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4.不思議な出会い

4話目です。今回は少し長めです。

それからよくロストワール様は私の屋敷に訪れるようになった。


5年経った今でも来る回数は減るどころか増えている気さえする。



今日は屋敷の庭にあるバラ園に来ている。



今の季節は春で、一季咲きのバラと四季咲きのバラの両方が綺麗に咲き誇っている。



ロストワール様は少し幼子らしい丸みを帯びた顔だったのが少しすらっとなって、より端正な顔立ちになっていた。



「来年の月の月(つきのつき)の時期には学園の入学式ですね。」


私は黄色のバラの花を触りながら言う。



「ええ、そうですね。」



今日のロストワール様はなぜか心ここにあらずという感じだ。


私は直接理由を聞いてみることにした。


「ロストワール様、何かありましたか?」



「まぁ、少し迷っていることがあって...。」


ロストワール様は考えるそぶりを見せた後に口を開いた。


「実は、先日アル―ナス学園から入学しないかと申し出が来ているのです。」



「まぁ!アル―ナス学園からご入学のお申し出が?すごいですね!」


アル―ナス学園は全寮制の夜間学校で、話によると学園は別次元にあるんだとか。


その学園の生徒は皆秀でた才能を持っており、入学するのが難しいと聞いたことがあった。


それにロストワール様が選ばれるなんて...!



「それで私はまだ決めかねているのです。ルージェント学園に行くか、アル―ナス学園に行くかを。」


ルージェント学園は私が通う予定の学園の名前だ。


そこでは階級でどんなに差があろうと平等であるというのがその学園の規則だ。



「そうですね...、ロストワール様の行きたい方に行かれるのがいいと思います。」


ロストワール様と会えないのは少し寂しいけど私は彼の意見を尊重したい。



「...そうか、ではアル―ナス学園に行くことにするよ。」


その時のロストワール様は何かを決心したような顔をしていた。




そして季節は過ぎ私の誕生日になった。


私は今日で11歳を迎えた。



11歳の誕生日会は次の年から学園で過ごすことが多くなるので盛大に開かれる。


私の誕生日会も例年より数多くの人が参加している。


もちろん婚約者であるロストワール様も参加している。



「アリシナ、誕生日おめでとう。よければこれをプレゼントさせてくれ。」


といって長方形の白い箱を差し出された。


今日何回もいろんな人に言われた言葉だったけど、やっぱりロストワール様に言われるのが一番うれしい。



「ありがとうございます。今開けてもいいですか?」



「どうぞ。」


ロストワール様は5年前と変わらずパーティーなどの人前では王子としてのニコニコ顔を崩さない。



私は丁寧に箱を開けた。


箱の中にはクロムスフェーンのネックレスが入っていた。


クロムスフェーンはゴールドとグリーンの色で見る角度によって色鮮やかに見える宝石で、この国では希少な宝石だった気がする。



「とても嬉しいです。ロストワール様、ありがとうございます。」


私は早速そのネックレスをつけた。


今日は私にとって最高の日だ。



ふと夜風にあたりたくて庭に出ると噴水のところに一人の少女が噴水の淵に腰を掛けて座っていた。


私は体調が悪いのかと思い、少女に声をかけた。



「あの、体調がすぐれないのですか?」


といいながら私は少女のほうに近づく。



彼女の髪の毛がさらりと揺れる。


私は彼女を知らなかった。



この国にいる貴族の方はすべて覚えたはず...では、彼女はだれなの?



彼女はミルクティーブロンドの髪に藍色と月白色をグラデーションした瞳の色をしている。


月明りに照らされてより人間離れしているように見える。


たぶん年は私と同じか少し年上かと言ったところなのだろう。



彼女は口を開いた。


「体調が悪いわけではないの、ただ外の空気を吸いたくてここに来たの。」



「そうなのですか、良かったです。あの、よろしければお隣に座っても?」


なぜか私は彼女と話したくなった。


不思議な感じだ、なぜか夢の中にいるような気もする。



「ええ、どうぞ。」


彼女は少し隣にずれた。



冬になって寒くなった夜風にあたりながら私は庭をゆっくりと見渡す。


私は自然とため息をつく。


「良ければ私の話を聞いてもらえますか?」


なぜか彼女には言える気がした。



「ふふっ、私でよければ。」


といって彼女は頷く。



「実は...私がお慕いしている方がいるのですが、その方と数年離れ離れになってしまうのです。少しそのことが不安で。」


思い始めたのはいつからだっただろうか。


気づかないうちにだんだんと彼が好きになっていた。


その気持ちに気づいたのは最近だが、きっとずっとまえから好きだったのだろう。



彼女は微笑んだ。


「私はあなたではないから不安な気持ちがすべて理解できるわけではないけれど、きっとあなたが慕っている人はあなたのことを大切に思っているのだと思う。きっとすぐにまた会えると思うよ。」


そう言って微笑む彼女の姿は神殿に飾られている女神のように美しかった。



彼女は屋敷のほうを見てつぶやく。


「きっとその時が来たらわかるかもしれないね。」


私はこの時彼女が言った意味が分からなかった。



「ほら、あなたの婚約者が来たみたいよ。」


そう言った彼女が視線で示した先にはロストワール様が歩いてこちらのほうに来るのが見えた。



あれ?なぜ彼女はロストワール様が婚約者だと知っているのかしら。



私は隣に座っているはずの彼女に聞こうと思い隣を見る。


そこには冬の夜風が吹いているだけで誰もいなかった。



私が隣を見ている間にロストワール様が近くについたらしく駆け寄ってくる音が聞こえる。



今日は寒い、あとひと月もすればだんだんと温かくなってくることだろう。


私は彼女に出会ったのは夢なんじゃないかと思ったのだった。

ネックレスのプレゼントに込められた意味は「相手を独占したい・束縛・傍にいたい・いつも一緒にいて欲しい」というものがあるそうです。次の更新は明日の20時です。本編を投稿するまであと5日。

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