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再会②

よろしくお願いします。

目が覚めて一番に見えたのは、見慣れない天井だった。

ここは私の部屋ではないわね。

そんなことを考えていると、お父様とお兄様、お母様、そしてベスター様が声をかけてくる。


「「ティーナ、大丈夫か?」」

「ティーナ、大丈夫なの?」

「ティーナ、大丈夫?」


お兄様は私が生きていることを確認するかのように抱きしめてきた。そして言葉を続ける。


「魔力不足かと思ったから、とても心配した。それなのに、食事不足とは!本当に心配したんだぞ。やっぱりティーナはダイエットなんか必要なかったんだ!」


「そうだぞ。ティーナは私の自慢の娘だから」


「2人ともそう言っているけど、あの時のティーナは食べ過ぎだったのよ」


「お父様、お兄様、お母様の言うとおりです」


「ティーナ、ダイエットしてたのか?!」


「……はい」


お兄様のせいで、ベスター様にダイエットがバレちゃったじゃない!年頃の女の子は同じ年頃の男性にダイエットしているのはバレたくないのにっ!


私は、そう思い、恥ずかしくなりながらそう言った。


そして、そろそろ話題変換したいわね。と思っていた時、良いタイミングでノック音が響いた。


「どうぞ」


私が声を掛けると、私が治療した騎士の方が入ってきた。

すると、彼は私の様子を見て声をかける。


「マルティーナ嬢。体は大丈夫でしょうか。改めて、今回の事、本当にありがとうございます」

「大丈夫です。治ったようで、よかったです」


そう会話が一段落すると、騎士の方が私の家族にあるお願いをした。


「ベスター様。アクランド家の皆様。マルティーナ嬢が回復して、間も無いなか無礼なのは承知なのですが、今のうちにマルティーナ嬢と少し私の症状について話がしたいので、少しだけ2人で話す時間を頂けないでしょうか?」


「「ああ」」


ベスター様とお父様がこの場を代表してそう答える。


お兄様は私と男性が2人でいるのを嫌うけど、何も言わないで黙っているのは珍しいわね。もしかして、この方は偉い人なのかしら?

そんなことを思っていると、ベスター様と家族は退室していた。


「ググ、おーい。ググ。まーた、何か考え事か?腹減りググ」


「……??」


もしかして、私治癒魔法を失敗してしまったのかしら?

なぜだか急に意味がわからないことを言ってきたわよ。

どうしたら良いのかしら?


そう思っていると、また彼は続ける。


「あれ?もしかして覚えてないのか?

 ググ。って忘れたのか?腹減りググ」


「……あっ!ビビ?もしかしてビビなの?!」


「あぁ。これで正解だな。マーシャ。お前も覚えていたのか!」


「ええ!もちろんよ。ダスティン」


「久しぶりだな、マーシャ」


「えぇ。本当に久しぶり」


「さっきも腹減りで倒れただろ?」


「あなたにだけはバレたくなかったけど、そうよ」


「生まれ変わっても腹減りは変わらないんだな!あの時だって、腹をグーグー鳴らしていたしな!」


彼はそう言ってガハハと豪快に笑う。


「あーら?そんなこと言っていいのかしら?あなたは今でも、暗いところに行ったらビビるかしら?」


私も楽しくなってアハハと笑う。


「どうだろうな」


彼はそう言って誤魔化す。


「でも、あの時よね。私達が他のメンバーに内緒のあだ名がついた時は」


「あぁ。方向音痴のお前と何も考えないで行きたいところに行った俺たちの末路だったよな」


「ふふ。そうよね。暗い洞窟の中に入って、何が出てくるかわからない所だったから、あなたはちょっとした音で怖がって


そう私が言いかけると、彼は私の話をあえて遮ってきた。


「あれは、お前が先だっただろ。あんな何が出るかわからない所で、緊張感もなくお腹空いたとか言って動けなくなって、しかもお前の腹はずっとグーグーなるしよ」


「そうね。グーグーなっていたからググでしょ。あなたが先に私にあだ名をつけたわよね。でも、あなただってさっき言っていたみたいに"お化けが出ないか?"とか"気持ち悪いムカデは出ないか?"とか一歩進むごとにビビっていたからビビりとの意味を込めてビビってあだ名にしたわよね」


「それでも、腹が減りすぎてほぼ動けてなかったお前をおんぶしてあげただろ」


「ええ。あの時はありがとう」


「あぁ。あの時のお前は小さかったし幼かったからな」


このビビやググというのは揶揄いの気持ちで付けたのが半分、そして、2人だけの暗号の気持ちが半分だった。お互いに何か大事なことを話したい時はそう呼んで合図していたことを思い出す。

あの時を微笑ましく思いながら、改めて会話を続ける。


「あの時のあなたは筋トレばっかして良い体格してたわよね。今より良い体格じゃない?」


「あぁ。今は違うんだが、ついさっきまで"騎士に必要なのは筋トレではなくセンス"だと思ってたんだ」


「ええ?!筋トレ大好きのあなたが?!」


「あぁ。そうみたいだな。そんな中、2週間ほど前に熊のような巨大型の魔物にやられたんだ。あいつの鋭い爪で俺の左手を引っ掻かれ、そこから皮膚が壊死して、あんな状態だ」


