魔王の歌姫
みなさん。こんにちは、そしてこんばんは。
作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す!
もう、おなじみだけど、ここは前書きでっす!
本編を読みたい人はサクッ、と飛ばしてね。
さて、二月くらいに間宮冬弥は昇級試験を受けてましたって
話をしたと思うけど、合否の報告は時期的にもアレだったので先延ばしにしてたけど
今、ここで誰も聞きたくないけどその結果を言うね
えっとぉ~不合格でしたぁ~~
筆記試験は合格だったんだけどねぇ~面接試験で落とされたそうでっす!
まぁ、次があったらがんばるって言ったから見守ってね
では、第五話である最終話をお楽しみください。それではっ!
◆
「歌姫を連れてこずに帰ってきたと思ったら、また出かけるのか?」
早朝。わたしはアウラさんにまた、出かけることを告げた。目的は前回城を離れたのと同じ理由。
「はい。申し訳ございませんが……行ってきます」
「なら、さっさと行って帰ってこい。あまりにも遅いと私がこの城の城主となるぞ」
「はい。なるべく早く帰ります」
「では行け。そして歌姫を魔王の城へと招き入れろ!」
「行ってきます!」
力強く送り出され……たのかな? それとも怒っていたのかも……
「アウラも恥ずかしがり屋ですねぇ〜はっきりと『気をつけて行っておいで』って言えばいいのに」
「えっ!」
わたしはマイラの言葉に驚きの表情で口を挟んだ。
「さっさと行って帰ってこいって言ってましたよね? あれってアウラなりの気遣いなんですよぉ」
「へぇ〜」
「なんだかんだ言ってもぉ〜アウラさまはお優しい方ですからねぇ〜」
わたしには怖いし厳しいって印象しかないけどなぁ……でもマイラの言うことが本当なら、嬉しいな。
◆
「……魔王さまぁ……歌姫さんに会いに行くんじゃないんですかぁ〜?」
「まぁまぁ、まずはここでおみあげを買っていこうよ」
と、いって周りの店を見て回る。
ここは『ラディアトーム』魔王城から湖を挟んだ目と鼻の先にある城塞都市と言われている街。
わたしと胸のポケットに隠れたマイラは、ここで歌姫さんのおみあげを買うことにした。
「私はぁ〜おみあげなんていらないと思うですけどねぇ〜」
「ううん、大事なひとと会うんだもん。必要だって」
「そうですかぁ〜」
「そうだよ。それに……一度ここには来てみたかったからね」
「バレたら……即勇者登場ですけどね」
「あはは」
活気がある街だけど……この活気は勇者がいるからこそ成り立っている。本当なら魔王城の目と
鼻の先にある街なんて誰も住まないし、廃れて廃墟になるのがオチだ。
でも、この街は代々勇者が拠点とする街だけあって警備も街の防衛設備もしっかりとしている。だからなのだろう。
この街の人々は笑顔があふれていて、どこか安心しきっている感がある。
「まったく、よく素顔のままでいられますね」
「まだひとの前で『魔王』って名乗り出てないからね……顔バレはしないよ」
「そうですけどぉ……あ、顔バレって言えば……魔王さまはまだ勇者を見てないんですよね?」
「うん、まだ見てない」
「なら……ここで一発爆裂魔法を使っておびき寄せますか? 詠唱の補助はしますよ? どうですか、ドカンと一発!」
「しないよ」
そんな他愛もない会話をしていると、わたしは一軒のお店を発見する。
「えっ……」
そのお店をみて……目が点になった。
「うそ……なんで……」
「魔王さま……?」
その店舗には『新しい勇者考案の新商品! ハンバーガー新発売』と大きくのぼりが出ている。
「ハンバーガーって……あのハンバーガーの事?」
それはわたしの元いた世界の食べ物の名前……でも、本当にあのハンバーガー?
