番外編.残された者たちの行方
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残された誰かのお話です。
金色の目を持つ彼女はアリシナの最期を見届けてから振り返って彼を見る。
「さて、私達はどうしましょうか?国に帰る?それとも、ここに残る?」
同じ金色の目を持つ彼は心底どうでも良さそうに言う。
「そうだね、僕はどっちでもいいよ。ルーシエに任せる。」
「もう、まったく。ウェル、いやウェルディリック貴方ねぇ...自分のことは自分で決めるのよ?」
彼ははぁと溜息をついてから人間サイズの姿に変わった。
そして彼の一人称も口調も元に戻る。
「私は割とどうでもいいんだよ。君もよく知っているでしょ?」
「ええ、良く知っているわよ。あなたがこの国の元精霊王なこととか...ね?」
「今は違うよ。僕は単なる精霊さ。サイズだけが普通の精霊よりでかい、ね。そんなことを言ったら君もそうだろ?ルーシエティルエ、君もこの国の元精霊王だろう?」
「私はもうその名前は捨てたのよ、ずっと前にね。」
彼女はそう言って人間サイズの姿に変わった。
「それは私も同じさ、だって今のこの国の精霊王はデクスリュードだからね。」
「そうね、私達の代はとっくに過ぎていたのよね。じゃあ私たちはもう土地に縛られることは無いじゃない?ウェルディリック...言いにくいわね。もうウェルでいいかしら。とりあえず私達旅に出ない?」
「旅に?それは一体どうしてそうなったの?」
「私たちは今までティアドラ王国とイグニア王国を行き来することしかできなかったもの。私たちもうは自由なのよ。」
「そうだね、私達の存在がこの世から消えるまで自由だね。」
「...忘れてたわ、代替わりしたから私達、元精霊王はこの世界から消えるんだったわね。」
彼は頭を悩ませる彼女を見て笑った。
「ふふっ、やっぱり君といると面白いね。私は面白いものが好きだからね。この世界から消えてしまうのがもったいないね。」
「何言ってるのよ、貴方も消えるのよ。私と一緒にね。」
「ああ、そういえばそうだったね。私たちは単なる天からの使いでしかないからね、元の場所に戻るだけだよ。何をそんなに迷っているんだい?」
「私は人間と関わりすぎたのよ。もう、これ以上関わったら私自身の存在を消されてしまうかもしれないわ。ああ、怖い怖い。」
「私は最初から君に言ったのに聞かなかったのは君でしょ?自業自得だよね。」
「ウェル、ごめんなさいね。貴方も巻き込んだから同罪になってしまって...。」
「ふふっそんなこと言ったらセレナに怒られちゃうよ?だってセレナが言ったんだ、アリシナを救ってくれってね。」
「そうだけど、巻き込んだのは私よ?貴方はそれでもいいの?」
「私も人間に干渉しすぎたのかもね。今ではアリシナは家族みたいな大切な存在なんだから。」
「...私もよ、私もアリシナを大切に思ってる。」
「それなら、それでいいじゃないか。私たちがこの世から元の場所に戻ったら上にお願いしてみよう。またアリシナのところに送ってくれってね。」
「聞いてくれるかしら...まあ、聞いてくれなかったらその時はその時ね。」
「そんな時には彼女の名前を使おう。きっと彼女の名前を出せば何とかしてくれるよ。」
「まあ確かに、でもそんなに簡単に彼女の名前は出せないんじゃないかしら?」
「大丈夫だよ。彼女に最後に会った時にこう言われたんだ。『もしどうにもならないことが起きたら私の名前を使ってね。』とね。だから平気だよ、彼女の許可は下りてるんだ。」
「なら大丈夫そうね。それでウェル、最初に戻るけど旅の話はどうするの?」
「ああ、もちろん行くよ。面白そうだからね。」
「貴方の思考回路はいつも面白そうの一択だけなのかしら。」
「...そうでもないよ。まあ、君にはわからなくてもいいことだから気にしないで。」
「どういう意味よ?私達長年パートナーとしてやってきたじゃない?」
「だから、だよ。まあ、後になったらわかるかもだけどね。」
「ふ~ん。まあ、期待しないで気長に待ってるわ。じゃあ私はデクスリューに一言挨拶しに行ってくるわね。」
「私も行くよ。デクスリューは私の子供でもあるからね。」
「そういえばそうだったわね。じゃあ行くわよ、ウェル。」
「ああ、行こうか、ルーシエ。」
二人はその場から姿を消した。
その後の二人の行方は誰も知らない、彼らだけが知る物語。
続編は3月15日から始める予定です。よろしくお願いします!




