決断
そして迎えた6月14日。
昨日目を閉じたのは夜10時。
夜の特訓はしていない。
今までのこと、これからのこと。
あいつと喋っていた。
目覚まし無しで6時30分に目が覚める。
体も絶好調で体調も万全だ。
布団から飛び起き、制服を纏めてリビングへ。
ぐっすり寝たからか、瞼が全く重くない。
朝の準備をしながら考える。
あの人との約束。
時間指定はなかったが、前回と同じく学校の帰りに寄ろうと計画を立てる。
結局あの文章は頭から離れなかった・・・。
リビングで親に伝える。
「今日、ちょっと遅くなるかも。」
「わかった。ご飯は食べる?」
「食べるよ。」
「でも、急にいらなくなったら連絡してね。」
「わかった。ありがとう。」
もう引き返さない。
朝から覚悟は決めている。
「兄貴・・・なんかあった?」
「え?」
「いや、なんかいつもと雰囲気が違うから。」
「・・・なんでもねえよ。」
「そっか。」
「ああ、心配すんな。」
準備を終わらせ、学校へ。
教室に到着し、自分の席へ座る。
いつもならスマホを触るが今日はそんな気分にはなれなかった。
窓から外の大空を見つめる。
綺麗な青空に雲がかかっている。
今はこの青い大空しか見つめることができない。
授業中も外の景色を眺めながら1ヶ月を振り返る。
侵略者に腕を突き刺された場所をシャツの上から撫でる。
全てはそこから始まったのだ。
(あれがなかったら、今頃なにをしてたんだろな。)
変わらず喧嘩をする毎日だったかもしれない。
逆に恋愛漫画を読むだけの毎日に更けてたのかもしれない。
はたまた、漫画家になっていたのかもしれない。
想像することは容易いが、実際にものにしようとすると想像以上の努力が必要になる。
それこそ、やること自体が好きでないと続かないだろう。
俺は好きなことは何?と言われるとすぐに出てこない。
恋愛漫画は好きで読んでいるが、それは自分が絶対に体験できないファンタジーのような世界だから惹かれただけかもしれない。
好きにも色々種類がある。
心の底からワクワクすること。
全てを放り出してでも集中してしまうこと。
物事を一生懸命にやっている自分が好きな人。
色々いるだろう。
でも、自分はどれなのだろうか。
ふと変化しない場合の自分を想像してしまう。
勝手に楽な方向を考えてしまうのだ。
(『でもお前は変わっただろ?
人にとっては大きなきっかけだったとしても、行動したのは自分だ。
これから何をしようと理想となる自分の姿を追いかけろよ。』)
そうだ。
理想となる人物像。
それに近づくために今を生きる。
芯を作ってブレないように。
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
そんなことを考えながら、昼休み、午後の授業が終わった。
そして、覚悟を決め教室を出る。
皐月さんも話しかけようとしてくれていたみたいだが、今日はそっとしてくれたみたいだ。
学校を出て帰り道、一歩一歩大切に踏み締める。
電車に乗り、家の最寄り駅へ。
公園まで寄り道せず向かう。
そしてついに公演が見えた。
心臓の鼓動は少し早い。
手に汗握り、公園にはいる。
すると見つけたものに、体が固まってしまった。
黒と白を基調とした服に体を包むガタイのいい坊主。
服からは生足が出ており、頭にはカチューシャ。
よく見なくともわかるスカート。
・・・メイド服である。
そして、その男はこちらに気付き、声をかけられた。
「いやん!待っていたわよご主人様!萌え萌えキュン♡」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・カオリ、これはどうゆうことだ?」
『ブッ!!あっはっはっは!!見てみんな!シュウ君の顔!!!さいっっっこう!。』
「・・・私のことは特に気にしていないようだ。まあよしとしよう。
シュウ君、来てくれてありがとう。
正直こないことも想定していたが、来てくれた事に感謝を。」
「あ・・・・・ああ」
「?なんだ?どうしてそんな話しにくそうにしている。」
「てめえがそんな格好だからだろーが!!!」
「落ち着け!これはカオリからの提案だ!こうすれば緊張が和らぐと言われてやっただけだ!」
「チクショォ!俺のドキドキ返せ!!」
「なんだ?緊張してたのか?」
「うるせえ!もうねえよ!」
「そうか、それならよかった。
ちょっと着替えるから待っててくれ。
ちなみに反省文は書けたのか?」
「チッ。ほらよ。」
スクールバッグの中から4枚の原稿用紙を手渡す。
「ハハ、そうか。書いてくれたのか・・・。」
「なんだよ。書けって言っただろ。」
「嬉しい誤算だな。てっきり私は突っぱねると思ってたよ。」
「・・・・んなことしねえよ。」
「それじゃあこれは私が読ませてもらおう。」
そう言って、腰辺りにある長細い四角形の棒を触ると瞬時に防衛隊の制服へと切り替わった。
隊長は原稿用紙を半分に折りたたみ、服の中にしまう。
そうしてこちらをまっすぐ見つめられる。
「さてシュウ君。今回はただ話に来たかったので来ましたというわけではない。
以前から聞いていた我々の力になってくれるかどうかを、今日、聞きに来た。
どんな結果であれ、私は君を応援するよ。」
「・・・・・・・・・・・・・」
ついに来てしまった。
決断の時。
いや、決意はもうしていた。
あとは言葉にするのみ。
ここで、俺は変わる。
今までの人から避けられていた自分から脱却して、
俺を救ってくれた人の力になりたい。
「金剛さん・・・・・俺を・・防衛隊に入れてください!!」
そう言って頭を下げる。
これが今、俺にできる精一杯だ。
「・・・・・・・ふふ。知らないうちに、成長したみたいだな・・・・。
言っておくがかなり厳しい。覚悟しておけ!
・・・ただ、この言葉を君に送ろう。」
そう言って隊長はシュウに手を差し伸べる。
「ようこそ。そして、これからもよろしく。」
差し伸べられた手を握り返し、まっすぐに隊長を見つめ返す。
今まで以上の情熱を、その瞳に宿しながら。
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
「そちらはどうだ?」
「まずまずです。」
「よろしい。引き続き情報収集に当たるように。
これからは例の実験、計画を進める。
引き続きそちらの報告を怠るな。」
「仰せのままに。」
知らぬ間に動き出す存在。
地球への侵略に向け、侵略者は計画を前に進める。
ついにここまで来ました!
やっとか・・・と思われた人もいるかと思います。
自分自身、ここまで濃厚に決断を書くとは当初思っていませんでした。
ただ、彼の決断するまでの道のりを考えるとどうしても筆が乗ってしまいまして・・・。
実はまだ序章。
タイトルの名前からしてお気づきかもしれませんが、入隊することがゴールではありません!
ここからどんな敵が待っているのか・・・・・。
ワクワクしながら読んでもらえると、筆者冥利に尽きます。
引き続きどうぞ私の作品を、皆様と共に紡いでいけますように今後も描いてまいります。




