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キャアアアァアアー!!
俺、てっきり王様がお兄様って呼ばれたいんだと思って。
……って、実際呼ばれたいみたいなんだけど。
でも、そういう意味で言ったんじゃアァー!!
「王様!」
「お兄様だよ」
「ですから王様!」
「王様じゃない。お兄様だ」
ゾクッ
何なんだ、この威圧感。
威圧感の無駄遣いだ。
「王さ……」
「お兄様!」
「…………………………お兄様」
「なんだい♪ヒイロ♪」
(なに?このウキウキオーラ)
仮面の下、王さ……
「お兄様だよ」
……お兄様が、目を細めているのが手に取るように分かってしまう。
「……おにぃ……様」
「そう呼んでもらえるのは嬉しいよ。なんだい?私の麗しき勇者」
うっ、このノリどこかであったような〜
ついちょっと前に……
(確か〜)
「……私意外の男の事を考えている顔だ」
「ひっ」
息を飲んだ。
「いけないよ。君は私だけの可愛い勇者なのだからね」
「王さ……」
「お兄様だよ」
すっと近づいてきた仮面の下の眼差しが首筋に触れた。
「私の事だけを考えて、お兄様と呼びなさい」