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訓練の前に

防衛基地アマテラス。

もう来るのには慣れたものである。

到着し、準備運動のために訓練場へと足をはこぶ。


訓練場に到着すると、中に誰かいるようだ。

準備室のガラス越しに中を見ると、見知った顔の女性が戦っている。


とにかく突っ立っているわけにもいかないので、

以前同様、訓練用の服装に着替えるために、更衣室へと移動。

服を着替え、準備室にて待機する。


待機中はガラス越しから3番隊、

山口副隊長の戦いを見ながら少し勉強させてもらうことにした。


戦っている相手は前回とは少し違う、

訓練用のダミーロボット。

数は15体。

全てのロボットが統率を取っているかのように行動している。


(あれAIか?)

(『いいアイデアもらったぜ。』)

(は?)

(『あの訓練方法、使えそうだな』)

(お前、まじ?)

(『おおまじに決まってんだろ。』)

(はぁ・・・・まじか。)


確実に訓練に取り入れる気だ。

着々と、俺が勝てる未来が見えてこない。

いや、勝たせようとしていないのか・・・?


見ていると、予想以上の戦いだった。

なんせ、一瞬で方が付いてしまったのだ。


臨戦体制に入ったかと思うと、

姿が消え、ロボットの場所には青い光の線が残像として残っているのみだった。

気がついた時にはロボットは戦闘不能状態となっており、

勝負は一瞬で決した。


その姿に目を奪われている間に、準備室に戻ってくる山口副隊長。

扉が開き、こちらを見ると目を見開き驚いている。


「あ、粟生屋君じゃないか。いや、愁と呼んだほうが良いか。

どうしたんだこんなところで。」

「い、いや、体を動かそうと・・・。」

「ほう、そうか。予約は取ったのか?」

「予約?」

「訓練施設利用するときは予約がいるぞ。

・・・・知らなかったのか?」

「そうなのか・・・。」


せっかく早く来て、準備運動と確認しようと思っていたのに、

それだったら早くくる必要なかったなと落胆する。


「その心意気、嫌いじゃない。

まだ私が確保している時間があるから使うといい。

私も君のオリジンを見てみたい。」

「お、おう。」

「私がセットアップしてやろう。

初めてだろ?とりあえず1体相手にしてみるか。」


副隊長が画面を操作し、訓練場の準備をしてくれるようだ。

15体いたロボットが瞬時に1体に切り替わる。

どういったシステムになっているのか不思議だ。


「できたぞ。もう服も着替えているようだし中に入れ。

私も中でみている。いや、指導してやる。」

「うす」

「よろしい。私の合図で始める。」


準備室より、訓練場の中へ入る。

スタート位置に付き、少しストレッチをする。


「よし、いける。」

「わかった。それでは・・・・・・はじめ!」


合図とともに、ロボットが起動する。

前回戦ったような流線的なロボットではなく、

構造が人間に近い、デッサン人形のような見た目。

今回は格闘タイプのようだ。


「よし・・・!」


相手を確かめるつもりで、全力は出さず、

今までの基礎を駆使しながら戦う。

全体にオーラを巡らすわけではなく、

部分的に強化し、部位的にオーラの放出と、吸収を実践する。


まずは相手から迫ってくる。

単純な拳での攻撃。

首から上ばかりを狙ってくる。


動きが読みやすいので、距離をとりながら、

当たらない位置で観察する。


大ぶりでストレートを仕掛けてきたタイミングで、

避けながら難なく懐に入り込む。

そのまま、拳にオーラをまとわせ、ボディに力強く一発。

ジャストミートしたこともあり、ロボットが後方へ吹っ飛ぶ。


「あら・・・?」


不意に変な声が出てしまった。

思いの外吹っ飛び、そのままロボットが立ち上がらなくなってしまったからだ。

どうしようかと思うと、山口副隊長が声をかける。


「少し弱すぎたか・・・。

設定では一番弱い一般人と戦ったことを想定したモードのだが、

もうすでに君は一般人と戦ってはいけない程強いらしい。」

「・・・・・・・・」

「愁。君のことを過小評価しすぎていたようだ。

”不言の魔王”の名前は伊達ではないな。」

「ちょっ!」

「まかせろ。私はスパルタだ。」


それから13時まで、かなりの量のロボットと戦闘することとなった。

かなり強い1体や複数体など、あらゆる手段でのシチュエーションに挑んだ。

もちろん、勝てなくなってくる。

ただ、何故かムカつくことはなかった。

