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再会①

よろしくお願いします。

1週間も闇魔法の練習をしてきたからだろう。

今回は上手く瘴気を隠すことができた。


そして、彼の最近の良くないーー今までは決してしてこなかった行動を映し出す。


彼が私や他の人に学園の課題を押し付けたこと。


彼女ーーアイヴィー・バルナー男爵令嬢と学園の授業が終わった後にゆっくりと2人の時間を過ごすために、王宮での剣術や帝王学の授業を休んだこと。


いつも幼馴染で親友として仲良く私と話していたのに、バルナー男爵令嬢と出会ってからは私を無視したり冷たい視線で見てきたこと。

これは友達としてとても悲しかった。


この城の応接室で目があった時も、きっと婚約することになるだろうと思っていたからか睨んでいるような目で見てきていたので、これも映し出した。


今はこれくらいだったけれど、逆行前の未来を思い出すと今後はもっと増えていったはずだろうし、いつも自分のやるべきことをちゃんとやって、周りの人に優しかった彼にしてはあり得ない行為を映し出す。


最後に、私の気持ちを伝達するためにバルナー男爵令嬢と出会う前に日々一つ一つのことを一生懸命頑張っていて光り輝いていた彼を見せる。


そうして、彼が全てを見た後、彼のアメジストのような美しい瞳から一筋の涙が溢れた。


「お、俺は……」


そして、少し落ち着いて、彼の美しい唇が弧を描く。


「な、なんてことを。本当に申し訳ない。ティーナ」


さらに彼の口から言の葉が紡がれる。


「言い訳みたいだけど、最近の俺はどうかしていたんだ」


私はこの魔法で彼が正気を取り戻せたこと。

彼が深い反省をしていることに気づき、やっぱり私の幼馴染は良い人なのよね。と誇嬉しく思いながら、彼に答える。


「ええ。いつものベスター様でないことはわかっていたわ。私、光魔法を発現してからあなたの様子がおかしいことに気づいたから、光魔法で治してみたの。どう?よくなったかしら?」


「あぁ。ありがとう。一生この恩は忘れない」


「一生は長すぎよ」


その会話にお父様、そして陛下が加わってくる。


「ティーナ、本当に光魔法を使えるのか!すごいな!!流石、私の自慢の娘だ」


「マルティーナ嬢。息子のためにどうもありがとう。お礼に何か願いを叶えたいのだが、何かあるか?」


私は、親友を治す為に行ったことだったし、親友が未来で立派な人になれるようにと思ってやったことだった。

だから、特に願いは無かった。

でも、よくよく考えると、この話の流れはいいわね!と思い、これを機に一つ叶えてもらおうかしら?と考えたことがあり、一つ話してみることにした。


「私は、せっかく授けて頂いた光魔法をちゃんと活かすために魔法騎士団に入りたいです。だから、第二皇子妃としての教育も今は受けられそうにないので、婚約の提案も今は無しにしていただけるとありがたいです。この魔法を扱えるようになって、この国のために役立ちたいのです。きっと、ベスター様も同じ気持ちだと思います」


ベスター様も目を伏せた直後、覚悟を決めた顔で強く言葉を発した。


「はい。私も婚約の前に、第二皇子として出来るようになることを全て出来るようにせねばならないと思います。まだまだ未熟で自分に自信が持てません。婚約をするのはもっと自分に自信を持ってからにしたいと思っております」


「……そうか。2人がそういうのであればそうしよう。そして、マルティーナ嬢の魔法騎士に入団というのは私はむしろ国のためにお願いしたいのだが、危険は伴うだろう。アクランド家の意向としてはどうなのだ?」


お父様は、陛下に真っ直ぐな視線を向けてこう告げる。


「私達は娘の気持ちを大事にしたいと思います。娘にも自分の命も大切にするようにとは伝えていますので、娘の好きなようにさせたいです。ぜひとも魔法騎士団で娘を鍛え上げて頂きたいです」


「ああ。それならわかった。魔法騎士団に伝えておく。この光魔法なら入団試験もきっとクリアするだろう。夫人達もこの部屋にもう一度この部屋に入室してもらおう」


やったわ。とりあえずは魔法騎士団の道に近づいたわ。そう思い、心に余裕ができたところで、お母様とお兄様、そして護衛騎士の方が入ってきた。


あれ?あの騎士の方の左腕はどうしたのかしら?


人は緊張状態よりも心に余裕ができた時に多くのものが見える。なーんて言うけれど。

実際にそうなんだと思う。


だって、護衛騎士の方の手に異変を感じたもの。

そして、それをよくよく見ると左の指先から肩の手前くらいまで壊死しいることに気づいた。


騎士の方の今後の人生のためにも治してあげないと!

騎士は身体が資本だもの。


そんな使命感に駆られ、私は騎士の方の近くに寄り、もしかしたら他の人に聞かれたくないのではないか。と思い、小声で聞いてみる。


「左腕が壊死しているのではないですか?」


彼は驚いたかのように目を見開き、少し躊躇いながら返事をする。


「……はい」

「私の光魔法で治したいと思うのですがよろしいですか?」

「っっ治せるのですか?!」

「はい。絶対治して見せます」

「それなら、ぜひお願いいたします」

「任せてください」


そんなこんなで、もう一度魔法を発動することにした。

今回も願い続けて、どうにかこの部屋にいる皆の目をくらますほどの光魔法を発動させることができた。


それを見届けてから、急いで闇魔法を発動させる。


「治癒」


徐々に騎士の方の腕が赤黒色から健康的で鍛えられた彼の元の少し白めの肌の色へと戻っていく。

そして壊死していた全ての部分が完璧に治った。


あぁ。よかった。そう思いながら、私は限界が来たのを感じた。


「ティーナ」


皆が慌てて心配しながら、私に向かって走ってくる。

お兄様が慌てて叫ぶ。


「きっと、きっと魔力不足だっっ。他の魔法師を呼んで参ります」


それに対して、お父様も声をかける。


「よろしく頼む」


私はそう意識を失いながら聞いた。

一つどうしても言いたい。

お父様、お兄様、心配しないでください。

魔力不足ではなく、食糧不足なんです。

ダイエットをして、食事制限していたのが問題だったのです。

予想外に魔法も使ってエネルギーを消費し過ぎてしまったんです。


そう思いながら、私はもう一つの掠れた囁きを聞いた。


「……マ、マーシャ?」


どうして、私の前世の名前を?

そう思いながら、私は完全に意識を手放した。




ここまで読んでくださりありがとうございます。

ブックマーク本当に励みになっています。

次の話もよろしくお願いします。

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