのか?疑問に思った。

 でも何となく深く聞かない方が良いような気がした。


 「ふ~~ん。で、れおは、なぜ、ここにゅ?」

 「燃えたんだ。……全部な」


 まっ、それじゃあ仕方ないけど……。

 でも、やっぱりちょっと嫌なんだよね。


 この人、ポップアップ多くないかなぁ~~


 私は平穏に暮らしたいんだけど。何となくなんだけどね~~


 私はミルクティーをすすりながら、レオンをジト目で睨み続けた。


 だって、あの人……絶対また面倒ごと運んでくるに違いない。私のカンが言ってる。


 でも、窓の外を見ると、もっと気になるものがあった。


 影の子たち――新入りのクーガ、ギン、ジャック、ウィズ。


 それにトムじぃとテッド。


 何か、こう。ひらめいたんだ。


 他にもいたよね。何人か……


 やりたいことがあるんだ。ふふふ……


 「どうした、顔が変だ」


 な、何て失礼なのかしら、レディーに向かって!


 でも皆がいれば出来るような気がしてね。やりたいのはベビーカステラ屋さん。中にチーズやクリームチョコレートなんかを入れて焼くんだ。


 街で売ればきっと少しはお金になる。いつかここを追い出されたときのために何かやりたかったんだ。


 これだけ人手がいれば大丈夫な気がする。ついでに情報屋も良さそう。浮気の調査専門が良いと思う。需要が多そうだもの。


 私の脳内は、取らぬ狸の皮算用でいっぱい。


 仲間も増えたし、大丈夫。まずは試作品作りといきますか。


 テッドを捕まえると、早速見習い2人をこき使ってカステラを焼く。凄く良い匂いがキッチンを漂う。匂いにつられて、周りにたくさん人がやって来た。


 金色に輝く焼き立てを配れば、皆嬉しそうに笑う。


 私の頭の中ではジャラジャラと小判が降ってくる。しめしめこれは成功の予感。


 「これ、うれりゅ?」


 レオンはしばらく考えていたけど、トムじぃに何か言っていた。そうか、実はこの中で、トムじぃが一番偉いんだ。トムじぃはニッコリ笑って親指を立てた。


 サムズアップね!やったあ!


 私はミルクティーを一口飲んで、

 また一つ、面白いことを思いついた。


 そのとき、

 目の前が、一瞬だけ、ちらりと歪んだ。


 まるで、

 別の景色が、重なったみたいに。


 誰かが、地面に倒れている。

 人の輪と、ざわめく声。

 赤い色が、やけに目に焼きついた。


 でも次の瞬間には、

 何事もなかったみたいに、

 世界は、元に戻っていた。


 私は、思わず自分の手を見た。


 (……今の、なに?)




 ☆これにて全10話完結☆

 年末スペシャル企画『カボチャのパンツはもういらない』、最後まで読んでくださりありがとうございます!

 まとめ読みも大歓迎、ぜひ年末のお供にどうぞ!


 いつかまた、ルリアと影達とカステラ屋さんのお話も

 書けたらいいな、と思っています。


 「また読みたいな」と思っていただけたら、

 リアクションで教えてもらえたら嬉しいです。


 ここまでおつきあくださりありがとうございました。

 良いお年をお迎えください。


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