三大魔法学院対抗戦-個人戦-
※サブタイトルをすべて変えました。これでやっと本編突入といった感じでしょうか。
三大魔法学院対抗戦は各校の勝利数によって優勝が決まる。つまり、勝てば勝つほど優勝に近づくわけだ。三校による総当り戦になるわけだが、1年生、2年生、3年生という出場枠が設けられてる。試合の相手は開会式時にくじによって決められる。
「・・・・というわけでここに三大魔法学院対抗戦の開会を宣言する!」
ウオオオオオオオオオオオオ!
大きな歓声と拍手が会場に溢れかえる。大賢者マーリンの言葉により三大魔法学院対抗戦が始まった。大賢者マーリンは魔法学の第一認者の1人であり多くの魔法道具や武器、魔法など多岐による分野で活躍している人物だ。今年で75歳になるが、その姿はまだ活力にあふれておりまだまだ現役といっていい。
マーリンがゆっくりと壇上にある箱に向かう。箱の中には今大会初めの対戦相手を決めるクジが入っている。マーリンは箱に手を入れ中の紙を掴むと勢いよく空に掲げた。
「初戦はカルパニア魔法学院!」
オオオオオオオオオオオオ!
歓声と拍手が起きるが本番はこれから。対戦相手がどの学院かだ。各代表に緊張が走る中マーリンが再び紙を掲げる。
「対する相手は・・・・・ギルナミア魔法学院!」
ワアアアアアアアアアアア!
三度歓声と拍手が起きる。去年の優勝校が初戦の相手だとわかり代表選手に緊張が伝わる。個人戦と団体戦の選手が別れる中、カルパニア魔法学院の1年代表達が一箇所に集合していた。
「今までの特訓を生かして優勝するぞ!」
「「おおっ!!」」
彼らは他の学院の視線や他学年の目を気にすることなく気合を入れ控え室へと向かっていった。
「さて、遂に始まりました!三大魔法学院対抗個人戦第1回、カルパニア魔法学院対ギルナミア魔法学院。カルパニアからはアカネ・カミナギ選手!対するギルナミアからはフォーティ選手の対決です!」
司会の声が会場に響き渡り、アカネとフォーティが闘技場に登場した。互いに相手をにらみ合う。
同じ頃、闘技場の観客席、個室に二人の男が座って観戦をしている。1人は老人、もう一人は3、40代といったところだろうか。
「不憫な子ですよ」
老人の隣の男が老人に話しかけている。
「魔力がなく色々試したのですがだめでして・・・」
「ふむ、気付いたのはいつごろかね?」
「幼年時、魔法育成の時ですよ。幼い頃から剣の修行をさせていたのがイメージとなったのでしょう。魔法剣を作成しましてね、そのときは家族大手で喜んだのですが、剣を作ったら魔力もなくなったようで」
「珍しい症状じゃな、普通は魔法剣どころか魔法すら発動できないというのにのぅ」
「マーリン様、どうにかならないでしょうか?」
マーリンと呼ばれた老人は試合から目を離さずに男に答える。
「大丈夫じゃろう、恐らく魔力の弁が幼少時に閉じてしまったのじゃよ。なに、弁さえ開ければなんてことはない」
「あ、ありがとうごさいます!この恩は決して・・・」
「そこまで、礼はあの子を救ってからじゃ。まずは、あの子の試合を見守ろうぞ」
「はい・・・!」
試合開始の合図と共にアカネは魔法剣を換装し、相手に一気に近づいた。
(先手必勝!)
