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18話 ~受験~

 


 空気が張り詰めている。


 それもそのはず、何しろこれから王立ワシントン学園の面接が始まるのだ。


 沢山人数がいるという事で集団面接だ。「なぜこの学園に入りたいと思ったのか」とか「将来の夢は」とか、事前に想定していた通りの質問来る。


 あまり緊張はしない。なぜなら自分よりも緊張している5,6歳の子供たちと一緒に面接を受けているからだ。想定外の質問もきて、それは「なぜもうこの学園の制服を着ているのですか」という質問で、しかも俺だけに来て困った。


 仕方がないので祖母(シャルルの祖母)がせっかちすぎて用意してしまったので、という苦しいわけをしてしまった。これは落ちたかもしれない、そうなったら全部あいつのせいだ。


 人数が多いからか質問の数は少なくて面接はあっという間に終了し、教室を出る。これで終わりでは無くて、これから2階の校舎で学力テストを受けなくてはいけない。


 これが一番自信がない。家では家庭教師を付けて勉強していたが、この受験のための勉強はしていない。これで落ちたからといって誰文句を言わないで欲しい。


 それが終わったら次は作文、お題は「私の夢」。そんなもの今の所は無いのだが、そんなことは書けるはずもないので捻りだす。「もし自分がテイマーになれたら仲間にしたい魔物ベスト3」というタイトルにした。


 テイマーというのは魔物を仲間にできるスキルを持ったいわゆる「魔物使い」のことで、ほとんど伝説級の存在だが昔は本当にいたらしい。


 本当はテイマーになりたいというわけでもないのだが、魔物については受験関係なく調べていたのでその知識を生かせると思ってこのテーマにした。魔物の特性について説明しながら、選んだ理由とそれをどうやって国のために活かすか、という作文。


 疲れる。カンニング防止のためか、受験生の近くには厳しい表情をした人がいつも監視しているので、精神的に疲れる。


 これが終わったら次は外で運動能力テストが待っている。これだけの事を子供にやらせるのは酷だと思う。


 ポケットに入っている犬の石像を触って心を落ち着かせる。これはいつの間にか手に入れた物なのだが、触っていると安心するので、今では欠かせないアイテムになっている。


 そうだよな。よく考えてみれば他の子の方がはるかに疲れているだろう。そもそもこっちは絶対に受からなきゃいけないというわけでもないんだ。しかも前世では高校生だったのだ。普通の子供とは精神力が違う。


 よく見てみれば受験官の人たちも大変そうだ。前世では先生はとんでもなくブラックな仕事だと言われていたが、この世界も同じなのだろうか?それだったら教師にはなりたくないな。せっかく異世界なのだから楽で給料の高い仕事に就きたい。


 だんだん落ち着いてきた。


 せっかく応援に来てくれている母とシャルルの期待を裏切りたくはないのでできる限りいい成績を出せるように頑張ろう。


 運動なら道場でさんざんやっているから、今までのやつよりは楽だろう。


 落ち着いて気楽にいこうか。




 ◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆



 グラウンドへ行くともうすでに、競技をしている子供たちの姿がある。校内での試験が終わった人から順次、運動能力試験に回されるので不思議なことではない。


 それを横目に見ながら受け付けに行き番号札を渡す。自分の番がきたらアナウンスされるらしいので、それまでは皆が待つ場所へ行って待機だ。


 ようやく一息つける、そう思って振り返るとそこにはシャルルがいた。


「驚きすぎじゃない?」


 そりゃあ驚くだろうと思いつつ、シャルルと一緒に歩く。敷地は広くて参加人数も多いので、みんながどこにいるのか探すのは大変だろうという事で、シャルルが来てくれたのだ。


 保護者の待機場所を結構歩いて行って見つけた。そこには母親とアダチが待っていた。レジャーシートの上に腰かけるとさっそく、面接とテストはどうだったのかという話になる。良くも悪くもなくまあまあだったと答える。


「まあまあってなによ」と突っ込まれるが、点数が発表されているわけではないから、それくらいしか答えられない。分かる問題もあったが分からない問題もあった。全部の科目が満点でない事だけは確かだ。


 紅茶が美味しい。


 聞けばアダチがいい紅茶を持ってきてくれたようだ。よく見てみれば高そうなティーカップだ、こんな所に持ってくるようなものじゃないような気もする。


 けれどこの紅茶が母親が持ってきてくれたクッキーによく合うのだ。


 美味しい。



 外の雰囲気は思い切り運動会なので、だんだんと楽しくなってくる。


 話をしながら待っていると、競技しているのはまともに身体強化を使えていない子供ばかりだから、絶対に一番になれるはずだとシャルルが言ってくれる。


 そんなに簡単なわけがないと思うが礼を言っておく。美味しそうなサンドウィッチがあったので手を伸ばしたが止められた。食べると運動するときにお腹が痛くなるからダメだと言われてしまった。


 正論なのでしょうがなく紅茶を飲む。


「405番」


 俺の番号がアナウンスされた。


 最初の競技は二人三脚らしい。なぜ受験の科目に二人三脚があるのかわからない。もしも相方がこけてしまったら終わりじゃないか。


 シャルルと母が気合を入れてくれる。


 雰囲気はやっぱり運動会だ。


「頑張って来るよ」と言って指示された場所へ向かう。



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