第二十一章:億の賠償金と三年ローン!? がしゃどくろ大パニック
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夜の廃倉庫。紫色の不気味な霧が立ち込める中、巨大な骸骨の化け物――がしゃどくろが、容赦なく建物を破壊しながら迫ってくる。
「どうする!?」
大和が焦燥に駆られて叫んだ。
「どうにかしないとね。こいつが街に出たらたいへん!」
雛が切羽詰まった声で返す。
「どうしよう。私のせいで……」
七海が自責の念に駆られていると、そんな三人を猛スピードで追い抜いていく男がいた。伊神だ。
「伊神さん!」
七海が声を上げる。
「なんでお前がいっしょににげてんのよ。七海のせいじゃない。責任は、こいつに取らせればいい!」
雛は逃げる伊神の胸ぐらを捕まえると、強引にがしゃどくろの方へと振り向かせた。
「あなたが呼び出したんだから、なんとかしなさいよ!」
伊神は仕方なくがしゃどくろに向かってファイティングポーズをとるが、
「だめだー!」
その圧倒的な威圧感を前にすぐさま振り返り、再び逃げ出そうとする。
「俺はただ呼んだだけで、あばれさせたわけじゃ……!」
その言い訳を掻き消すように、がしゃどくろが巻き上げた物体――巨大なドラム缶が大和のすぐそばに激しく落下した。
「うわっ!」
大和が悲鳴を上げる。それを見た七海が決意の表情を浮かべた。
「大和は私が守る!」
一瞬にして狐巫女の姿へと変わり、がしゃどくろに向かって凛々しく刀を構える。だが、化け物の禍々しいオーラを前に決意は一瞬で砕け散った。彼女はすぐに元の七海の姿に戻ると、悲鳴を上げて駆け出した。
「むり、絶対無理ー!!」
「ええ!うそだろ」
大和が叫んで、再び始まる必死の逃走劇。
「僕たち、どこまで逃げればいいの!?」
大和の問いに、伊神が叫び返す。
「そんなことは後ろのがしゃどくろに聞いてくれ!」
走りながら、雛が伊神に向かって声を張り上げた。
「このまま街に出したら、損害賠償、何億にもなるわよ!」
「お、億!?」
伊神の顔色が変わる。
「そんなの嫌でしょう。みんなで力を合わせてあいつを止めないと!」
「力を貸してくれるのか!?」
「500万。500万で手を貸してあげる」
「え、それは高すぎないか!?」
さらに雛の要求は続く。
「それと、七海からの依頼料、無しにして、返してあげて!」
雛の容赦ない追加条件に、伊神は顔を引きつらせる。
「そんな、大損じゃないか。無理!」
「じゃ、賠償金を払う覚悟をするのね!」
突き放す雛の言葉に、七海が感嘆の声を漏らし、大和が走りながら親指を立てる。
「雛……!」
「ナイス、雛!」
「今回、結構元手がかかっているのよ、こっちだって生活かかってんだから!」
背後に迫るがしゃどくろの足音と、数億円の賠償金という現実的な恐怖。ついに伊神は折れた。
「わかった、わかった、その条件で!」
「七海もお願い!」
雛の言葉に頷き、七海は再び狐巫女へと変わる。四人はついに逃げるのをやめ、がしゃどくろに向き直った。
「あんたも手伝いなさい!」
雛の檄を受け、雛、狐巫女、伊神の三人が並んで印を結ぶ。 すると、雛の体から無数のお札が飛び出し、三人の前へと集まり始めた。
「せっかく三年ローンで買ったのに……」
雛が恨めしそうに呟く。お札は空中で旋回し、巴の図柄を描いて並んだ。そのとき雛の前に光が集まりその中から、ゴシックロリータ調のドレスを着た球体関節人形――ロレッタが現れる。
「雛、私を使って」
「ロレッタ……」
「私の体を使えばあいつをきっと倒せる」
静かに告げると、ロレッタは巴の図柄の真ん中へとふわりと入っていく。
「ロレッタ、ごめんね」
「雛、今までありがとう」
ロレッタの体が、限界まで力を溜め込んだように眩く光り出す。
「覇っ!!」
雛、狐巫女、伊神の三人の声が重なった。 その瞬間、お札とロレッタが一つの巨大な光の玉となり、がしゃどくろへと一直線に飛んでいく。 閃光。そして、がしゃどくろに光の玉が直撃し、鼓膜を破るような大爆発が起きた。
「ロレッタ……」
「ロレッタ……」
雛と大和が、散っていった仲間の名を呟く。
だが、安堵は一瞬で打ち砕かれた。 そのまま工場のあちこちが連鎖的に爆発し、真っ赤な炎と火花が夜空に吹き上がる。 爆発の波が容赦なく四人に迫る。大和はその光景を前に、唖然として立ち尽くしていた。
「逃げろー!!」
伊神の絶叫で我に返った三人が再び全力で駆け出す。雛は、途中でまだ硬直している大和の手をガシッと掴むと、一緒に強引に走り出した。
「大和!!」
背後では、凄まじい爆発が廃工場を完全に炎で包み込もうとしていた。
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それでは、次回のストーリーでお会いしましょう。




