12月20日 横倒しの8は勇気の印じゃありません
遅くなりました、今日のお話です。
魔方陣内の光と風は、どんどん強くなります。
とーさんの皮ジャンがあおられて、まくれあがってますよ。
スカートはいてたら、まあ、たいへんな状態でしたね。
こんなこともあろうかと、スキニージーンズなのですから!
魔法使い猫さんが、私の頭上に杖をかざしました。
「いでよ、この物の魔力を現す印よ」
力む魔法使い猫さん、息をのむハリィさんと透明化ナウなギンさん。
「よし、出ましたぞ…にゃにゃ、あの印はいったいなんにゃ?」
魔法使い猫さんが上を見上げて固まってます。
ぽそりとフードがおちて、フレーメン状態の太めなキジ猫さんになりました。
ハリィさんも、見えないけどたぶんギンさんも。
不思議そうに私の頭上を見上げてます。
「なんかヘンなのでましたか?」
私も上をみてみました。
「む、む、無限大?」
おおぅ、あの横倒しのアラビア数字の8みたいなのは…。
∞マークじゃないですか!
魔力鑑定したら∞マーク出現ですと。
あれ、なんかひっかかります。
なんだろう?
あああっ!
ヴァルノーラ世界に来た日の朝、PC画面に点滅してた文字。
まりょく ∞。
そして、たいりょく ∞。
まりょくは魔力で、たいりょくは体力ってことだよね。
無限大ってことは、MPも、HPも、底なしってこと?
それ、どんな無茶ぶりテンプレチートなんですか?
そこだけチートって、他はどうなんですか?
知力とか∞なら、もうちょっと賢くなってるはずだけど。
その感じは…しないじゃまいか。
疑問が脳内をぐるぐるしてます。
「サツキさん、その印に心当たりがありますか?」
ハリィさんが小さい声で聞いてきました。
「はい、あれは無限大で、ようは底なしって意味です」
「「なるほど」」
ハリィさんとギンさんの声が綺麗にはもりました。
……食欲とかは底なしじゃないからね!
※※※
結局、説明したら、なんかややこしくなりそうなので。
固まったままな魔法使い猫さん、そのままにしてさよーならです。
受付のシャム猫さんから、冒険者ギルド証を受け取ってハリィさん家に帰宅。
透明化解除のギンさんと、ハリィさん、私の三人で対策会議ナウです。
「ギルド証は手に入りました。これがあれば、どの街でも身分証になります。
それに魔力の謎も、まあ解けたし、よしとしましょう」
「底が知れぬと思ったが、ほんとうに底がないとは、愉快、愉快」
えーと、ハリィさん、それでいいんですか。
謎の人の謎が、さらに謎にしたような気がするんですけど。
魔力底なしなのは、あまり問題じゃないんですね、ギンさん。
「それで、これからどうします、サツキさん?」
ええっ、これからですか?
とりあえず、憩いの3DKマンションに帰りたいです。
お風呂入って、美味しいご飯食べて、ぐーたらしたいです。
あと、リザードマン村長さん家にある、おきっぱの荷物、回収したいし。
あ、ハリィさんにもお金、返さなきゃ。
なので。
「ハリィさん、トラベリングストーン、売ってください。ツケで」
「はあ?」
ハリィさん、再び、フレーメン状態。
再起動するまで、しばらくかかりました。
再起動したハリィさんと協議の結果。
トラベリングストーン、3個売ってもらいました。
あと、黒パンと卵も売ってもらいました。
もう、食パンが二枚くらいしかないのです。
かわりに、自宅にある食料。
魔力を帯びた、異界の食べ物ですね。
これを、ハリィさんに卸すことにしました。
明日、トラベリングストーンを使って、もってくる予定です。
候補は、おとーさんのビールと、おかーさんの上白糖。
たーくさんあるからねえ。
さて、リザードマン村長さんとこよって、荷物回収して家に帰りましょう。
…ギンさんは、私と一緒に帰る気満々です。
もう、ギンさん、私のもふもふ宣言していいよね♪




