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魔法騎士団入団試験

今日は長めなのですが、よろしくお願いします。

今日は、初めて魔法騎士団へ行く日だ。


本当は、食事不足で倒れた次の日にはいきたかったけれど、家族がとても心配したことで倒れた日から3日たった今日、初めて魔法騎士団に行くことになった。


楽しみね。そう独り言ちりながら、馬車のところにルンルンとした気分で行った。

すると、馬車は点検中とのことで使用ができなかった。

残念ね。と思いながら厩舎に行くと、馬の体調確認をしているから今日は使えない。と言われた。


残念ね。それにしても、タイミングが良すぎだから、誰がこんなことをしたのかは大体想像できるわね。

少し苦笑しながら、どうやって行こうかしら?と悩んでいると名案が浮かんだ。


さぁ。魔法騎士団の元へ!

と思い、フェンにお願いし、跨る。


ダグディスはフェンはフェンリルではないと言っていた。と言うことは魔物ではないから大丈夫!と言うことよね。と思い、名案が思いついたのだった。


もちろん、思った通りに馬で行くより早く帝城の近くまで着いた。

フェンにはいつも通り小さくなってもらい、帝城の門の側まで歩き、騎士の方に声を掛ける。


「すみません。魔法騎士団の入団試験を受けたいのですが、どこにいけば良いでしょうか?」


「わかりました。案内しますね」


そんなこんなで、私は無事、入団試験会場に到着し、そこで待機していた。

そこで10分程待っていると、突如、サラサラとした金髪でサファイアの様に美しい右目と、前髪で隠された左目の黒い瞳を持つ高身長な男性に声をかけられた。


「今回は入団希望者が多いですね。あなたも入団希望ですか?」


「はい」


「普段、入団希望は0人。しかし、今回は2人もいるのか。10年に1度の出来事と言っても過言ではないですね」


「そうなんですか」


「ええ、ご存知の通り、年々魔法を使える人は減っていますし、魔法を使える人も自分の命をかけたくない人が多くて、騎士団に入団する人が少ないですからね」


「そうですね」


そこまで、魔法保持者が減っていることは学園で学んだけれど、魔法騎士団が入団希望が2人で多いと思うほど人気がなかったのね。とビックリした。


「では、入団試験を行う」


「は、はい」


急に行うことに戸惑いながら返事をする。


「相手に身の危険を感じさせた方が勝ちです」


身の危険か……

闇魔法は相手を傷つける事も救うこともできる。

特に洗脳して相手を意中の通りに動かしたり、ダグディスの壊死を治した逆の方法で、相手に瘴気を流したままにすると、相手の体の一部を壊死させることも腐敗させることもできる。

闇魔法は使い手の使い方次第で良い魔法にも悪い魔法にもなる。

私は、闇魔法は良い魔法として使わない。

と昔から決めていた。


光魔法で、相手を攻撃するにしても、相手の目が眩むほどの光を出すという一つの魔法しか使えない。

ということは、これしかないわね。


「では、始めますか。準備はいいですか?」

「はい」


始めに様子を伺おうとしたのだけれど、騎士団長も様子を疑い、お互い見つめ合うような形になる。

痺れを切らしたのは私だった。

あの美貌は私にとっては暴力で、ずっと長く目を合わせるのは耐え難かった。


光魔法に発動を願い続ける。

発動したわね。と思い、急いで言葉をつける。


「眩光」


さて、間合いを詰めようかしら。

そう思って近づこうとした。


ゴツンと音がした。

「い、いたっ」


なんと騎士団長が土魔法で壁を作っていたようだった。しかも無詠唱で。


油断してたわね。そう思って反省していると、騎士団長から声をかけられる。


「あなたの実力はこれだけじゃあないですよね?なんと言っても、ダグディスを治したのですから」


「……え、知ってたんですか」


「もちろんです。私は魔法騎士団長なので、国王陛下直々にその日のことを聞かされました。もちろん他言無用とも言われました」


「そ、そうですか」


「ですから、遠慮せずに、思う存分実力を発揮してください」


なんて言われましても、全て闇魔法で、光魔法は1種類しか使えなくて、さっき使ったものが実力の全てです。なんて言えるわけなく。

言ったら私の首がぶっ飛ぶ結果になるので。


「は、はい」

「眩光」


それに合わせて、闇魔法"痺化"と言うもので、一時的に相手をの手足をビリビリと痺れた状態にするものを発動する。バレると大変なことになる気しかしないので、もちろん無詠唱で発動する。


そして、急いで彼に近づこうとしたら、彼は今度は水魔法で壁を作っていた。


ウフフ。ラッキーね。


土魔法の壁を破るとか崖から岩が落ちるように大きな音が鳴るのに対して、水魔法は水が循環しているので水の流れを止めれば良いだけで音はならない。


だから、土魔法の壁より水魔法の壁の方がさりげなく破れるのよね。

これなら、まだ闇魔法で"無効化"を使ってもバレにくいんじゃないかしら?

