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41.今日も仲良くお茶を

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※アンバー視点です。

ーーーあれは、一目惚れだった。




今までそんなに人に興味がなかった。



話しかけられれば適当に流して、余計なことはしない。

人には深入りはしない。



それが私の普通だった。

小さいころからそうやって生きてきた。



侯爵家の長男としていつも周りからの重圧があって、そんな日々を送っているうちに生きているのが嫌になったことが何回あっただろうか。

途中で何回生きていくのをあきらめようと思っただろうか。

でもいつもどこかで私は生きるのを諦められなかった。



それが今私がここにいる理由だろう。



そしてそんな私を変えたのは彼女だ。










私が学園に上がる前にヴェルディーン家のアリシナ嬢の誕生日パーティーが開かれた。



そこで私は彼女に、キャロルに。



今考えるとパーティーに参加していた彼女はアリシナ嬢のことを観察していたのだろう。

茶色と薄い紺色の混ざったような綺麗な髪にライトグリーンのつぶらな瞳、私は一瞬にして恋に落ちた。



今まで他の令嬢に話しかけるのに苦労をしたことはなかったのに彼女にはなかなか話しかけられなかった。

その日、私は彼女を婚約者に絶対にすると決めた。



とりあえず、外堀から埋めていこう。それで最後に彼女を...。



頭の中で大体のこの先することを決めた私は父親に彼女との婚約の話を持ち掛ける。

父親はなぜかその婚約の話に喜んですぐに婚約を取り付けてくれた。



それからどんどん外堀から埋めていった。

友人のライアーが「お前キャロル嬢のことになると恐ろしいぐらい真剣なんだな。」と半ば呆れ顔で言われていた気もするがそんなことは気にしない。

キャロル、そう彼女さえ手に入ればいいのだ。



さらに嬉しいことにキャロルは休み明けにミサンガという彼女とお揃いのものをプレゼントしてくれたのだ。



そのミサンガは大人になった今でも肌身離さず利き手に着けている。

5年生の時に彼女が留学に行くことになった時に猛反対したが彼女は私の話を聞かずにウルツライト帝国に行ってしまった。



その時アリシナ嬢にこう言われた。



「アンバー様、きっとキャロルはキャロルなりに将来やりたいことがあるのですよ。貴方はいつだってキャロルの味方でしょう?それなら、貴方は彼女のそのやりたいことを応援するのが良いのでは?」



その言葉で思い直してみると確かに私はキャロルを閉じ込めることしか考えてなかったと思いなおした。

ならば、彼女が頑張るならば私も領主として努力しようと思いなおし、父親にそのことを伝えると喜んで自分の領地を俺に半年間渡すと言ってきた。










あの時努力したから今があるのだろう。

仕事が一通り終わったので私は彼女のいる部屋をノックする。



返事が聞こえないのでゆっくりと扉を開けると彼女は真剣な顔で机に向かっていた。

彼女は留学から帰ってきたときに本を出した。

彼女は恋愛小説を書くのがとても上手いようで今では書店に並んでもすぐに売り切れてしまうらしい。



最初に出した本はすぐに大ヒットして、今では有名作家の仲間入りをして、年に2、3冊ほどの本を出している。



真剣な顔で小説を書く彼女の邪魔はしたくないのでゆっくりと彼女に近づいて後ろから彼女の作業を見ていたらさすがに私に気づいたみたいでペンの動きを止めてこちらを振り返る。

「アンバー?仕事は終わったのですか?」



今日も今日とて私の妻は可愛い。

彼女の髪を掬い取ってそこにキスを落とすと彼女の顔はみるみるうちに赤いリンゴのようになった。

「そうなんだよ、終わってしまったからキャロルをお茶に誘おうと思ったんだけど...まだ、仕事中みたいだから私はここで待っているよ。」



私はそう言うとカウチに腰を掛ける。



「...そうですね、ごめんなさい。すぐ終わらせますね。」

申し訳なさそうに言う彼女はまたペンをとって書き始める。



ペンを走らせる彼女をずっと見ていると彼女はペンを置いた。

「今日の分は終わりました。アンバー、どこでお茶を...」

可愛い私の妻の言葉を遮る小悪魔が登場しました。



「お母様、お茶をすると聞きました。私もご一緒してもいいですか?」

もうそろそろ3歳になる息子、ディーランドが元気よく彼女に抱き着いた。



許さない、彼女に触れるなんて...。



「ディーも一緒にお茶しましょうか。」

彼女は慈しみを込めてに息子にそう言った。



やってやったと言わんばかりに喜ぶ息子に思わず余計なことを言いそうになるが何とか言いとどめる。



彼奴は子供だ、あいつは...子供。



そう頭の中で言い聞かせながらなんとか込み上げてくる気持ちを抑えた。



そのあとは家族3人で仲良くお茶をしたのであった。









夏の日差しが強くなってきた今、家族3人で仲良く(?)お茶をしているデルタゴン家なのであった。

アンバーは何か言いたげだが、それ以外を除いては皆幸せそうだ。

次回の投稿は明日の20時です。最終話まであと4日。『Restart side ストーリー』も今日投稿されるのでそちらもぜひ見てください。

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