度々アドバイスをもらえるからか、

敵の強さが実はちょうどよく調整されていたからなのかはわからないが。


「すごいな愁。君、鍛えがいがあるよ。」

「そりゃどうも・・・。」

「やはりまだ体の使い方がなっていないようだ。

君の小型艦の中に入っている本をぜひ読んでほしい。

実践すれば一段階、いやもっと強くなれるぞ。」

「ああ、あれか。」

「なんだ、見つけていたのか。

読んでくれ。私の一押しだ。」

「わ、わかった。」

「・・・・・そういえば今日は何か予定があったのか?」

「・・・・・・・・・・まずい。」

「・・・私、ダメなことしてしまったか・・・?」

「いや、そうじゃない。大丈夫・・・です。」

「そ、そうか。・・・・・・よかった。」

「夕方から模擬戦があるらしい。」

「・・・・・・ほう。」

「俺と朔と哲の3人対誰かでするらしい。」

「ほう。なるほど。興味がある。私もみに行っていいか?」

「え、いやわかんねえ。」

「そうか。いけそうだったら見に行く。」

「お、おう。」


(ものすごいグイグイくるな・・・。)


そう思いながらも話についていく。

副隊長は人の面倒を見るのが好きで、

原石を見つけては訓練をしたがる教官のような人なのだ。

愁本人は関わりすぎると面倒なことになりそう、とも思ってしまっている。


「それじゃ、私は家に帰らないといけないのでこの辺りで。」

「あ、はい。」

「それじゃ、君の成長を楽しみにしているよ。」


そういって訓練場から颯爽と立ち去る山口副隊長。

1人取り残される俺。

風のように去りすぎて、反応できずにいる。


突っ立っているのも仕方がないので、

荷物をまとめ、昼ごはんでもと思い食堂に行く。


ガッツリ食べようと思い、

食堂ではカツカレーの大盛りを頼み、ペロリと食べ終える。

体がかなり悲鳴をあげており、休憩のために仮眠室へ。

仮眠室に入るや否や、そのまま寝てしまった。



・・・・・

・・・・・・

・・・・・・・



ふと目が覚める。

かなりよく寝た。

体の疲れも全て取れているわけではないが、スッキリしている。

時刻は・・・・・16時40分。


「あっっっっぶね。」


予定の17時まであと少しのところだった。

見ると通知が溜まっており、冷や汗が出る。

”おい、寝てんちゃうやろな!”

一番最新のメッセージである。

送り主はもちろん朔。

防衛基地にいるので、問題ないと思い少し安心する。


”仮眠室で寝てた”


メッセージを送る。


”よかった〜。また遅れるんちゃうかな思ったやん”

”愁、場所わかる?”


朔につづき、哲もすでにいるようだ。


”そっちに向かう。ちょっと待ってくれ”


送信し、荷物をまとめる。

ふと思ったが、シャワーを浴びてない。

汗で体が気持ち悪いと気づいた時にはもう遅い。

とりあえず談話室までいくことにした。


向かうこと10分。

談話室へ到着。

2人がすでに座っていた。


「あ、きた。」

「ほんまにおったんやな。よかった。」


2人の顔を見ると、安心し、ソファーへ座る。


「愁。なんか顔疲れてへん?」

「え?ああ、訓練場でちょっとな。」

「何かしてたのか?」

「山口副隊長に色々と・・・な。」

「あ〜お疲れちゃん。あんまわからんけど今日大丈夫か?」

「大丈夫。なんとかする。」

「時間伸ばすように言っとこうか?」

「いや、いい。」

「わかった。それじゃあ行くか。」

「ほんま大丈夫?」

「なんとかなるだろ。」

「朔。何かあったら僕らがサポートしよう。」

「せやな。」


そういって、向かうのは会議室。

契約書を書いた場所だ。


到着し、扉を開けるとすでに集まっていたようで、

飛騨隊長、あとは3人。みたことがない顔だ。


「あ、きましたね。」


飛騨隊長がこちらに気づくと、座って話していた3人もこちらを向く。

それぞれのタイプが全然違う3人組だ。


1人は身長160cm程の男で、左手に白い包帯をぐるぐる巻きにしている。

2人目はおおらかそうな女性。クリクリとした瞳で優しそうな雰囲気が漂っている。

3人目は・・・・・・嫌な予感がする。

何故かって?

綺麗に整えられたキリッとした眉毛。

口周りに生やしたヒゲ。

特徴的なヘアスタイル。

いや、リーゼントといったほうがいいだろうか。

極め付けは・・・・・・特攻服。

間違いない、小型艦にプレゼントを残した奴だ。

直感で感じてしまったのだ・・・。

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