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32.夢?それとも現実?

※ルーナトルテ視点です。ブックマーク登録ありがとうございます。

今、私はアリシナと一緒に王城に住んでいる。

また誘拐される危険性があるから今は城にいたほうがいいとのことらしい。

学園にはまだ通わないほうがいいらしいので王城の中で過ごすしかない。



最近私は暇なのだ。

アリシナはこの国の王太子が休日毎回学園から帰ってきて離さないし、その時間以外では王妃様たち王族が話したがるのでなかなか会えないし、他のみんなも学園があるのでかなり暇をしていた。



「婚約者、か。」



私は前世でも特に彼氏とかはいなかったので考えたことがなかったがさすがに貴族なので婚約はしたほうがいいのだろうか。

廊下をあてもなく歩いていると図書室を見つけた。



図書室は前世でもよく利用していた場所だ。

王城の中ではわりと自由にしていいということなので図書室に入ってみることにする。



大きい扉を開くとものすごく広い空間が広がっていた。



...これは、実際に見たことはないけれどおしゃれな図書館なのかな?



図書室と言うよりも公共で使われている図書館と言うほうがあっている気がする。

3階まで本がぎっしり詰まっていて真ん中は吹き抜けになっている。

下は自習用スペースのような感じで長いテーブルに均等に並べられている椅子がある。



私はとりあえずこの国の歴史書を見てみることにした。

歴史書が置かれているところにはざっと数えて100冊以上ありそうな歴史書の数が鎮座していた。



とりあえず手前のものをとる。

表紙には『イグニア王国の歴史 104巻』と書かれていた。



...104巻?歴史ってそんなにあるの?



よく見ればその本が置かれていた隣には105巻、106巻、107巻....。

と数えたらきりがなさそうなほどある。



「こんなにあるのならば暇ではなくなりそうね。」



とりあえず最初の1巻を探すことにした。

1巻は一番上にあったので梯子を使ってそれを取る。



近くにあった机にそれを置いて一息ついた。



この世界はゲームの中ではないとはいえどかなりゲームに似通っている世界だ。

だからきっと基本設定集に書いてあったこともあると思ったのだ。



前世では歴史が割と好きだったのですぐに読めるだろうと思っていたがそうでもなさそうだ。

1ページ目をめくるとぎっしりと書かれた目次があった。

一番最初は『聖歴ができた話』、次に『建国された日』など事細かに歴史が並んでいる。



聖歴ができた話は私でも知っている。

アリシナが夢で出会ったという女神の住む森から始まる物語で『森の歌姫』は誰もが知っている話だと思う。


私は小さいころそればっかり読んでいた記憶がある。



とりあえず『建国された日』のページを開いた。





バーデン・イグニア、その人がこの国の最初の国王の名前だそうだ。

建国当時は他の国にも援助してもらいながらもより国を栄えさせようとしてかなり頑張っていたらしい。

時には愚かな王もいたらしいが愚かな王はすぐに自分の息子や親戚の人に殺害されすぐに次の国王を迎えている。





それからもどんどん読み進めていたが、ふと顔を上げると前にスレイド様が座っていた。

「そんなに集中してなにを見ているかとおもえば、歴史書ですか。意外と真面目なんですね。」

とまるで私のことを馬鹿だと思っていたかのようなことを言われて頭にきたので笑顔で答えることにした。



「なにか、御用ですか?用がないなら私は部屋に帰りますね。」

私は席を立ちあがりながらそう言った。



「ああ、そうでした。用ならありますよ。」



「なるべく手短にお願いしますね。」

私は特に急いだ用事があったわけではないが頭にきていたので早くこの場から立ち去ろうとした。



「わかりました。単刀直入に言いますと、ルーナトルテ・ガラトス私と婚約しましょう。」



一瞬時が止まった。



「....あの、言っている意味が分からないのですが...?」



「ですから、婚約を...」



「いや、なんで私なんですか?!私みたいな男爵令嬢よりも良い方がいるでしょう?!」

少しかぶせ気味に答える。



「私は貴方がいいのです。」



...なぜか彼の周りがピンク色に見えます。ついでに花までついているのは...たぶん、演出ですね。乙女ゲームのスチルみたい...ああ、そうか乙女ゲームのスチルなのか。



「そうなんですか。」

つい、他人事の返事がでてしまう。



「それで、返事は?」



「こんな恋愛小説染みた展開はきっと夢ですね。部屋に帰って寝ましょう。」

私は本を棚に戻して部屋に帰ろうとすると腕をつかまれた。



「返事は?」



これは現実...でもそんなに凄味のある笑顔で壁ドンしなくてもいいと思うのですが...?




「はい、え?えと。....ん?」



「ああ、受けてくださるのですね。良かったです。」

勝手に勘違いしたスレイド様は凄味のある笑顔から普通の笑顔に変わりました。



「え、ええ?!な、な、なんで?!私まだ頷いてません!!」

私は慌てて、訂正しようとするが...。



「ああ、貴方のご両親に婚約は了承して頂きましたからご安ください。」



「あの、安心するところそこではないですよね?!撤回を希望します!」



「だめです。」

間も空けずにスパンと言い切った。



「え、なんで...なんで?!」

思わず昔の口調に戻ってしまった。



「もう婚約届は提出してしまいましたから。」



外堀はすべて埋められてる...?!



「....分かりました。.....なんで私がスレイド様と...。」

最後のほうは小声で喋っていたはずなのに聞こえていたらしい。



「それは私があなたのことが好きだからです。」



この人恥じらいというものがないのね、いつも真面目に見えていたからこんな方だったなんて思ってなかった...。



私は思わず深い溜息をつく。



「そういえば、恋愛小説というものは最近ウルツライト帝国の帝都で流行っているものですよね。ウルツライト帝国は遠い国なのになぜそれを貴方が...?」



「ウルツライト帝国の恋愛小説は知りませんが、恋愛小説は前世で読んでいたので。」



「なるほど、前世の地球というところでそのような物があったのですね。今度ウルツライト帝国で売っている恋愛小説を取り寄せおきますね。あ、私のことはスレイドでお願いしますね、ルナ。」



私が喋らなくてもどんどん話が進んでいきますね。しかも勝手に今まで「ガラトス嬢」だったのが「ルナ」って言われてるし...。



そのあとは2、3時間ほど私のどこが好きなのかを語られました。

さすがの私も赤面していたらしく、部屋に帰ったときにメイドさん達に心配をかけてしまいました。






その日の夕食にアリシナにスレイドが婚約者になったことを伝えると「良かったですね。」と天使の微笑みをもらったので、まあいいかと半ばあきらめたルナであった。

明日の投稿はサナティア視点です。次回の投稿は明日の20時です。最終話まであと13日。

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