たいくつなお城
甘やかし宣言をした王さまですが、翌日から、本当にフラハのことを可愛がりました。
まずは、お城の中にフラハのお部屋を用意しました。
王さまの部屋と同じくらい大きいお部屋で、お部屋だけでも“かぜはなの家”の全部くらいありましたし、ベッドだけでも“かぜはなの家”のフラハの部屋と同じくらいありました。
次に、フラハのためにたくさんの召使いをやといました。
朝、起こすためにニワトリも一羽。こいつは「うるさい!」と言って頭をたたくと、大人しくなって二度寝をさせてくれるように訓練されています。
まくらにするためにヒツジを一匹。こいつは生粋のなまけものでじっとしているので、まくらにうってつけです。
次は、黒いスカートと白いエプロンのメイドたちです。
ベッドを整えるためにひとり。フラハの風色の髪をとかすためにもひとり。おきがえをさせるためにもひとり。
フラハは「そんなの自分でできるわ」と言ったのですが、ちゃんとやらないとメイド長が王さまに報告して、どのメイドもしかられてしまうということでしたので、かのじょたちのために全部おまかせすることにしました。
それから、とっても顔の良い若い男の執事さんをひとり。
かれは小さな金ぴかのベルを鳴らすと、すぐにかけつけて命令を聞いてくれるそうです。
とはいえ、フラハ的にはイケメンはあまりあてにならないと考えています。
食事もごうかです。
世界一をじまんする果樹園や野菜畑から集めた食べ物を、世界一の腕前を自負する“料理の妖精”が調理して、金ぴかの食器に入れて、テーブルにずらーっとならべます。
「これ、全部わたしが食べるの?」
「そうでございますとも」
世界一高いコック帽をかぶった料理の妖精が言います。コック帽が長過ぎて天井に当たっているので、まるでお城の柱です。
かれは、百品くらいある料理の説明を始めました。
材料がどこでとれたとか、ソースはどういう調合をしているのかとか……。
それに重ねるようにして、三角の眼鏡をかけた“マナーの妖精”が、ナイフとフォークの使いかたをくどくどと説明しています。
ばかみたいに長い説明とマナー講座が終わって、ようやくお食事が始まりました。
でも……。
「こんなに食べたら、お腹がはれつしちゃうわ」
「平気でございます。わたくしの魔法のかかった料理は、どんなに食べてもお腹がふくれないのです」
とはいえ、百品も食べていたら日がくれてしまいます。
「ふつうの量でいいです」
「では、余計なぶんはすててしまいましょう」
「そんな! もったいないわ。だれか、お腹を空かせている人にあげてきて」
「この国はみんなお金持ちですので、ご飯を食べられない人はいません。“腹ぺこの妖精”はわすれ去られて、ごまつぶになってふまれて死んで消えてしまいました」
「あんまりだわ……」
フラハは悲しくなりました。
ナイフとフォークを取り、のろのろとお皿に手を付けます。
ならべられた料理は、確かに一級品ばかりです。
お野菜はどれも甘くお口の中でとろけるよう、ミルクやソースはのうこうで、こくがあってまろやか……でしたが、ふしぎなことに、「おいしい」という気持ちすらも、とけて消えてしまうのでした。
長くて広いテーブルにはフラハがたったひとりですし、ほかには一言もしゃべらないメイドたちが整列して命令を待っているか、マナーの妖精がひとりでずっとしゃべっているかです。
“かぜはなの家”みたいに、「今日はこんなことがあったよ」というおしゃべりもできませんし、トムが口をよごしながら「おいしいね」と言うのも見られません。
「ペーポはどこに行ったの?」
「ペーポ特別補佐官さまは、すでにお食事をすませられて、王さまや大臣といっしょに、“黄金の親切計画”ための会議をしておられます」
イケメンの執事さんが答えました。
「わたしも、王さまたちのおてつだいがしたいわ」
「だめです。王さまには、フラハさまをたっぷりと甘やかし、おてつだいなんて決してさせず、ずっと遊んでてもらうようにと、おおせつかっております」
「えーっ! そんな、息苦しくってちっそくしちゃうわ!」
「空気はちゃんとございますよ」
イケメン執事は、「すーはーすーはー」と深呼吸をしました。
「面白いじょうだんね」
「おほめにかずかり光栄です」
執事はすまして答えます。
フラハは「いらっ」としましたが、「がまんよ、がまん」と自分に言い聞かせました。
だまって食事をしていると、テーブルのうえで“緑色の何か”が動いているのを見つけました。
……青虫です! 虫入りだ! 料理長の首をはねろ!
