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31.お爺様とお婆様そして昔の話

今日は鏡の月の闇の日、30日だ。

今更知ったことなのだが私は魔力切れで倒れてから3か月間の間ずっと寝ていたらしい。

みんなが驚いている意味が分からなかったが3か月も眠っていた人が目覚めたとすれば私も驚くとそう納得した。



昨日、急にダンデリー様から話をしようと言われた。

そのため、今日はお父様の執事のジェラウスを連れて、ダンデリー様とサフィーツェ様に会いに行くことになった。



ドアをノックして許可を取ると部屋の中に入る。

「やあ、一昨日ぶりだね。アリシナ、そこに座ってくれ。」



私に向かって笑顔を向けながらダンデリー様は席に座るように促す。



とりあえず私はダンデリー様に言われたとおりに彼の目の前のカウチに腰をかけた。



「あの、話とはどのようなことでしょうか?」



「まあ、そんな急ぐでない。私たちは普通に孫と話したかっただけだしな。」



「...そうなのですね。私はまだ信じられないのですが。」



私はまだ信じられないでいた。

お母様が元アルテリア王国の第二王女だったなんてなかなか信じられることではなかった。



誰だって今まで普通に接していた人が元王族だったなんてすぐには信じられないだろう。



すると、サフィーツェ様が口を開く。



「確かにすぐには信じられないわよね。隠す必要がなくなったからこれからは遊びに来れるのだから、ゆっくり分かってもらえばいいのよ。」



「お二人はそれでいいのですか?」



「ええ、もちろん。ね?ダン?」



サフィーツェ様はダンデリー様にそう聞いた。



「ああ、もちろん。あ、そうだ。」



何でしょうか、なにか嫌な予感が...。



「私のことはおじいちゃんと呼んでくれ。」



「え?...それはちょっと...ダンデリー様はダンデリー様ですよね?」



「ほう、それならダンデリーおじいちゃんではどうだ?」



「あの、ダンデリーお爺様ではだめですか?」



「...仕方ない、それでよい。」

いや、少しむすっとした顔でそんなこと言わないでくださいよ。

貴方は元とは言えど、王族でしょう?



「では、私のことはサフィーツェお婆様でお願いね?」



あの、また拒否権ないパターンですよね?私って何でいつもこうなるのでしょうか...。



「...分かりました。サフィーツェお婆様。」



私はお茶を一口、口にした。



「そういえば、ジェラウス。お前もいたのか。元気そうで何よりだな。」



「嬉しきお言葉、ありがとうございます。」

ジェラウスはダンデリーお爺様に笑顔を向ける。



「ダンデリーお爺様、ジェラウスを知っているのですか?」



なぜ、アルテリア王国の元国王がイグニア王国の公爵家の執事を知っているのかしら...?



「ああ、ジェラウスは元々我が国の民だったからな。」



「我が国の民...アルテリア王国にジェラウスが住んでいたということですか?」



「そうだ。ジェラウスはもともとアルテリアの住民だった。」



それからダンデリーお爺様は語りだした。

私のお父様とジェラウスの出会いを。







お父様がアルテリア王国に留学に行っていたある日、お父様は街にでかけたそうです。

アルテリア王国がどのようにして栄えているか、また、どうしたら栄えているかを見に行ったのだとか。



その時にたまたま路地裏でジェラウスが倒れているのを見つけたのが13歳のお父様でした。

ジェラウスは小さいころに両親を亡くし、自分自身で生きるために働く決心をします。



ですが、まだ体が小さかった彼は悪い商人にこき使われて暮らしていました。

そんな彼にとっての日常のある日、彼はお父様と出会ったそうです。

その頃の彼は年上の同じ商会に所属している人に暴力をふるわれていrたため体のそこら中に痣の後があったそうです。



お父様はジェラウスを見たとたんに彼のもとに駆け寄り、仮住まいの寮に彼を連れて帰りました。

お風呂にも入れてもらえなかったジェラウスはかなり汚れていて、すぐにお風呂に入れてあげたのだとか。




...お父様、たまには良いことをなさるのですね。王族には容赦がないように思えますが...。




それからお父様は彼にこう言いました。

「貴方が自分のしたいことを決めるまで、私の執事として働きませんか?」と。



ジェラウスはその時からお父様付きの執事となったそうです。

彼は今も、昔お父様に助けられたことに感謝して執事をしているのだとか。





私は一言ジェラウスに聞いた。



「ジェラウス、貴方は今幸せですか?」



ジェラウスは驚いた顔をしてから答える。



「ええ、もちろん。私は、ヴェルディーン公爵家の執事として、今いる場所にいれることに幸せを感じています。」

今までに見たことがないぐらいに幸せそうな顔をしたジェラウスがそこに立っていた。



「良かった。ティナには無理をしないように言っておいてもらえるかしら?」



そう、ティナは今お腹に子供を授かっているので無理はしてほしくないのだ。

本人は大丈夫だと言うが絶対大丈夫なわけがない。



私の言うことは聞いてくれないので夫のジェラウスから言ってもらわなければ彼女は仕事を休まないだろう。



働き者なのはいいのだけれど、無理はしてほしくはないので...。



「わかりました。よく、よく、言っておきますのでご安心くださいお嬢様。」



「ありがとう。」



...うん、たぶんこれで安心ね。...ええたぶん、きっと、今のジェラウスの顔が笑いながら怒っているように見えるのは気のせい、そう気のせいよね?



私達二人が話しているとダンデリーお爺様とサフィーツェお婆様が微笑みながら「私たちにもこんなことがあったな。」「そうですねぇ。」と昔そんなことがあったかのような感じでおっしゃっていました。



どこの夫婦も喧嘩はつきものなんですかね?私はロストワール様と喧嘩をするつもりはありません。

なぜなら...もうこの話はやめましょう。あまり考えたくないですね。



そのあとは他愛無い話をして終わったのだった。



「また来る」と言っていたのでその言葉通りまた来るのだろう。

明日はルーナトルテ視点の話になります。次回の投稿は明日の20時です。最終話まであと14日。

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