私ってツイてるわね。

とニマニマしながら闇魔法の"無効化"を発動させる。


水魔法による壁が、私1人通れる程度の穴をあけ、私はそこをサッと通り、"無効化"を終了した。

騎士団長が作った水魔法による壁がまた出来上がった。


そして、拳を強く握る。

肘を引く。

スピードをつけて肘を伸ばす。

拳を止める。

止めたのは、騎士団長の左頬のすぐ近く。


「アハハハッ。君は見かけによらず面白いんですね。それが、君の思う相手に身の危険を感じさせる方法ですか?でもあなたの方が危険ですよ」


「……ひいっっ」


私は突如聞こえた笑い声に驚きを隠せず、戸惑いながら後ろを振り返ると、命の危険を感じるようなものが目の前にあった。

土魔法による硬い岩のようなものと水魔法がねじれて、水圧があることでさらに威力が増す先端が尖ったもの。

これで刺されたらひとたまりもない。

と思い、後ろにのけぞったら、今度は真後ろに美しい顔。


美しい顔は心臓にダメージ。しかし、あの先端が尖ったものは物理的に心臓にダメージがくるので、もちろん後ろにのけぞることを選んだ。


「はい。まだ攻撃魔法が身についていないので、そうしました。ちなみに、今命の危険を感じているので、ぜひこの武器を消してくださると嬉しいです」


「ハハハ。そうかそうか。じゃあ消してあげましょう。ちなみにその拳で、相手を殴ろうとしたのですか?」


私は、地味にこの体制がキツかったのと、命の危険を感じて恐ろしかったので、あの武器がなくなってとても安心して彼に返事をする。


「はい。武器となるものーー例えば短剣があれば、相手の首付近で止めるということができたと思うのですが、試験の内容がわからなかったので、武器は準備していなかったので、自分の拳に頼りました」


「殴られることで身の危険を感じると思ったのですか?人に拳を向けたことがあるのですか?」


「いいえ、初めてです。綺麗なお顔なので殴られると思ったら身の危険を感じるかな。と思いました。チラッと見えたのですが、左目の瞳は黒曜石のように黒が光り輝いて綺麗ですね」


昔の孤児時代の仲間と似た綺麗な瞳ね。マーシャの時も彼にそう言ったわね。と少し過去を思い出しながらそう言う。


「……左目が綺麗ですか?……そうですか。初めて言われました」


「ええ?!そうなんですか?こんなに綺麗なのに。ふと思ったのですが、騎士団長様はスタイルも良いですから、どこを殴ってもよかったのではないでしょうか?」


「ハハハ。私は自分の容姿全てにあまり興味を持ってないから、どちらを狙われても大して危険を感じないですね」


なるほど。本当に美しい人は、自分の容姿に拘らないのね。私の美形家族も皆、自分の容姿にあまり興味を持ってないもの。


「そうなのですか。じゃあ、私は作戦ミスですね」それにしてもまさか背後から狙われているなんて知らなかったです」


「うん。君は背後が甘かったですね」


「はい」


「でも、どうやってあの水の防御壁を抜けてきたんでしょうか」


私は、私が思ったほどこの魔法は大したものではなかったんだな。きっと闇魔法でなくても最近の別の魔法ならこれくらい簡単にできるのかもしれない。と思い油断していた。


「?!え、ええと、たまたま防御壁に穴が空いていたんだと思いまふっ」


明らかに噛んでしまったわね。

ちょっとまずいわね。と思っていると、彼は意地悪そうな笑みを見せてこう言った。


「そんなことはないと思いますけどね。私は完璧に魔法を発動させたので。それとも、私がちゃんと魔法を発動させることができてなかったと言いたいのですか?」


「いいえ」


「じゃあ、どうやったのですか?」


まずいわね。と思っていると、なんと良い言い訳が見つかったのだった。


「私はまだ光魔法が安定していないのです。現時点では、願い続けて運が良かったら、私の願い通りの光魔法が発動してくれるのです」


「そうなのですか。それならあの眩しい光の最中に、私の手足が痺れたのは、あなたの願いだったのですか?」


この人鋭いわね。これが願いってバレたら叱られたらするのかしら?

そう逡巡しながらも、この試験に合格したらこれからもお世話になるかもしれない。と思い、素直に応えることにした。


「はい。拳を使うためには動きを止める必要があったのです」


「アハハハ。やっぱりそうでしたか。ちなみにあの痺れだけですと、普通の騎士は動けますよ」


「ええっ?!そうなんですか。騎士ってすごいですね」


私にとっては、動けない程の痺れを与えたはずなのに、毎日鍛えて、国のために戦う騎士はこの痺れを物ともしない。

と知り、改めて尊敬の念を抱く。


「そう言って下さって光栄です。あなたはまだ甘い所が多々ありますが、光魔法を使える。そして魔法の才能はあると思います。ですので、是非魔法騎士団でその力を発揮して頂きたい」


「嬉しいです。頑張ります」


私はこれから頑張ろう。と改めて決意をした。


「では、先程合格したもう1人の人と、入団式を始めましょう」


そう言われ、もう1人の入ってきた人の顔を見て、私が驚きすぎて卒倒しそうになるのは、魔法騎士団に入団できて喜びに浸っている私には想像できなかった。









更新遅れてすみません。

いくつか改稿をしていますので、お時間ある時に是非読んでいただけると嬉しいです。


次も読んでいただけるとうれしいです。

ブックマークや評価いつもありがとうございます。

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