4 異世界転生したらペタペタ美少女と出会いました(3)
ものの十五分で十数キロ離れた村に着いた。時速六十キロというところだ。いくら子供とはいえ、美少女に「すごい、すごい」と言われるのは、本当にいい気持ちだ!!
オークを冒険者ギルドのオヤジに預けて、ミュウミュウと御者さんを村唯一の宿に連れて行くと、気を失っている御者さんを見た女将は、慌てて医者を呼んできた。
医者の見立てでは、命に別状はないが脚の骨が折れており、回復には時間がかかるとのことだった。
「よかったわ……」
ミュウミュウはホッと胸をなで下ろすが、そんな簡単に治る怪我じゃない。
「こんな大怪我なのに『よかった』なんて言っていいんですか?」
「ええ。確かに大怪我だけど、命あれは治癒魔術で治してあげられるもの。……今は魔力切れで使えないけれど、回復したらすぐにでも……」
キタコレ!! 治癒魔術!!
「治癒魔術を使えるのか!?」
あ、興奮して口調がため口になっちまった。でもミュウミュウは気にした様子もない。じゃ、ま、これでいいか。
「ええ。……もしかしてアークは使えないんですの? あれほどの魔術を使っていながら!?」
「ああ。怪我をする機会もなかったからな!!」
ニカッと笑ってそう言ったら、ミュウミュウは絶句していた。そしてハッとした顔をして、ミュウミュウは見事なカー……カテー……なんだっけ? 貴族のお姫様がするようなスカートの裾を持ち上げてする礼を深々とした。俺だったら、間違いなく足がつりそうだ。
「改めて、お礼をするわ。ありがとう、私たちの命を助けてくれて」
「別にそん……………………ん!?」
俺はあることに気がついた。
ミュウミュウの白いワンピースの胸もとが破れていたんだ! それでいて頭を下げるもんだから……そこから青い果実のような膨らみ――おっぱいがはだけているじゃないか!
じ――――――――――――――。
「あ、あの……?」
じ――――――――――――――――――。
「えっと……?」
じ――――――――――――――――――――。
「もしも~し……?」
はっ!! いかん、いかん! こんな子供のおっぱいに釘付けになるなんて!! いっくら、貴族では十歳で結婚することもあるから、ミュウミュウも貴族的には適齢期なのかもしれないけれど、俺的には子供に欲情するのは犯罪だ! ツーホー怖い!!
ここは心を落ち着けよう。
心頭滅却、心頭滅却!
思わず魔力を放出させて頭を冷やそう!!
俺は体内に凝縮させていた魔力を、バッと外に放出した。
「あっ!」
ミュウミュウは俺の魔力に当てられたのか、崩れるように床に横座りに倒れ込んでしまった。
「ご、ごめん。大丈夫!?」
差し伸べた俺の手をスルーして、ミュウミュウは俺の下半身を見て目を潤ませている。ん……? どこを見て……? んんんん!?
「あ……ん。アークの……なんて大きいの。すごい……」
(おわああああ!! ミュウミュウさん、いったいどうしたんですか!? いきなり何を言い出したんですか!? なんかエロいことを言い出して!! 俺、ロリ属性ないのに、やばいっす!!)
煩悩まみれになった俺は、さらなる心頭滅却を試みる。放出した魔力を集めて、今度ははギュッと小さく凝縮する修行だ。
「……ん。アークの……すっごく濃い……」
(だああああああ!! ミュウミュウさん、ミュウミュウさん! あんた、何言っちゃってるんですか!? だからそれ、ロリが言うセリフじゃないですよ!!)
「こ、こんなの……見たことがない……すごい、すごすぎる魔力だわ」
「……………………………………ですよね~」
知っていました。ええ、知っていましたとも。魔術はへその下を起点にしているんだから、そこを見ますよね。こんなのお約束ですよね~。
くううううううう。泣くぞ、おら!!
「ところで、アークは誰から魔術を学んだのですか?」
「え? いや、別に誰からも?」
「え?」
「え?」
「え?」
あれ? なんかマズった?
けれど俺のは前世の知識を元にイメージした俺のオリジナル魔術だもんなあ。説明なんてできやしない。
ここが日本だったら、「ネットで!」とでもごまかせるんだろうけれど、本さえ貴重品なこんな村じゃそんなごまかしもできないしなあ。
「えっと……。あ、自然! 自然を見て学んだんだ。こんなところじゃ自然しか見るものがないからな!」
「自然……? 独学って事かしら?」
「あ、そう! 独学、独学!!」
ヘラリと笑った俺に対して、ミュウミュウは妙に深刻そうな顔で考え込んだ。
「そ、そうだ! 魔術師! ミュウミュウって魔術師なんだろ? 魔術師ってどうすればなれるんだ? 教えてくれよ!」
「魔塔に所属すれば、魔術師を名乗ることができますわ」
「魔塔……?」
そういえば、ミュウミュウは自分も魔塔に属しているって言っていたな。
「魔塔とは、このイタリアル王国の首都にありながら、どこの国家にも属さない、いわばそれ自体が独立国家のような存在です。魔術の進歩を目指し、魔術で人の住む地を整え、ダンジョンから得たアイテムや素材で新らな魔道具を作り、瘴気を浄化……」
「ダンジョン!」
「え?」
ミュウミュウは、俺の大声にビクッとなる。
「ダンジョン!? ダンジョンって言ったか!?」
「え、ええ……」
そういえば、ここは魔術とダンジョンのある世界。
赤ん坊の頃に聞いた覚えがある。
こんな田舎にゃ、話が伝わってくることなんかほとんどないもんだから、ダンジョンの事なんかすっかり忘れていたぜ!
「ダンジョンってのは、あれか? 階層になっていて、深くなればなるほど強い魔物が現れて、その魔物も時間が立ては復活して尽きることがない。んで、宝箱とかがあって、中には高価な宝石や希少な魔道具なんかがあるっていう、あのダンジョンか!?」
「え、ええ……。よく、ご存じで……」
「そうか! ダンジョンか! ダンジョンか!!」
魔術もけっこう使えるようになって、魔物もけっこう捕れるようになって、金も生活に困らないくらい稼げて、このまま一生ここで狩人なんかして暮らすのもいいなあなんて、思っていたけれど、何を日和ってるんだよ、俺! ダンジョンだよ、ダンジョン! せっかく異世界転生して、魔術も使えるようになったんだから、ダンジョン行かなきゃ!! ダンジョンへ!!




