まず一歩から
数日後。
「それじゃ後をお願い」
「本当に車で行かなくていいのですか?」
「えぇ。久しぶりにバスと電車で行くわ。カルネ。ミーヤ。これからもこの屋敷使っていいからね。ここはあなたたちの家でもあるのだから」
そう言って優孝の母親は、荷物をまとめて再び仕事をしに海外に戻って行った。本当なら仕事なんかしない方がいいのにそうしなければ落ち着かないと言って。
これからは好きなことをしなさいと遠まわしにメイドのクビ宣告を受けたカルネとミーヤ。
「あなたたちはこれからどうするの?」
メイド長が言う。彼女はここに残るらしいおそらくそう言われたのだろう。
「わ、私は決まってます」っとはっきりとした口調でミーヤが言い。
「私は……まだです。これから決めます」っと少し不安そうで自信なさげにカルネが言った7。
「そう、奥様も言ってたけどここはあなたたちの家でもあるから好きな時に帰っておいで」
「お、お願いがあります!」
メイド服から卒業し今まで着たことがなかった服に身を包んで、病室にいる夏織の両親と夏織に頭を下げてお願いをした。
「夏織様の記憶が戻るまで私を夏織様のお傍にいさせてください!お手伝いさせてください!」
「ミ、ミーヤさん!あ、頭を上げてください!」
いきなりのミーヤの宣言に夏織の両親は慌ててしまう。
「お願いします!」
何度も頭を下げてお願いするミーヤに夏織が。
「私はいいですけど」
少し微笑みながら言って。
「ミーヤさんがいてくれると助かるしお話も楽しいし、お母さんたちもお仕事に集中できるし」
夏織の意思を聞いて椅子から立ち上がり夏織の両親は頭を下げて。
「この子をお願いします」
「はい!お任せください」
夏織の両親が帰った後の病室で。
「ミーヤさんが私の記憶が戻るまでいたいと言ってたけど、他にも理由があるんじゃないんですか?」
「分かりますか?」
「ここ」
自分の胸に指をさす。
「彼がここにいるからじゃないんですか?」
「あはは。鋭いですね夏織様。そうです、優孝様がそこにいるので離れたくないんです」
「その気持ち分かりますよ。何故だか分かるんです。この人と離れたくないって気持ち」
自分の胸に手を当ててミーヤを見て。
「ミーヤさん。私のこと様とか付けなくていいですよ」
「それでは、夏織さんで」
「これからよろしくね。ミーヤさん」




