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35.私の世界

※ミラディエ視点です。

私には友人がいなかった。

いつも植物のことばかり考えていた私に友人ができるわけがなかった。



辺境伯家の長女ということもあり、しっかりとした教養や礼儀作法は小さいころに覚えさせられた。

私の家族は私のことを大切に育ててくれた。




まあ、ちょっと過保護すぎる気がしますけれど...。




私をあまり外に出そうとしないお父様、いつも甘いお菓子を持ってきてお茶に誘ってくるトルディ―お兄様、勉強でわからないことがあるとどこからともなく現れるマルクお兄様、いつもそんな私たちを見守っているお母様。



それが私にとっての全て、世界だった。




いつから私は変わったのでしょう?...いえ、私は変わっていませんわ。

皆さんが私の趣味を肯定してくださって、その上仲良くしてくださっていますのよ。




いつも私に笑いかけてくれるみんなの顔を見るたびに私は思う、私の居場所はここだ、と。

いつの間にかに私は家族という枠から出て、初めて世界が広いことを知った。

その世界を最初に教えてくれたのはアリシナ様だった。



こんなに他の令嬢とは違い、変わってる私にいろんな世界の色を見せて頂きました。

初めて彼女に会った時のことを私はよく覚えています。




ヴェルディーン家の開いた立食パーティーに参加した私は自分の居場所がなく園庭に逃げたところ、綺麗な花を見つけた。

その花の名前はハーデンベルギアという花だった。



綺麗に花を小さい花をたくさん咲かせる白や紫の花に自然と心が惹かれた。

私がその花を見ていたら彼女は現れた。



「こんにちは、ミラディエ様。」



綺麗な銀髪を腰まで伸ばしていて、ミステリアスな紫の瞳をした彼女が傍に立って微笑んでいた。

幼く花に囲まれる彼女は天使のようだった。



「...あ、ごきげんよう。アリシナ様。」



思わず彼女に見とれていて返事をすることを忘れていた私は思い出したようにそう言った。



「花が好きなのですか?」



「ええ、花というよりは、植物が好きですの。」



「私も植物が好きなんです。良ければ植物についてお話しませんか?」



「いいのですか?!ぜひっ。」

私は勢いよく答えた。



そのあと屋敷のほうに入って図書室に行って植物の本を見ながら自分の好きなものなどを語り合ったことを今も忘れずに覚えている。





それが私、ミラディエ・カサルトの始まりだったのかもしれない。

いくら家族が優しくしてくれてもなにかが物足りなかった。



そう、「友人」と言う存在が足りなかったのだ。



しかし、昔の私は友人を知らなかった。



家にいる人は皆が年上でなんとなく遠慮しなければいけないと思って気を張っていた。

アリシナ様に出会ったことによって私の人生は変わった、そう思えるほど毎日が楽しい。




私はアリシナ様宛の手紙を書くために便箋を引き出しからとってペンを走らせた。




ーーーー親愛なるアリシナ様へ



一週間ほど実家に帰ることにしましたの。

なぜか私の両親に挨拶がしたいらしいのでライアーも私についてくることになりましたわ。

一週間もアリシナ様に会えないのがとても残念ですわ。

本当はアリシナ様にもついてきてほしいほどですのよ!

でもアリシナ様には安全な場所にいていただきたいので決して、決して!一人で出歩かないでくださいね?

約束ですよ!

では、また一週間後に会いに行きますわね。


      

                いつまでも貴方の友人でいたいミラディエ・カサルトより




「よし、書き終わりましたわ!さて、行きましょうか!」

私は勢いよく立ち上がって使用人に手紙の配達を頼んで学園の門へと向かう。



カサルト家の馬車に勢いよく飛び込むとこけそうになった。

咄嗟に中から出てきた手が私を抱きとめる。



「まったく、ミラはなにしてるんだよ。いつも危なっかしいよな。」

抱きとめた本人、ライアーがまたかという顔をしていた。



「しょうがないでしょう?!私はいち早く帰っていち早く戻ってきてアリシナ様に会いに行くのですから!」



「ミラはいつもアリシナ嬢のことばっかりだな。たまには婚約者にも目を向けようとは思わないのか?」



「ライアー、貴方は将来私と結婚して一緒に住むのですからいつでも会えるでしょう?アリシナ様はきっと来年の星の月か月の月には王太子妃になってしまうのよ!そうなるとなかなか会えなくなってしまうじ

ゃない!」


「...まあ、確かに。言われてみれば、そう、だな。」

ライアーは微妙な顔でそう言う。



私は彼の手を握りながら言う。

「ライアー、私は決して貴方のことを考えていないわけではないわ。私は貴方のことを心から愛しているわよ!」



「...ミラ、君は突然男前になるその性格はどうにかならないのか?もちろん俺もミラを愛しているのは変わらないが...なんかこう、時と場所を考えてだな...。」

少し顔を赤くさせながらライアーは言った。



「別にどこで言っても変わらないとおもいますわよ?」



「はぁ...。このまま2日も辺境に着くまで過ごすのか...先が思いやられるな。」

ライアーは半ばあきらめたような顔でため息をついた。




そのあともなにかぶつぶつと言っていたが気にしないことにした。

私は窓の景色を見ながらアリシナ様と出会った時を思い出す。



「ハーデンベルギアの花言葉には『運命的な出会い』というものがあるのよね。もしかして、花が私に出会いをくれたのかしら...。」

と独り言をつぶやく。





最近気温が下がってきたので今年の年末は雪が降りそうですわね。




そう思いながらミラは空を見上げるのであった。

次回の投稿からまたアリシナ視点に戻ります。次回の投稿は明日の20時です。最終話まであと10日。実はこの連載が終わった日から、ルナが前世でプレイしていた『月の乙女ティアラ』の話を「Restart black another story」のほうで投稿していこうと思っていますのでそちらの方も見ていただけると嬉しいです!

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