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この国で一番偉い人。
俺は今から、その一番偉い人に会いに行く。
(王様!)
「ヒイロ様、どこへ?」
「もちろん王様に会いに行くんです」
王様だったらきっと……いや、絶対何とかしてくれる。
「謁見の間がどこかご存知ですか?」
ピタリと足を止めて、上半身だけ振り返った。
「どこですか?」
「お部屋を出て右。突き当たりまで進んだら……」
「分かりました!」
「まだお話の途中ですよ。それに、ほら」
「ひゃん」
「勇者様といえども、旅人装束では我が君主との面会は罷りなりません」
そうだった!
俺、普段着のままだ。
ここに来る途中、執事さんに緋色のマントを羽織らせてもらってはいるが、マントの下は冒険者の旅人装束。
「って〜〜〜!」
服来てない。
上着どこ行った?
「おズボンも脱ぎましょう」
パチンッ
「ひゃん」
なんでっ?
「おズボンはいてない〜〜〜!」
ゼフィルさんが指を鳴らした瞬間、はいている筈のおズボンが消えてしまった。
(辛うじて、おパンツははいているが……)
マントにおパンツ……あと靴下。
完全に不審者だ。
「恥ずかしい〜」
「ブラ付けますか?」
「そうじゃない!」