12月20日 翼よ あれが猫の灯だ(違)
今日のお話です。
やっと街についたけど、人はいるのでしょうかw
「ハ、ハリィケルンの名において命じる、トラベリングストーン!
私の街にいくにゃ~~~!!」
ギンさんの胴体にしがみついて、ハリィさんが絶叫。
白く輝く石はさらに光をまして、私達を包み込みました。
うわあ、すんごい浮遊感です。
ギンさんの首にしがみついてないと、どこかに飛んでいきそう。
「跳ぶぞ」
ギンさんの声と同時に光がはじけました。
なにか薄い膜を突き破ったような、そんな感じがしてます。
で、エレベーターが下に下りていく感じ。
「つ、ついたみたいだにゃ」
へなへなと、ハリィさんがその場に座りこんでます。
げっそりとやつれたみたいな、一回り小さくなったみたいな~。
「普通のトラベリングストーンのはずにゃ。なんでこんな風になるにゃ。
わからにゃい、不良品なんにゃ」
すっかりにゃにゃにゃ言葉でぶつぶつ言ってますね。
深刻なんだろうけど和みますよ。
さて、ここはどこなんでしょう。
どこかの路地裏って感じの場所ですが。
左右にはレンガの壁、足元には石畳。
明るいほうは、人がいききする影がみえます。
「ハリィ、ここはお主の街か?」
ギンさんが大きく伸びをして、ハリィさんに聞きました。
「にゃ、そうです…にゃ」
まだ動揺してますな、ハリィさん。
「トラベリングストーンは、普通、人が歩いて半日の距離しか跳べないものだが。
その倍の距離を、吾とサツキとお主を同時に運ぶとは、驚きぞ」
「そう、そうなんです。まるで魔力が暴走したかのようで」
そこで、はっと気がついたように、私をじーーーってみつめるハリィさん。
ギンさんも同じようにみつめてきます。
なにか顔についてます?
「サツキさんの魔力のせいでしょうか、シグムンのギン殿」
「左様、この人の仔の魔力は底がしれぬ。なにが起こってもおかしくなかろう」
「とにかく、私の家まで移動しましょう。シグムン殿は穏行で移動願います。
幻獣が現れたら、大騒ぎになりますから」
「よかろう」
ギンさん、七色にゆらめいたかと思ったら、突然消えました。
でも、滑らかな毛並みが両手にふれてます。
さわさわ、ぴんぴんも健在です。
おおぅ、光学明細化スキルですか、かっこいい♪
人と二足歩行猫とみえない一頭で、人通りのあるほうへ移動です。
そこはにぎやかな通りでした。
いろんな屋台がでて、おいしそうな匂いが食欲をそそります。
行きかうのは、猫、猫、猫、時々、黒猫とか。
鯖虎猫、錆猫、虎縞猫、三毛猫、白猫、斑猫。
大きいの、細いの、太ったの、長毛、短毛、巻毛。
直立歩行に服を着た猫の見本市会場です。
煩悩百八ある、夢の街です!
ああ、みんな、もふって、もふって、もふりたい~~。
「ね、ね、猫さんの街ですね」
「我ら、猫族の街ですよ、サツキさん。私の家はこちらです。はぐれないように」
「はあい」
ハリィさんの私の右手をつかんで、猫ごみをかわしつつ前進。
肉球の感触がここちよいです。
いきかう猫さんたちが、物珍しそうに私をみつめてます。
「人」が珍しいんでしょうね。
ライトブルー、ゴールド、イエロー、たまにオッドアイ。
どの目も宝石みたいに綺麗ですね。
ハリィさんの家は、通りを渡って、路地を曲がったとこにありました。
こじんまりとした、二階建ての家です。
鍵をあけて私と見えないギンさんをいれて、自分も中へ。
内鍵をしめてから、そのままずるずると座りこみ。
…よっぽど疲れたのかな?
今日はまだまだ終わりそうにありませんね。
ああ、お腹すいたけど、お昼ご飯、食べられるのかな。