遊園地 2
「で、今日は、クリスマスだけど何するの?」
みんなで朝食を取りながら優孝が呟く。
「決まってるじゃないですか優孝と過ごすのですよ」
それが当然のように高らかに言う華怜に対して。
「いや、このまま何もしないでここにいるのは、違うんじゃない?」
バッサリと否定する夏織。
「みんなでどこか行かない?」
「鹿野さんの言うことも分かるけど今日は、どこも混んでるんじゃないかな?」
今日は、このまま屋敷にいるかそれともどこかに出掛けるかで、意見が分かれて沈黙する。
数分後。静まり返った部屋で優孝が口を開いた。
「クリスマスだし、外に出るか……遊園地とかどうかな?」
3人に聞く。
「優孝が行きたいのでしたら私は、付いて行きます」っとなんだか大和撫子みたいに華怜。
「いいんじゃない。文句なし」っとクールに夏織。
「遊園地!混みそうだけど行きたい!」っとはしゃぐ海沙。
今日の目的を決めることが出来た。
「せっかくだからカルネとミーヤも一緒に」
「いや、私たちは」
メイドの立場上遊ぶということに自分の中で拒否があるカルネ。
「一緒に楽しみましょうよ!カルネさん!ミーヤさん!」
学校では、控えめの性格の海沙が積極的に誘う。
「で、ですが」
「行くまでに私服を用意するように!さすがに遊園地にメイド服で行くのは……いや、意外とありなのか」
「そうそう!問題ないよ」
4人の視線がカルネに集中する。そして。
「分かりました行きます」
勢いに逆らえず折れたカルネ。
「ミーヤも行くだろう?」
「た、楽しみです」
カルネと違ってミーヤは、とても素直ですぐに返事を出した。
「よし決まり!12時になったら出発しよう」
出発時刻。さっそくもめる。
「これがベストだろう」
移動手段は、車なのだがカルネの車は、乗れるのが運転手のカルネを除いてあと4人。なのでミーヤは、バイクなのだが優孝は、バイクに乗ると言いだした。定員は、確かに乗れるだが。助手席に乗れば後ろに3人が乗るのだが、華怜と夏織が喧嘩するかもしれないし、2人の間に海沙を入れるのもかわいそうということである。
「前に華怜が座って後ろに2人乗って」
「待ちなさい優孝!あなたは私の隣に座るのです」
特に華怜が納得いかないみたいらしい。このままじゃいつまで経っても進まないと感じた優孝がとった行動が。
「発進だ!ミーヤ!」
素早くバイクに跨がりそれを待っていたかのように、誤差がないタイミングで発進させたミーヤ。
「あっ!コラお待ちなさい!」
その場で悔しがる華怜に車の窓を開けて。
「あのさ。早く行こうよ」
呆れたような声で夏織が言った。