「でも、あれ結構酷くなってたじゃない。早く切断してたら酷くはなってなかったわよ」


「どうしても切断したくなかった。切断したら俺の生きがいである騎士が出来なくなる。だから、左手の肩の手前に進行するまでは騎士をやると時間稼ぎをして悪あがきをしていたんだ」


「そうなのね。また騎士ができるようになったなら本当に良かった」


「あぁ。センスに頼っていた俺は片方の腕が無くなると動きが変わる。そして、動きが変わることで、俺が以前のように働けなくなると確信していた。騎士という仕事を完璧にこなせなくなる。そして、切断した腕は2度と戻ってこない。どうしても失う覚悟ができなかった。実は、今日で俺の悪あがきの時間も終わりで騎士人生も終了だったんだが、お前のおかげでまだ続けられる。ありがとう」


「……そうだったのね。でも、切断してなくてよかったわ。壊死だったから治せたけど、切断だったら治せなかったわ。あなたが治って、また騎士を出来るなら本当に良かったわ」


私はふと考えた。


切断や切り傷のように体の組織を作り直すには光魔法を使わないと治せない。


壊死や体の腐敗のようなものは闇魔法でその原因となるものをより強い瘴気で吸収してそれを体外に出す。


彼が壊死であったから、私は闇魔法でなんとか治せた。

もっとたくさんの人を救うためにはきっと光魔法も使えないといけないわね。と改めて感じる。


そんな中、彼は爆弾を落としかけた。


「あぁ。どこかでお前と再会する気がしたのかもな。そういえば、お前、や


彼が闇魔法と言おうとしたことに気づき、慌てて私は止める。


「ダメッ。どこに誰がいるかわからないわ」


「あぁ。そうか。す、すまない。それで、そうなのか?」


「ええ。そうよ。過去を思い出して使えるようになったの」


「そうか。実は、俺も少し使える気がするんだ……」


「え?!」


「もともと、俺は主に二刀流剣士だったけど、火魔法と例のあの魔法を少し使えただろ?今ならどっちも使える気がするんだよ」


「えぇ?!そうなの?」


そう言っている時、私のドレスの横がモゾモゾ動いた。


「な、なんだ?!」


ダスティンは驚き、私はニコニコして彼に私の相棒を見せた。


「この子、私の相棒のフェンリルのフェンなの。ごめんね、フェン。こんな狭いところに入れっぱなしで」


「フェンリルだと?!なんか小さいけど大丈夫なのか?」


「ええ。この子は大丈夫よ。この子は小さくなれる有能フェンリルなの」


「んん?なんかフェンリルとは少し違う耳の形をしているぞ。フェンリルだけど、フェンリルじゃない。この耳は、どちらかと言うと少し犬寄りだ」


「じゃあ、犬っぽいフェンリル?」


「んー、どっちとも言えないけど、フェンリルは魔物だが、こいつは魔物じゃない可能性もあるということだ」


「あら。じゃあやっぱり良い子なのね」


「かもしれない。ということだ。でも、気をつけておいた方がいいだろう」


「フェンはお友達だから大丈夫と思うわ」


「ってか、もう少し名前に工夫を入れたらよかったのに」


「可愛い響きだからいいでしょ。じゃあ、あなただったらどういう名前にするの?」


「……犬っぽいフェンリル?フェンリルっぽい犬?」


「長すぎだし、適当でしょ!」


「まぁ、そうだな。お前と一緒で俺も名付けるセンスはないみたいだ」


「私も、道連れにしないでよ!私はまあまあ上手よ」


そういうと、彼は優しそうな目をしてガハハと笑いながら、こう続けた。


「あぁ、言い忘れていたが、俺は、今は騎士団長でギリアード伯爵子息のダグディスだ。これからよろしくなマルティーナ嬢」


「えぇ?!騎士団長だったの!しかもあなたが伯爵子息?!驚きね」


「それを言うならお前が公爵令嬢なのも驚きだ」


「そうね」


「そういえば、お前、魔法騎士団に入るんだよな。楽しみにしとけよ〜」


「えっ?」


「そろそろ、業務に戻らないといけないし、お前たちの家族とベスター様に悪いからな。今日はここまでにするよ。まぁ、楽しみにしとけよ。本当にありがとうな」


「ええ」


「じゃーな。また会おう」


「うん。また会いましょう」


そう交わして、ダグディスは嵐のように去っていった。


そして、屋敷に帰りながら、お兄様に


「騎士団長と何を話していた?2人で何を話していた?」


と聞かれ、


「ダグディスと?」


と、私がポロリと彼の名前を呼び捨てたせいで、お兄様が


「大切な妹があいつに穢された!大切な妹があいつに奪われる」


と騒いでいたのを落ち着かせる羽目に遭うのはまた別の話だ。








ここまでお読みいただきありがとうございます。

更新毎日できずに申し訳ないのですが、頑張っていこうと思います。

徐々にたくさんのキャラ(悪役いないのか?と思っている方がいらっしゃったらそろそろ出てくるのでお待ちください)を出して行く予定ですので、よろしくお願いします。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

ブックマークや下の星のタップによる評価も私のモチベーションになっています。ご感想などもお待ちしています。

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