「あなた、こんなところで何をしているの? きのう、町でリンゴを食べてたでしょう?」
口うるさいマナーの妖精に聞こえないように、こっそりとたずねました。
「きみにくっついて海をわたったんだ。すてきな羽のチョウになるためには、色々な種類の食べ物を食べたほうがいいと思ってね」
「ふうん……。ねえ、ここにある料理を食べるの、手伝ってくれない? 世界一の料理らしいの。ねえ、お願い!」
「お願いされるまでもない。やめてって言われても食べるつもりだったよ」
「まあ!」
フラハは無礼な青虫に笑ってしまいます。
こいつは、自分のぶん以上に食べて畑をあらすやっかい者でしたが、今のフラハにとってはゆいいつの緑の丘の知り合いで、助けとなりそうです。
フラハは気を良くして、「全部食べちゃっていいわよ」と勧めます。
青虫はぺろりと全部の料理を食べてしまいました。
かれは世界一の料理を食べておきながら、「いまいちだね」なんて言っています。
ともあれ、これでたいくつなテーブルとはおさらばできるでしょう。
よっ、さすが! はらぺこ青虫! にくいねえ!
「お食事がすんだらお遊びの時間。お遊びがすんだらご昼食で、それからお昼寝、それがすんだらおやつで、またお遊びの時間です。ご夕食が終わればお風呂の時間で、そのあとはパジャマパーティーの時間となっております」
フラハはそれを聞くと、だれもいないほうを向いて、しかめっつらをして舌を出しました。
どうやら、すごく不満なようです。交代してあげたいところですね。
食事が終わり、お遊びの時間とやらになったわけですが、「遊べ」と言われて遊ぶのなんて初めてです。
フラハはひとりで遊ぶのは、あまりしゅみじゃありませんでしたし、ペーポは王さまの手伝いというわけですから、遊び相手が必要でした。
なんでもいうことを聞くという執事やメイドたちに「何かやりたい遊びはある?」とたずねてみました。
すると、どうでしょう。だれしもが一様に首をふって、「仕事中なので遊べません」なんて言うのです。
フラハも別に遊びたい気持ちだったわけでもありませんし、こまってしまいました。
でも、ぼんやりつっ立っていたり、たいくつそうにしていると、かれらは「お腹が痛いのですか?」とか「楽しそうにしてくれないと、わたしたちが王さまにしかられてしまいます」なんて言うのです。
これならまだ、悪しゅみな金ぴかの像のほうが、いくぶんかましです。
フラハは、このじゃまくさい使用人連中を納得させるために、にこにこ笑顔になって、「ららら、楽しい~♪」と歌を口ずさんで、スキップでうろちょろし始めました。
……一時間くらいそうしていると、かれらは納得をしたのか、おのおのほかの仕事にもどり始めました。
メイドのひとりが去りぎわに、「ひとりで遊ぶなんて、あの子、頭がかわいそうなのね」なんてつぶやきました。
フラハは「かちん!」ときましたが、「がまん、がまんよ」と唱えます。
以前、パンカフェでティータイムをしていたときに、大人の人が言っていたのを聞いたことがあります。
「がまんをたくさんしたあとに、楽しいことやおいしいことをすると、倍はうれしくなるね」
ということです。
ちなみに、バケリおばさんはクッキーをわしづかみにしながら、「がまんしなくても、ずっと食べてれば、ずっとおいしいじゃないかい!」と笑っていましたけど。
さて、ようやく解放されたフラハは、ひとりでもできる多少ましな遊び、「探険ごっこ」をすることにします。
ちゃんと友達になれそうな人か、陽気な妖精をさがそうと思ったのです。
できれば、トムのような小さい子がいれば、いちばんでしょう。
ああいう子は、たいくつな命令は聞かないでしょうし、フラハがおてつだいをしてやらないといけないことも多いですからね。
お城の中では、たくさんの人や妖精が働いています。
黒いスカートと白いエプロンのメイドさんたちや、モーニングを着た執事、それからファギオさんによく似た、おひげをほうきのように結んだ妖精がたくさんいます。
