中間テストの結果
五月下旬。
今日は三年生の階の掲示板に横に長い紙が張り付けられている。先日行われた中間テストの結果だ。たくさんの生徒の人だかりの後ろから自分の順位探す。
「え~っと。20位か……少し上がったな」
「川中君、どうだった?」
「20位。神山さんは?」
「37位……私にしたら頑張った方かな」
「やったね」
スッと手のひらを上げる優孝の行動が分からない。すると優孝が手を上げてと言い同じように上げると、パチンっとハイタッチ。
「上位者見に行こう」
掲示板の端に歩き出す優孝の背を見ながらハイタッチした手が、少し痺れてる。だけど、優孝とハイタッチしたことが嬉しくてその痺れが腕に伝わってきてなんだか心地よい。
一番端にきて掲示板を見るとそこに書かれていた名前に驚いた。それは優孝だけじゃない周りにいた生徒が小さい声で、ヒソヒソと話している。
「これは……」
1位だったのは明紀だった。その点数は500点の満点だ。2位だったのは夏織で495点。そして、一番驚いたのが。
「華怜が……11位」
「七条さんが10位以内入れてない」
そこへ、どうしてか分からないがその三人が一緒に現れ、群がっていた生徒たちが一斉に離れ優孝と海砂がポツッと取り残された。
「当然の結果だね」この結果が分かっていたかのように誇らしく言う明紀。
「現状維持か」ポツリと言う夏織。そして。
「……」何も言わずに悔しそうに自分の順位を見つめる華怜。
「さっ、教室に行こう。海沙ちゃん」
「あっちょっと!水上さん」
強引に海砂の手を引っ張って教室に向かう明紀。優孝とすれ違う時に胸にポンッとグータッチをして去る夏織。残された二人に廊下が静かになる。
「……華怜。教室に行こうか」
華怜の手を掴もうとしたら拒絶された。
「……私のこと嫌いにならないでください」
「え?」
「こんなに成績を落したのです。幻滅しましたよね?」
「華怜。俺はそんなこと」
優孝に抱きつく。
「……水上さんと優孝の関係が気になってそれで勉強に集中出来なくって。でも!別に水上さんを恨んでるとかそうじゃないんです!。ただ、お互いが初恋の人だしもしかしたら二人が恋人になってしまうかもしれいって、それで……だから、この結果はちゃんと受け止める必要があるのです」
「……華怜。大丈夫。俺はあーちゃんとは付き合ったりしないから。きっとあーちゃんも同じ考えだと思うよ?」
「それは本当ですか?」
「あぁ。お互い恋人になるよりも今の関係、今の距離感がいいんだ。だから、俺たちの事はそんなに気にしなくてもいいんだぞ」
「優孝」
華怜の手を掴んで。
「さっ、教室に行こう。いつまでもそんな暗い顔するな」
「はい、分かりました」




