第1話:ミステリーフィッシュファイト開幕ッ!!
サウナの中、空気は重く、熱気が肌を焼くように襲いかかる。額から滴る汗が視界を曇らせる。
室温はすでに100℃を超え、立っているだけで体力を奪われる環境……
だが、この場にいる二人は違った。
「ここで決着をつけようぜ、ひげ……!」
向かい合うのは、サウナ歴40年、背中に無数の人生の重みを刻んだおっさん。
額の皺には汗が溜まり、全身から湧き出る汗がタオルに吸い込まれていく。
おっさんの手には、見事な一本の巨大マグロ。
対するひげは、全身から蒸気のように汗を吹き出しながら、右手に握る銀色のサバを構えた。
「おっさん、お前のマグロは確かに強力だ……だが、この灼熱のサウナで俺のサバの速さについてこれるか?」
おっさんはニヤリと笑い、汗を拭いながらマグロを肩に担ぐと、重々しく構えた。
「やってみろよ、若造……!!」
「喰らえ!! マグロ・クラッシュ!!」
ビターーーン!!
振り下ろされたマグロがサウナの木製ベンチを粉砕する。砕けた木片が飛び散り、汗と蒸気が舞い上がる。
だが——
「遅い!!」
ひげは汗まみれの身体を滑らせ、ギリギリでマグロの衝撃をかわす。そのままサバを横一閃に振るった。
「サバ・スラッシュ!!」
シューン!!
鋭いサバの一撃が空気を裂き、おっさんの腕をかすめる。飛び散る汗、ほのかに漂う魚の香り。
「チッ……!!」
おっさんは一歩下がり、汗を拭ってマグロを振り上げた。
「これならどうだ!! マグロ・スイング!!」
ドゴーーーン!!
巨体の勢いを乗せた横薙ぎのマグロがうなりを上げる。
「くっ……!!」
ひげはサバを盾にするが、衝撃でサウナの壁に叩きつけられた。
壁にぶつかった瞬間、熱気が肌を焼き、全身からさらに汗が吹き出す。
「……フッ、やるじゃねえか……。」
両者の呼吸が荒くなる。熱気と汗が体力を奪い、立っているだけで意識が遠のきそうになる。しかし、戦いはまだ終わらない。
「ならば……これで決める!!」
おっさんは全身から汗を飛び散らせながら、マグロを回し始める。
「マグロ・トルネード!!」
回転しながら熱気を巻き込み、マグロが嵐のようにひげへと襲いかかる。
だが——
「甘いな!!」
ひげはサバを天高く放り投げた。
「何!?」
サバは空中で光を反射しながら高速回転を始める。
そのままひげは汗まみれの身体をしならせ、最後の力を込めて飛び上がった。
「サバ・ストライク!!」
回転するサバを全力で掴み、そのままおっさんの顔面に叩きつける!!
ベチィーーーーン!!
「ぐはっ……!!!」
熱気と汗が飛び散り、おっさんはその場に崩れ落ちた。
「ぜぇ……ぜぇ……。」
ひげは呼吸を整えながら、汗で滑るサバを肩に担ぐ。
「おっさん……お前のマグロ、確かに重かった……でも、このサウナでは速さが勝つんだよ。」
おっさんは倒れたまま、ゼェゼェと息を切らしながら笑った。
「クソ……やるな、若造……また、勝負しようぜ……。」
「もちろんだ。」
そう言いながら、ひげは汗を拭い、サウナの扉を開けた。外の冷たい空気が流れ込み、戦いの熱気を一瞬で奪っていく。
ひげの足音が遠ざかる中、サウナの中には熱と汗と魚の匂いだけが残っていた——。