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Lost Memory  作者: 結川 美雨
プロローグ
1/3

出会い刻 I


「んっ……」

私は目を開けた。

「……ここは…どこ?…」

そうポツリと呟き、辺りを見渡した。

地面には石畳が並び、建物は煉瓦造り、上を見上げると雪が降っているということがわかった。

しかし、ここがどこなのか見当もつかず、辺りは真っ暗で誰かが周りにいる気配もない。

とりあえず立とうと思ったが、足に力が入らない。

少しずつ体の感覚が戻ってきたのか、鈍い体の痛みと寒さが私を襲った。


「……誰か…助けて…」

思わずそう声を漏らしていた。

しかしその声は誰にも届かなかった。

そしていつの間にか私は意識を失っていた。

___


「……み!君!大丈夫かい?!!起きて!!」

意識が戻り目を開けると、そこには緑色の目をした男性が、私に羽織っていたコートをかけ、一生懸命声をかけていた。

目を開けたことに男性は気づくと、

「起きたんだね!よかった…本当に心配したんだから……ここだとあれだし、僕の病院まで連れて行くね。ちょっと嫌かもしれないけど、僕の背中に乗っ……」


「貴方はだれ…?ここはどこなの…?」

私は彼の言葉を遮ってそう聞いた。


「……申し遅れたね、僕の名前はルシオだよ。医者をしてる。放浪しながらいろんな国の人の病気を見てるんだ。名乗りもしない者にノコノコ着いて行きたくないよね。……とりあえずゆっくり話をしてたら凍え死んじゃうから、まずは病院に向かおうか、それからゆっくり話そう。君、ここの村の子じゃなさそうだしね。立てるかな?」


「…は、はい。」

足に力を入れたが、さっきと同様立てなかった。

「すいません、足に力入らなくて……」


「そうか……じゃあ…よいしょっと」

彼は私に近づくと、お姫様抱っこをした。


「えっ?!」

声を出したが自分でもわかるほど弱々しく、

抵抗する力も残ってはいなかった。


でも、なぜか安心できた。

彼のことは信用して良さそうだと直感が言った。

ルシオは揺らさないように、早歩きで病院に向かっていってくれたのだった。





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