「あ、ちょっ、魔王さまぁ!?」
吸い込まれるようにその店へと足が動き出す。
「いらっしゃいませ〜」
わたしと同じくらいの年の女の子がパンを品だしをしながら声をかける。
店内はパンのいい匂いであふれかえっている。どうやらここはベーカリーショップみたい。
「魔王さま、突然どうしたんですか?」
「ごめん。少し混乱してるから静かにしててくれる」
「……はぁ〜い」
軽い返事でマイラは話しかけることはなくなり、わたしは店内で『探した』
「あった……」
その一角にそれはあった。見た目は私の知っているハンバーガーそのもの。バンズに肉を挟んでケチャップや刻んだタマネギを入れてある。
そしてチーズを挟んだチーズバーガーもあった……
ふと、壁に掛けられている張り紙を読んだ。
「お好みに応じて、具材を増量、変更などのカスタマイズいたします……」
その具材一覧には『肉を二枚に増量』や『目玉焼き追加』や『チーズ増量』、『パティをエビ(ザラス)に変更』や
『パティをトンカツ(ブッキー)に変更』『パティをサラダチキンに変更』それに『タルタルソース変更』『ホワイトソース追加』などと
記載されている……ザラスやブッキーはたぶんこの世界でエビやブタのような生き物の事だろう。
「どうして……」
この事でひとつ。勇者に関してわかったことがある。
「勇者は……わたしと同じ世界のひと……?」
確定ではなく推定。男か女。年齢もわからないし会ったことも無い勇者だけど……もし、本当にこのハンバーガーをこの世界で初めて考案したのなら……それは。
「新商品なのでおひとつどうですか?」
「あっ……」
突然後ろから話しかけられ、振り向くとさっきパンを店頭に並べていた女の子の店員がわたしに話しかけてきていた。
「えっと……ハンバーガーって言うんですか? これ」
「はい。この街に住む勇者さまが考えた新メニューです」
「勇者……さまがこれを……なら勇者さまはこの店に来るんですか?」
「ええ、何度か。でも最近はご来店してませんね」
「そうなんですか……えっと、この街に来るのは初めてなんですけど……どんなひとですか。勇者さまって」
「う〜ん……一言でいえば、面白い男性ですね」
「面白い……」
面白いってだけじゃ……よくわからない。
「面白い……ですか。勇者っておいくつくらいなんですかね?」
「そうですねぇ……だいたい見た感じだと、お客様と私と同じくらいの年齢くらいだと思いますね」
「そうですか……」
同じくらい……なら高校生って事……?
ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あっ」
一瞬の思考停止。そして、鼻をかすめるハンバーガーの香ばしくていい匂い。その匂いがわたしの食欲を刺激して、
お腹が反応してしまった……しかも、かなり大きなお腹が鳴る音で……
「あ、えっと……いろいろと教えてくれてありがとうございます。え〜じゃあ、このハンバーガーひとつください!」
照れ隠しでわたしはハンバーガーを指さす。
「かしこまりました。セットメニューですとフライドポテトがつきますが、セットでおひとついかがですか?」
「ポテトもあるんだ……」
ううっ……たぶんお腹が空いていると思われているからススメてるんだよね……
◆
「おいひぃでしゅ〜!」
ちぎったハンバーガーをマイラにあげるとマイラはおいしそうにハンバーガーを口いっぱいに頬張る。
あの後、結局セットメニューにはせずに単品だけ注文した。
街を歩いているときにみつけたちょっとした公園でわたしとマイラは買ってきたハンバーガーを食べることにし、噴水近くのベンチに腰をおろした。
「うん、おいしい」
本当においしい。わたしが知ってるマムトナルドのハンバーガーよりも断然おいしい!
まぁ、三日以上何も食べてなかったって事もあるんだろうけど。でも……あんなグロい映像を見てもこうやって食べ物を食べられるって……
人間は空腹には勝てないって事かな……
「……この味ってなんとなくマムトぽくないけど……どこかで」
う〜ん、どこかで食べたことある味なんだよねぇ……どこだっけなぁ……
一口食べたては考え込むわたしをみてマイラは『大丈夫ですか?』と真顔で問いかける。
「う、うん。大丈夫だよ……」
マイラに真顔で心配されるなんて……今のわたし……よっぽど変な行動をしてたのかぁ……
「あ! 思い出した!」
何度目かのわからないけど口の中に入れた瞬間、突然、記憶が掘り起こされるような感覚がわたしを襲った!
「モグバーガーの味だ!」
うん、そうだよ! これってモグハーガーの味だ!
