とけこみました
本を読んでいると視界が急に真っ暗になった。暖かくなにかに包まれている感触。
「優孝様。お迎えに来ました」
優孝の視界を隠したのはカルネだった。
「優孝様から連絡で三時間経ったら迎えに来てくれた言われたので」
「えぇ!もう!いや~時間が経つのは早いな」
「ゆーちゃんこの人は?」
カルネの後ろからピョコンッと顔を出す明紀。
「俺のところでメイドの仕事をしてるカルネ」
「わぁ~。じゃあ本物のメイドさんなんだ綺麗な人。あ、私は水上明紀です」
「初めまして水上様、カルネです。お見知りおきを」
「さて、じゃ帰るか。あーちゃん料理美味しかったよコーヒーも」
「いつでも来ていいからコーヒー飲みに本を読みに来ても」
支払いを済ませて外に出ると黒い雲から雨が降り注いでいた。
パンッと傘を開くカルネ。その中に入る。
「あーちゃん。また明日」
「うん。またね」
お互い手を振って別れた。
駐車場がないためバスを使ってここまで来るように指示していたため、久しぶりにカルネとバスを使って帰る。二人掛けの椅子に座り隣に座るようにポンポンっと椅子を叩いて、座りなとアイコンタクトすると一回拒否したもののもう一度椅子を叩くと大人しく座ったカルネ。
「優孝様。水上様とはどいう関係なんですか?とても親しく見えましたが」
「ん?あーちゃんは今日、学園に転入して来たんだ。それで俺の初恋の人で初めて会ったのは小学生の時でね。公園でたまたま出会ったんだよ。でも、会ったのは数回だけ」
「感動の再会ですね」
「ちなみにその時俺の傍にいてくたのは、当時新人だった今のメイド長なんだよ」
「あ、あの厳しいメイド長の新人時代にそんなことが!凄いですね……」
翌日の教室でのこと。僅か一日でクラスの生徒と仲良くなった明紀。性格も外見もいいから特に女子たちの人気がいい。人見知りもしないから自分からも積極的に話したりしてるからだろう。すぐ後ろで話し声が凄く聞こえる。
その中でもよく話をしている相手が海沙だった。楽しい話はもちろんだがここの学園の事や教室の移動とか海沙が教えてあげているのだろう一緒にいるのをよく見る。優孝は内心、明紀がクラスで孤立しないか心配していたがそれは、間違えだったことに自分が馬鹿に思えた。
「ゆーちゃん!ゆーちゃん!はい、これ」
「ん?どうした?」
一枚の紙を渡してきた明紀。それは――
「入部届?しかも図書部」
「そう、図書部に入りたいんだけどいいかな?ゆーちゃん。部長なんでしょ?海沙ちゃんに聞いたよ」
もう海沙って名前を呼ぶほど仲良くなっている。
「いいけど家の手伝いとかはいいのか?」
「大丈夫。いつも手伝ってるわけじゃないんだ」
「ふ~ん。分かった。じゃあ放課後に顧問の先生に一緒に出しに行こう」
「これから一緒に本読めるね」
すごく嬉しそうに明紀は笑顔だった。




