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「過分なおもてなしをありがとうございます」
「当然じゃないか。君はそれだけの働きをした。ささやかではあるが、私からお祝いさせてくれ」
……ぽむ
(ん?なに?)
今、唐突に何かを頭に被せられたような~
「うん、私の見立て通りだ。とてもよく似合っているよ」
「あの~」
聞きたいような、聞きたくないような~
ザッ
お兄様が手を振りかざすと同時に兵の隊列が割れて、大きな鏡を持つ兵士さんがやって来た。
だからお兄様、カッコよさの無駄遣いやめて。
「ご覧」
お兄様に促されて、姿見に映った自分と対面する。
「キャアァァアー!!」
「そうだろう、そうだろう。私も君を見た瞬間、込み上げる歓喜で黄色い声を上げたくなってしまったよ」
「ここ、これは……」
俺の頭の上に、茶色いモフモフのお耳が~
「もちろん、クマさんカチューシャだよ」
「ギャアァァアー!!」
分かってはいたが、言葉にされて悲鳴を上げた。
なぜ俺が...…
勇者たる俺が……
クマさんカチューシャ……
(キャアァアアー!!)