「もぐばーがー? 突然大声をだして本当に大丈夫ですか? もしかして記憶混乱とか昨日の映像の後遺症とか起こしてます?」
「だ、大丈夫だって」
マイラに大丈夫だと告げて、引き続きハンバーガーを食べる。
「……」
モグバーガーか……なんだかすごく懐かしい感じがする……
懐かしい感情を抱くなんて……すごく遠いところにきたって感じ。まぁかなり実際に遠い所なんだろうけど……異世界? 別世界? かも知れないし。
私はもう、『元の世界』には戻れない……でももし、戻れたらマムトのハンバーガーをもう一度食べたいなぁ……
「よし、決めた」
「魔王さま?」
残りのハンバーガーをふたくち口に運び、マイラにこう言った。
「このハンバーガーを手みやげにするよ」
ハンバーガーを買った店へと行く前にひととおり街を見て回った。
「サンドイッチまで……」
街にはわたしが『元の世界』で知っている食べ物が数多くあった。
牛丼にラーメン。天丼やてんぷら。それにおでん。お寿司なんかもあった。
これらの料理に共通して言えることは街のひとが口をそろえて『勇者が考案した』と言うことだ。
(やっぱり……勇者はわたしの世界のひと……)
そう思わざるを得ない。ううん。絶対にわたしの世界のひとだ。
そして、わたしと同じ高校生……
「なら……わたしは……」
おにぎりを手に取りわたしは小さく呟いていた。
同い年の男の子に……殺してもらわないといけないのかな……
◆
「すべて枯れてますねぇ」
森に着いたわたしが抱いた感想は『生気がない』事。
この森は誰が呼び始めたのか『死に果てた大地の森』と呼ばれている。その名の通りにすべてが枯れ果てている。木も水も土も。
そんな森に、彼女は歌姫は空を見上げていた。
空だけは青く、蒼く染まっている。生きているかのようにその姿を時間で変えていく。
唯一生きている空を歌姫さんは見上げている。
「じゃあ行こう」
「待ってください魔王さま。念のため、『闇の加護』の効力を最大にしておいたほうがいいです」
「最大に?」
「はい。念のためです。歌姫さんの声は聞いただけで例外なく死に絶えます。ですが、闇の加護を最大出力にすれば
声の効果をある程度は軽減できるかもしれません。
軽減か……完全に防げるわけじゃないのか
「最大にしなくても大丈夫だとおもうけど……」
そう答える。
闇の加護は『最小出力でもかなりの防御効果を発揮』してくれているから必要ないと思うけど……
「……暴走していたとはいえレオンレイクを約三時間ほどで滅亡させた『歌』を甘くみない方がいいですぅ」
「……そうだね。わかった」
レオンレイクでの映像を思い出し、マイラの言うとおりに『闇の加護』を最大出力にし纏う。
指で印を結び、闇の加護の効果を最大限に引き上げる。
「マイラわたしの肩に」
「はい」
マイラをわたしの肩へと乗せる。これは『闇の加護』の恩恵をマイラにも与える為だ。
「えっ? なに……」
その時だった。わたしの耳に聞こえてきたのは『歌』だった。
「もしかして歌姫が?」
マイラはそう言い、視線を歌姫さんへと向ける。
「くっ……」
歌姫さんは左手を胸にあて、喉を開き、歌声を森に響かせている。
歌を聴いた瞬間にわたしの身体は地面み吸い込まれるように倒れる。
頭が割れそうに痛い。それに身体の節々が鈍器で殴られたみたいな痛みで悲鳴を上げている。
「魔王さま……大丈夫ですかぁ……?」
「うん、なんとかね……」
これほどまでに強力なの……マイラの言うとおり闇の加護を最大限にしてなかったら……ヤバかったかも。
「はぅ……」
なんとか立ち上がる。動けないほどじゃない。痛みを耐えれば動ける。
「はぁはぁ……」
なんとか近くの木まで辿り着き肩で寄りかかる。
「でも……すごく綺麗な歌声……こんな綺麗な声で死ねたら……幸せかもね……」
「その意見は承服しかねますけど……歌声が綺麗って所は賛成ですぅ……」
「あはは……」
気を抜いたら気絶するくらいの痛みを耐えて、わたしとマイラは歌姫さんの歌を聴いた。
なぜなら、近づきたくてもわたしの身体がそれを拒否しているからだ。一歩を踏み出せない。近づく事ができないから
歌が終わるまで聴いていないといけないからだ。
「行くよ」
数分後。
歌を終えた歌姫さんをマイラと確認して意を決する。
「はい」
マイラは力強く返事をした。わたしは大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
「余計なことは言わないでね」
「はぁ〜い。わかりましたぁ〜」