かれらは、お城の金ぴかがくもってしまわないようにみがいたり、はげてきたところをぬりなおすのにいそがしいようです。
フラハは、ムギちゃんといっしょにメイドごっこをしたのを思い出しました。
パンカフェでおそうじをしているときに、ふざけてやったことでしたが、あれはけっさくでした。
ここにムギちゃんがいてくれたら、どんなに幸せでしょうか。
トムにぶかぶかのモーニングを着せてやっても可愛いにちがいないでしょう。
フィーユちゃんは、指でほこりをすくい取って「ふっ!」と息で吹き飛ばす、いじわるまま母の役をするにちがいありません。
それか、これだけ広いのなら走り回っても平気ですし、リーデルくんがおにごっこをしたがって、いつもの言い争いをするかもしれません。
……なんて想像してみますが、ここにみんなはいません。
「まったく。フィーユちゃんのお城ごっこのほうが一億万倍楽しいわ」
フラハはため息をつきます。
お城の中をざっと歩いてみましたが、子どものすがたは見えませんでした。
王さまはご結婚もされていないようですし、王子さまや王女さまもいません。
お城の外の町なら子どももいるのでしょうが、苦労して長いろうかと広い中庭をこえて町に出たとしても、あのほこりっぽい金ぴかの町の人たちと仲良くできる気はしないのでした。
フラハは、今日のところはがまんをすることにしました。
きっと、王さまだって、あれだけ会いたがっていたのですから、フラハと遊びたいはずです。
フラハが“本当の親切”が好きなのを知って、がまんをして仕事をしているのでしょう。
王さまには国を良くするという大切な役割があります。まずはそれが先。フラハばかりが、わがままを言うわけにはいきません。
「がまんよ、がまん」
フラハだって、この町の人に親切になってもらいたいですし、そういう偉業を達成できれば、ココロ先生にほめてもらえるでしょう。
もちろん、王さまのことも、フラハはちゃんとほめてあげるつもりです。
でも、てかげんをしてほめてあげないと、よろこびのあまり天井をつきやぶって宇宙まで飛んで行ってしまうかもしれませんね。
「宇宙はおおげさかしら?」
フラハはひとりで笑い、お部屋にもどると、大きな鏡を使って自分のすがたを見てみました。
「羽が、けっこう大きくなったわね。グロブさんよりもあるかも?」
ちょっと、にやけてしまいました。
少し前までは、背中を向けて身体をひねらないと、自分では羽が見えなかったのですが、今はもう、鏡に向かって真っすぐ立っていても、羽の先がちょこっと見えるようになっているのです。
頭のふたばは相変わらずふたばのままでしたが、ここまで羽が育ったのなら、いつでも木やお花が話し相手になってくれるかもしれません。
ココロ先生の言う通り、何か植物の妖精だったらの話ですけどね。
フラハは「緑の丘にあやかって、“緑の妖精”とよびましょう」と鏡に向かって言い、中庭へ出かけることにしました。
長い長いろうかを通り、金ぴかの像ばかりの景色にあきてきたころに、ようやくとびらが見えてきました。
開け放たれたとびらの向こうに、緑のじゅうたんが広がるのを見つけて、フラハは思わずかけ出します。
ところが、とびらをぬけようとすると、とびらの左右に立っていた兵隊さんが、槍を交差させてゆく手をさえぎったのです。
「王さまがさびしがるので」「出て行ってはなりません」
ふたりの兵隊さんは交互に言いました。
「だいじょうぶよ。中庭に出るだけ。お城からいなくなったりはしないわ」
「「だめです」」
今度は同時に言いました。聞き分けの無い人たちです。
「けち!」
フラハが文句を言いながら中庭をいやしくのぞいていると、“こまってる人センサー”が何かをキャッチしました。
可愛いお耳がぴくぴくと動きます。
中庭から、木やお花たちの声が聞こえてくるのです!