身体強化魔法を展開し間合いを一瞬にして詰め、幼少より鍛えてきた刀技を繰り出す。
<カミナギ流弐の太刀!>
フォーティは突然間合いをつめてきたアカネに冷静に対処する。手に地属性を付加、前面に岩の壁を張りガードをした。これに対してアカネはそのまま斬り込んだ。前面に壁を張った程度で弐の太刀を防御できないからだ。
『カミナギ流弐の太刀』
この技は大きく振りかざした後剣を鞘に収め抜刀術で敵の背後を斬るという技。そこからさらに技をつなげていくのだがアカネはそこまでしない。なぜなら、アカネが持っている刀が魔法剣だからだ。
『氷属性魔法剣、刀型:氷天下』
その刀身は冷気で包まれているが最大の特徴は斬った対象に対し氷属性魔法B級のフリーズがかかる点にある。魔法剣はその属性に見合った属性魔力や魔法を与えることでその効果を発揮するが稀に特有のスキルを持った魔法剣が存在する。
故に勝負はあっけなく着いた。背後からの衝撃を感じた瞬間、フォーティは意識を手放す。フリーズの効果により凍りついたままのフォーティが倒れ試合は終了した。
会場は一瞬時が止まった。誰もが予想できない結果で終わったからだ。
試合を観戦していた個室の二人もこれは予想すらできず、ほんの一時固まっていたが、マーリンがようやく口を開いた。
「おぬし、わしを謀りおったか?」
「いえ!そのようなことは決して!そもそも3年以上かけてマーリン様との会談を取り付けたのです!謀るなど!」
慌てて弁解するゲン・カミナギに対してマーリンは笑いながら手で抑える。
「ほっほっ!冗談じゃ、ここ最近なにかあの子に変わったことはなかったかな?」
「正直私にもさっぱりでして・・・。変わったことというと試合の2週間前に特訓だと言って学院に行っていたくらいで・・・」
マーリンは自分のあごひげを触りながら神妙な顔立ちで答える。
「ふむぅ、ではその時に何かあったのじゃろうな。でなければ魔力がここまで回復するはずがない」
「何かとは・・・?」
「それは本人に聞かなくてはわからんじゃろうて」
そう言うとマーリンは立ち上がり個室を出て行く。
「マーリン様、どちらに?」
「おぬしの娘に謎を解いてもらうのじゃよ」
マーリンはそのまま選手控え室に向かう。そのあとを追うようにゲンも続いた。
選手控え室では大歓声で盛り上がっていた。廊下までその声は響いており、彼女らの喜びが伝わってきている。そんな控え室をノックするゲン。
「すまんが、アカネはいるか?」
「はい?アカネー!お客さんー!」
ノックに応え出迎えたのは黒髪の少女だった。彼女はアカネの名前を聞くと部屋の奥に呼びに行った。しばらくすると、アカネを連れてきた。
「お父様?」
訪ね人を見るいなや誰が訪ねに来たかを理解するアカネ。そしてその様子を見て、場の空気を壊さないようにとサリアはそっとその場を立ち去る。
「お父様、何の御用でしょうか?」
「実はマーリン様がお前に聞きたいことがあるらしいのだ」
「マーリン様が!?」
突然の親の訪問に疑問を持ったアカネだったが、訪ねた理由がとんでもない人物だとわかった瞬間驚きで固まった。
「ほっほっほ、そう固まらんでよい。少々おぬしに聞きたいことがあるだけじゃ。失われていた魔力をどうやって回復させたのかを、な」
「えっ!!」
「ひっじょうに気になっておるのじゃよ。魔力回復術を使える者は少ない、できれば紹介してほしいのじゃ、貴重な能力の持ち主だしなぁ」
「そうなのですか・・・。でも、期待したとおりの人物ではないと思いますよ?」
「構わんよ、それでその者の名前は?」
「・・・・ゼロ、先輩です」
呼び捨てにしそうになり、慌てて先輩をつけた。
名前を聞いた瞬間マーリンの眉がピクリと動いたがその場にいた人間にはわからなかった。
「どんな人物かね?」
「ええと、この前転入してきたらしくって・・・そのサリアのお兄さんということぐらいですが・・・」
「サリアというのは?」
「さっき私を呼んできてくれた子です、ゼロ先輩は彼女の兄なんです」
その後もマーリンはいくつか質問をしそれに納得したような様子だったが、内心ではまったく納得してはなく、むしろ疑問や謎が増えていくばかりだった。
その時大きな歓声が上がる。どうやら試合が終了したようだ。
「そうか、ではこれにて失礼するよ。最後にいいかね?ゼロ君はここに来ているのかのぅ?」
「はい、仕事で来ているらしいです」
「そうか、そうか。それじゃあ頑張りなさい」
「頑張れよ」
そう言うと二人は去っていった。アカネは彼らをしばらく見送っていたがすぐに控え室に戻って試合の結果を聞きに言った。
(確か次はエルのはず・・・!)
