助けに来たよ
「さてさて、それじゃ。楽しもうよ」
男は、ハサミを取り出すと華怜の服を切り始めた。不敵な笑い声。ニヤッとした顔。すべてが恐怖。服を切り裂き上半身が下着だけになり、露出した肌撫でまわす。
「可愛いよ華怜。肌こんなにスベスベなんだね」
腹部に手を移動させ親へそいやらしく撫でる。縛られて抵抗できない華怜は、目を瞑り涙を流す。
「もっと……もっと反応してよ。華怜」
再びハサミを持ち下半身へ。
「さぁ。今度は下を見せてよ」
スカートにハサミを掛けた時。
――バンッ!
部屋の電気が消えた。ベレーカーが落ちた。
「な、なんだ!」
慌ててる男の声で恐る恐る目を開けようとした時。
「華怜!目を瞑れ!」
聞こえた声は、優孝だった。華怜は、急いで目を瞑った。
その直後。部屋が強烈な光に包まれた。
「ああああああぁぁぁ」
男が叫ぶ。強烈な光に目がくらみ一時的に目が明けられない状態なった。
「華怜!」
「優孝なの?」
「待ってろ。今椅子から放すから」
手際よく縛られていた手足を介抱してお姫様抱っこでその場から離脱した。
「もう、目明けていいよ」
ゆっくり目を明けて瞬きをすると優孝がいた。見渡すと公園だった。
「遅くなってごめんな。怖かっただろ」
自分のYシャツを華怜に掛けてあげて頭を撫でる優孝。一気に恐怖心から解放されて安心感に転換された。華怜は、優孝の腰に手を回して抱き着く。
「……怖かったです。私あの男に傷物にされると思いました」
「もっと早く来れれば良かった」
「優孝。1人で来たのですか?」
「いや、カルネとミーヤも来てるよ。今ごろさっきの男にいろいろしてると思う。でも、ビックリした。ストーカーの正体があの先輩だったなんて」
「私も驚きました」
「優孝様!」
しばらく、公園のベンチに寄り添って座っているとカルネとミーヤがやって来た。
「アイツは、どうなった?」
「今ボコボコにしていますが、反省の色がまだ出ないので、もうすこししてから警察に引き渡します」
「分かった。このままここにいるのもあれだから家に帰るよ」
「じゃ、じゃ後のことは、ミーヤにお任せください。カルネ。お二人を車でお送りしてあげて」
「1人で大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫です」
「よし、ミーヤ。頼んだぞ」
「はい!」
アパート。
「か、華怜……ど、どこだ。俺の……華怜」
「さぁ。遊びましょうか」
床に倒れこんでいた男が振り返ると、そこに1人のメイドが無表情でトランプをシャッフルしていた。
「あなたは、死ぬのです」