『助けて! わたしたち、こんなところにいたくないの!』
「お願い、通して!」
フラハは思わず、兵隊を押しのけて中庭に出ました。
『あなた、わたしたちの声が聞こえるのね? 王さまったら、金ぴかが好きだからって、わたしたちのことを金でめっきしようとしたりするの。せっかく、きれいに咲いても、そんなことをされたらちっそくしてしまうわ。ちっそくしてかれたら、別の花が植えられるの。わたしたちが本当の色で咲いていられるのはほんの一日だけで、すぐに金ぴかにされてしまうの!』
かわいそうなお花たちはしくしくと泣き始めました。
『助けてほしいけれど、王さまに文句を言ったら、あなたも花が落ちるように、首をちょん切られてしまうわね』
「まかせて、いけるわ。王さまは心を入れかえて首はねを禁止にしたし、わたしのお願いなら、聞いてくれるはず」
『そうなの? でも、大臣はけさ、わたしたちをぬるために金のペンキを用意させていたわ。見てよ、あっちのめずらしい黒ユリなんて、反対の金ぴかにぬられると知って、一晩中泣きはらして、とうとう散ってしまったの』
……黒ユリたちは、見るも無残にすべて地面に散らばっていました。
フラハは耳をすませますが、かれらの声は聞こえません。
「しっかりして!」
だめです。うんともすんとも言いません。
フラハは悲しくなって、黒ユリのそばにひざまずきました。
いつか、似たようなことがあったはずです。
あのときは、黒ではなく白い花で、なんとか散らずにすみました。
「スノードロップ……!」
フラハは、花を散らしたユリに向かって両手をにぎりあわせてお願いをしました。
「お願い、また花をつけて、きれいなすがたを見せて……!」
妖精の羽がふるえ、「りーーん」とすきとおった音が中庭にひびきわたります。
それから、フラハと花たちが虹色の光に包まれたかと思うと、黒ユリが次々と新しい花をつけ始めたのです!
「すごい……! これは、魔法だわ!」
フラハはとうとう魔法を使えたのです。
ひょっとしたら、これまでも魔法が何度か使えていたのかもしれませんけど、はっきりと分かったのはこれが初めてです。
フラハは幸せと妖精としての誇りで胸がいっぱいになりました。
もう、魔法の使えないはんぱな妖精でも、子どもでもないのです!
「みんな、待っててね。この緑の妖精が、あなたたちを守ってあげるわ」
フラハはそう言うと、お城の中を胸を張って歩き始めます。
さあ、王さまに命令を取り消させましょう。きれいなお花に金めっきは不要です。
手ちがいか、それともまだ“分かっていない”のかは分かりませんが、正してやらねばなりません。
フラハは家来たちにたずねてまわり、王さまの居場所をつき止めました。
キッチンの地下にある、食糧庫の、そのおくにある酒蔵にいるそうです。
こんな真昼間からお酒だなんて、さては、“心を入れかえたふり”だったのかもしれません。
フラハはまた腹が立ってきました。もう、がまんなんてやめです!