控え室では意外にも静かだった。これでなんとなく見当がついたが勇気をもって聞いてみた。
「・・・結果は?」
レンが口を開く。
「エルの負け。加速魔法を使って一瞬でケリを着けたはずと本人は言っているんだけど私たちから見た感じエルがぼーっと立って数秒後に倒れた。正直、何が起きたのかさっぱり」
「そうなんだ・・・」
「何の話だったんだ?ずいぶんと長かったけど」
「ああ、いや、大したことはないんだ。その、お父様がお会いしたいと言ってきただけで・・・」
あえてマーリンと会ったことを伏せた。もちろん、話した内容もだ。話をしなかった理由は次の試合がサリアだからだ。兄のことを話したら、何かと気にかけて試合に集中できないかもしれない。話すのは後にしようと考えたのだった。
一方、マーリンとゲンは静かに歩いていた。目的はマーリンにまかせているせいかゲンは一歩遅れている。長い沈黙に耐え切れずゲンはとうとうマーリンに話しかけた。
「マーリン様、一体どうしたのですか?」
深刻そうな顔は崩さずにマーリンが答える。
「少々納得がいかんのじゃ」
「納得?あのゼロとかいう人物のことですか?」
「そうじゃ、わしが知る限り魔力回復ができるゼロという名の人物は1人しかおらん」
「では、その人物なのではないですか?」
「じゃが、その人物はとてもじゃないが他人のために力を貸すような男ではない」
「どういうことですか?」
「わしの知っているゼロは大陸最強の魔法剣士にしてレイディアント・ロウ(光属性魔法を極めし者に与えられる称号)の称号を持ち、冷酷非道、死の剣閃とも呼ばれている男じゃ」
「し・・・死の剣閃・・・?そ、そんな人物が学院に・・・!?」
「いや、それが考えられんのじゃ。あやつに妹のなどおらんし、学院になど所属しておらん」
「で、では誰が私の娘の魔力を・・・?」
「それが謎なのじゃよ」
「マ、マーリン様・・・?」
「とにかく、ちょうど知っているゼロのほうは仕事で来ているらしいからのぅ。そちらからあたるかの」
「仕事ですか・・・?」
「うむ、奴は今、クランの蒼穹の翼でマスターをしてるらしい。大会本部に行けば会えるじゃろう」
「で、では早速向かいましょう!」
「うむ」
二人は急ぎ足で大会本部にと向かっていった。
――個人戦第三戦目
カルパニアからはサリアが、ギルナミアからはエイティとの対戦となっていた。試合開始の合図が鳴り両者は一瞬にらみ合う。お互いが警戒している証拠だろう。一戦目、二戦目とカルパニアの先制攻撃があったためギルナミアの選手は慎重になっているといえる。しかし、サリアも動かない。これは相手の様子を伺っているといえる。ゼロの教えに正体が掴めない相手にはまずは様子見を見ろと言われた。
サリアは相手が仕掛けてくる前に魔法を発動した。
<アイスアロー!>
相手がどんな動きをするかの牽制魔法を放つ。相手の出方によって魔法を展開していく作戦に出たのだ。迫り来る氷の矢に対しエイティは自分の目の前に黒い壁を作り出した。矢は黒い壁に吸い込まれ消えた。
(今のは一体・・・?)
見たことが無い魔法だ。
(まずは動きを止める!)
オーシャンを発動するため魔法陣を展開しようとした瞬間、相手から攻撃が来た。黒い矢のような魔法だ。咄嗟に攻撃魔法のオーシャンを防御魔法に変更、属性を水から氷に変えアイスウォールをはり凌ぐ。黒い光はサリアの周りへと拡散していった。
(この魔法は何属性なの?)
疑問が浮かび上がるが答えは出てこない。アイスウォールを解除し、再び魔法を展開しようと詠唱をしかけて止まる。サリアの周りは真っ暗な闇に包まれていた。
遅くなりました。多忙のため今後遅れるかと思いますが更新は必ず行います。




