11.天魔法の授業
あけましておめでとうございます、今年も毎日投稿頑張ります。
私は昨日と同じように王城に来ている。
今いるところは王城にある庭で、今日は空に雲一つない晴れの日で天魔法日和なんだそうだ。
ということで、今日は国王様のフルク様から教えてもらえるらしい。
フルク様は仕事が片付いてから来るらしいのでまだ時間がかかりそうだ。
私は日焼けをあまりしないように渡り廊下のほうにで待つことにした。
ちょうど渡り廊下についたあたりで王宮の図書室のほうからこちらに向かってくる人影が見えた。
アッシュ色の髪の毛にこげ茶色の瞳の人はこの国の公爵家の一つの現当主であるダレン・アレルトーラだった。
彼は若くして父親を亡くし、すぐに当主へとなった方でこの国の重臣の一人だそうだ。
私は彼に向かって少し頭を下げる。
「こんにちは、今日は晴天ですね、アレルトーラ公爵。」
私は彼に挨拶をした。
「ああ、こんにちは。そうですね、ヴェルディーン嬢。」
彼は貴族としての笑顔でそう答える。
彼は一瞬左にある庭のほうを向いてからこちらに向き直った。
「そういえば、ヴェルディーン嬢は最近学園の方にご入学されたとか。」
と彼は今思い出したかのようなそぶりを見せた。
「ええ、先週、ルージェント学園に入学しました。」
私はすぐに答える。
「ご入学おめでとうございます。では、私はこれで。」
彼は一礼してから自分の仕事場へと向かう。
彼の短い髪の毛がさらりと風に揺れるのが見えた。
しばらく渡り廊下で待っていると、仕事を終わらせたはずのフルク様がやってきた。
少しげっそりしているように見えるのは私の勘違いだったに違いない。
「すまんな、アリシナ。待たせてしまって。」
「いいえ、こちらこそ。今日はよろしくお願いします。」
私はお辞儀をする。
「アリシナは確か本が好きだったな。明日からは図書室で待っているとよい。」
なぜ私の趣味を知っているのかしら?
きっとお父様が喋ったのね。
「では、始めようか。まずはアリシナ、そなたは天魔法とはどのようなものがあるか知っているか?」
フルク様は庭に向かって歩き出した。
私は遅れをとならいようにフルク様の後に続く。
「たしか、天魔法は天候の操りができる属性だったかと。」
私は魔法学の本で読んだことを答える。
「ああ、そうだな。では、天の派生属性は分かるかい?」
「風と空だったと思います。」
「正解だ。私たちが持っている属性は派生する前の元の属性だ。古来から派生した属性よりも、派生する前の属性が貴重だとされている。それはなぜかわかるかな?」
「派生する前の属性を持つ人間が少ないとされているからでしょうか。」
「さすがだな、完璧だ。今からアリシナには自然の力を感じ取ってもらう訓練をする。」
「自然の力...。」
自然の力とは自分たちが持っている魔力ではなく、自然に湧き出た魔力のことを言う。
「自然の力は見えない者もいるがきっとアリシナは見えると思うぞ。一回目を閉じて今この瞬間に流れる空気を感じてみなさい。」
私は言われたとおりに目を閉じて周りの音を聞いた。
風の音、その風で木が揺れる音、遠くで聞こえる動物の鳴き声。
(...見えた!)
と私は思った瞬間に目を開けた。
すると私のいるあたり一面がいろんな色の半透明の空気が見える。
私は少し驚いた顔をする。
「いろんな色の空気のようなものが見えます。これが自然の力ですか?」
その空気を掬い取ろうとしたがその空気は水のように手からどんどんと落ちていく。
「習得が早いな。ではアリシナ、次はその力を手に集める練習だ。」
「この水のようなものが手に集められるのですか?」
「イメージをするんだ。手の中に力を集めるようなイメージを...このように。」
そう言ってフルク様は自分の手に力を次々に集めていく。
私も同じように手を前に出して力が集まるようイメージした。
そうすると、次から次へと力が集まってくる。
(...温かい)
手に集まった力は少し外に出て冷えた手を温めた。
私は自然と笑みを浮かべた。
さらさらと風が私の髪の毛をなでる。
「本当にアリシナは呑み込みが早いな。私が教えることも少なそうだ。次に...。」
とフルク様が言いかけた時に王宮から一人の人が出てきた。
こちらに向かって少し速足でやってくるのは...お父様ですね。
お父様はこちらに来るとフルク様に向かってこう言った。
「国王様、仕事のお時間です。」
いつもどこか余裕があるお父様はどこか焦っているように見えた。
そこで今日の授業はお開きとなり私は自分の屋敷へと向かう。
私が家でお茶を飲んでいる頃、少しずつ黒幕が忍び寄ってきていた。
次回の投稿は明日の20時です。本編は1話まで公開されています。sideストーリーの投稿は明日を予定しています。