34.毎日つけた日記
※キャロル視点です。
私はある日から日記を毎日つけてきた。
始めのページをめくってみる。
聖歴4530年 花の月 11日(聖)
私は秘密の花園で天使に出会いました。
名前はアリシナ・ヴェルディーン様、こんな私にも優しく話しかけてくれました。
今日は私がヴェルディーン家にお母様と行った時の話。
お母様はリーリア様と話す用事があったので私はヴェルディーン家の庭園を見せてもらうことにしました。
庭園はとても美しく、妖精が住んでいるのではないかと錯覚するほどさまざまな花が咲き誇っていました。
そこで出会ったのです。
バラが咲いたスペースに自ら水をあげているアリシナ様を。
バラに囲まれている彼女はそれはもう天使のようでした。
ふと、私に気づいたアリシナ様はこちらを向いて微笑みます。
今度からその微笑みは「天使の微笑み」と名付けましょう。
「貴方は今日のお客さんかしら。こんにちは、今は庭の花が満開に咲いているからぜひ見ていってくださいね。」
彼女はそう言うとまた花に視線を戻して水やりを始めた。
綺麗、花を愛でるアリシナ様は本当に天使...尊い。
ペラペラとページをめくる。
聖歴4531年 月の月 17日(光)
大変です!!アリシナ様が、アリシナ様がご婚約を...。
そのお相手はこの国の王太子、ロストワール・イグニア様。
地位的には十分ですが、大丈夫でしょうか。
アリシナ様を不幸にしたら私が許しません!
私はアリシナ様のためなら人を呪うことも、殺すことも厭いませんよ。。
聖歴4537年 月の月 16日(木)
今日は記念日にしましょう。
なんと!今日はアリシナ様とご友人になれたのです。
私は前世で徳を積んでいたみたいで、良かったです。
名前は「アリシナ様と友人になれた日」です。
毎年密かに一人でお祝いしようと思います。
聖歴4537年 月の月 30日(光)
私に婚約者ができました。
名前はアンバー・デルタゴン様、私と同じ侯爵家の人間で将来有望な方です。
私にそんな方の妻が務まるでしょうか、正直不安です。
それに彼にはいろいろな噂がありますし...とりあえず皆さんに報告したいと思います。
聖歴4537年 月の月 42日(木)
今日はヴェルディーン家の持つ領地の方にやってきました。
馬車からは綺麗な海が見えましたが、夏には観光客で賑わっているのだそうです。
ミサンガをみんなで買いました。
アンバー様にもミサンガをあげることにしたのですが、喜んで頂けるでしょうか。
一応、私とアンバー様の瞳の色と白を合わせたミサンガを選んだのですが...。
来週、学校が始まったら渡そうと思います。
私は日記を閉じる。
「今までいろんなことがありました。今までも、そしてこれからも楽しく過ごしていきたいな...。」
ポツリと独り言が部屋に響く。
私はアリシナ様に会いに城に行こうと自室の扉を開ける、するとアンバーがいた。
「...なぜここにアンバーが?」
私は思った疑問をそのまま言葉にする。
彼は微笑みながら答える。
「どうせ、キャロルはアリシナ嬢のところに行くでしょ?だから、一緒に行こうと思ってね。」
「そうなのですね...。またですか?はっ、もしやアンバー貴方、アリシナ様のことを...。」
彼は困ったような、呆れたような顔で言う。
「私が慕っているのはキャロルだけだよ。まだ信じてなかったの?」
「ええ?!そうだったんですか?!し、知りませんでしたよ?!」
突然の告白に驚いた。
え?アンバー様って私のこと好きだったの?...え?え?!
私の困惑顔に噴出したアンバーは
「じゃあ、行こうか。」
と言って私の手をひいて歩いていく。
私は半ば放心状態で手を引きずられるように馬車に乗せられ、王城についてもなかなか正気に戻れなかった。
おかげでアリシナ様に「キャロル?大丈夫?なぜか心ここにあらずといった感じだけれど?」と心配をかけてしまった。
アンバーは笑顔で「大丈夫。いつか直るよ。」と言っていので「そ、うなんですね。...ええ、わかりました。」と何かを理解したような顔をしていた。
そんな顔でも今日も天使だと思う私なのであった。
アンバーはたまに不穏な空気になることがあるから気を付けなけなくちゃ...それじゃないと、危ない気がする。
私はそう思い気を付けることにするのだった。
キャロルは知らない、この時の判断があっていたと理解したのは数年経ってからだということを。
次回の投稿ではミラディエ視点になります。次回の投稿は明日の20時です。『Restart side ストーリー』の方も今日投稿されるのでそちらの方もぜひ見てみてください。最終話まであと11日。