間延びた声で返事を返すマイラ。その声からはちょっと信用できないなぁ……
「あ、あの……」
そして、わたしは歌姫さんに声をかけた。
◆
「はぁ……はぁ……マイラ生きてる?」
「生きてますよぉ……魔王さまも生きてますかぁ?」
「うん……なんとか生きてる……」
歌姫さんにペンダントを渡して別れてから、わたしとマイラは死んだ大地に崩れるように倒れ込む。
会話をしただけでなのに……身体中に残る激痛の残留……それと死にたくなるくらいの頭痛が歌姫さんの会話中にわたしを包んでいた。
「もっと……早くペンダントを渡してくださいよぉ……」
「順序ってのがあるんだって……言ったでしょ……」
「真面目ですねぇ……私、死にそうですけどぉ……」
「それだけ口が聞ければ大丈夫だって……」
死にそうなマイラは相変わらずの悪口と軽口をたたく。
「そう言う魔王さまも、ですけどねぇ」
「あはは……」
「流石ですぅ……笑えるだけの余裕があるんですねぇ……」
そっか、わたしこんな苦しい状況でも笑えるんだ……まだ『大丈夫』なんだ……
「ねぇ……マイラ」
「なんですか?」
「歌姫さんは……私の元に来てくれるかな……?」
「さぁ……どうでしょうねぇ……私にはわかりかねますぅ……」
「まったく……嘘でもいいから……『来てくれますよ』って言ってよね……」
その後、数時間。わたしとマイラは体中の激痛で動けずに空をぼぉーーーーっとずっと眺めていた。
◆
「で、歌姫も連れてこずにおめおめと帰ってきたのか?」
「えっとぉ……そうです」
「……貴様は何しに何日も城を空けたのだ?」
「歌姫さんを招くためです……」
「その歌姫が城にこずに貴様はペンダントと手みやげを歌姫に渡しただけだろうが」
「あ〜え〜、そ、その通りです……」
城に帰り、アウラさんの事の顛末を話した所、説教が始まった……まぁ、わかっていた事だけど……やっぱり、辛いよぉ……
「貴様はなんだ? 使用人か?」
「えっと……この城の城主の……ま、魔王です……」
「なら、しっかりしろ! 貴様は私の父の意志を継いだ魔王なのだぞ!」
「は、はい……」
魔王さんの意志を継いだか……アウラさん……『本当の事』を知ったら……わたしを『殺す』かな……
あ、もし城に来たら歌姫さんにも言っておかないと……『あの事は言わないで』って……
「聞いているのか!」
「は、はい! 聞いてますとも!」
「ところでマイラはどこだ?」
「えっとぉ、用事があるとかで……」
「用事だと? まったく。貴様は……自分の『精霊』の管理もできんとは何事だ!」
「えっと……マイラは幼児だからですかねぇ……」
「……」
「な、なんでもないです!」
なんで、シャレみたいな事言ってるの! わたしぃ! しかもアウラさん目が笑ってないよぉ!
「まったく、貴様は魔王という自覚が……」
この後、約二時間ほど説教を受けて解放されたわたしは精神的にヘトヘトになり、部屋ですぐに眠ってしまったのだった。
◆
三日後
「魔王さま。よろしいでしょうか?」
「はい?」
部屋でアウラさんから目を通しておけと言われた作戦資料やこの世界の文献を目を通していた所に、魔物のオークさんが報告があるとかで部屋に来た。
「城門を守る守衛からの報告で人間が魔王さまに会いたいとかで城に来ていますが、始末いたしましょうか?」
「イヤイヤ始末は絶対にだめですって。で、わたしの会いたいんですよね?」
「はい。そのようです」
「誰だろう? 男のひとですか、女のひとですか?」
「人間の小娘です」
「小娘……あ、会います! すぐに行きます!」
その女の子に心当たりがある。
わたしは部屋を取びだして、駆けだして城門へと向かった。
そして、そこで待っていたのは……
「はぁはぁ……ふぅ……ようこそ。魔王城へ」
息を整え、満身の笑顔で女の子を迎える。
黒いフードを羽織った女の子の胸には綺麗な翠色のペンダントが下がっている
その子はわたしの反応にすこし戸惑いながらも綺麗な『声』で返してくれた。
おまけ、歌姫と魔王・完
こんばんは、間宮冬弥です。
まずは、この稚拙な作品を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
今回でこのお話は最後となります。
次に投稿するお話は考えていないのですが、今書いているのは「アンブレイドしたら年上の~」
関係の話を書いています。どう転ぶかわかりませんが、こちらを投稿すると思います。
時期は未定です
では、短いですがこれで失礼します。