鼻から息をたっぷりとはきながら、酒蔵のとびらを開けます。
「おや、フラハちゃんではないか。こんなところでどうしたのじゃ?」
王さまは、にっこりと笑って出むかえました。
かれのほかに、黒のチョッキをばっちりと決めたペーポや、つるっぱげのまじめ大臣もいます。
もうひとり、おひげと丸眼鏡の妖精がいるようです。
フラハは、事のてんまつを話しました。というかもう、苦情を言いました。
お花の金めっきのことはもちろん、「なんでもかんでもおてつだいをされたら、いきぐるしくてお花のように散ってしまうわ!」と。
「それに、わたしはもう、魔法の使える妖精になったのだから、遊ばなくてもいいの!」
「どいうことじゃ? フラハは、子どもの妖精じゃろう?」
王さまがペーポにたずねます。
ペーポは辞典をぱらぱらとめくると、「羽が生えて魔法が使えれば、妖精的には大人であるようだな」と回答しました。
「でしょ? だから、わたしもおてつだいじゃなくって、国を良くするために働くわ」
「それは大歓迎じゃ! 中庭の花を金にぬらせるのもやめにしよう。というか、大臣には言っておいたはずなんじゃが……」
王さまがぎろりと大臣をにらみます。
「いそがしすぎて、わすれていたのです。ついつい、いつもと同じように、朝の仕事をこなしてしまいまして……」
「まったく、大臣はくそまじめじゃの」
王さまはため息です。
「ところで、王さまたちは何をなさっていたの? 真昼間っから、お酒?」
フラハは説教くさい感じで口をとがらせます。
「うむ。じゃが、これは楽しみやパーティーのための酒とは、ちとちがう。フラハちゃんは、本当の親切でなければならぬと言ったじゃろう? お酒を飲むと、たいていはみんな、自分の正体をさらすものじゃからの。これを飲んでも親切でいられるのなら、本当の親切者だと分かる、というわけじゃ。ペーポの考えてくれたとびっきりのアイディアなんじゃよ」
そう言って王さまは、たるから樹液のような色をした液体をグラスにそそいで一杯やりました。
「……うまい! どうじゃ、フラハも大人の妖精というのなら、大人のあかしとして、わしらとさかずきをかわさんか?」
フラハの前に、新しい木のような香りのするグラスが差し出されます。
「わたしはもう大人だけど……子どもやお酒がきらいな人には飲ませられないわ」
「そこはそれ、そこの“お酒の妖精スコッチさん”がつくったお酒なら、身体にも悪くないし、二日酔いもしないし、飲んでも太らないし、お酒が苦手な人でも、かならず良い気分になるのじゃよ。わしは、スコッチさんをまねくために、千人くらいの家来の首をはねたものじゃ。といっても、フラハに禁止される前じゃからの?」
「でも……」
何か引っかかります。フラハはグラスをにらみました。
「飲めないのか? ひはは! フラハは子どもだな」
ペーポは、たるから滝のように流れるお酒を、がぶがぶと飲んでいます。
「わたし、もう子どもじゃないのよ!」
フラハは、かっとなってグラスを引っつかむと、腰に手を当てて、「ぐいっ!」と一息に飲み干します。
それを見ていたみんなは、はくしゅをしながら「良い飲みっぷりだ」とほめました。
……が、フラハは気付きました。
「ちょっとまって! かならず良い気分になる魔法のお酒なら、飲んでも本当の親切かどうか分からないわ!」
「もうおそい!」
そう言ったのはペーポのやつです! こいつはフラハをにらむと、瞳を真っ赤に燃やしました!
子どものような悪魔の身体が、ぼんやりと赤く光り始めます。
「アクマノマホウハホントノマホウ、ホントノマホウハサカサマノマホウ!」
やばいです。悪魔の魔法です!
でも、王さまたちはお酒に夢中で、ペーポが魔法を使ったことに気が付いていません!
魔法にかけられたみんなの身体が、次々と赤く光っていきます!
もちろん、フラハの身体も真っ赤! 魔法にかけられています!
「……あーん? なんか、むかつく頭してるわね、おまえ~」
おまえ!? なんということでしょう!?
不良みたいな言葉が、あの可愛いフラハの、あの可愛いお口から!
「ひははは。良い感じに効いてきたようだな! ……ぐわっ!」
フラハはペーポのブラシで整えられた頭を両手でつかむと、ぐしゃぐしゃのぼさぼさにしてしまいました。
そして、それを「びしっ!」と指さすと……「よし!」と言って、笑ったのです。
ああ……。にっこり笑いじゃありません、なんだかこう、悪い笑いです……。
* * * *
* * * *
☆悪魔の世界のひみつ、その四☆
「先に悪魔が甘いものをあたえると思われがちだが、本当はおまえたちがほしがったからあたえたにすぎないのだ」




